法定地上権の成立要件として、民法388条では「抵当権設定当時土地建物同一所有者であること」となっており、(抵当権設定後、土地所有者の変更があっても可)
民事執行法81条では「差押時に土地建物同一所有者」となっています。(差押後、土地所有者の変更があっても可)
ところで、国税徴収法127条では「買受時に土地建物同一所有者」のようです。
それならば国税徴収法による差押時に土地建物同一所有者であっても
後に土地所有者に変更がある場合は「買受時に土地建物同一所有者」ではないです。
その場合は、法定地上権は成立しないのでしようか ?
要は、「土地建物が同一所有者」と言う要件は、何時の時期か ?
と言うのが今回の質問です。
No.1
- 回答日時:
>ところで、国税徴収法127条では「買受時に土地建物同一所有者」のようです。
この点が違います。土地建物が同一所有者に属している必要があるのは、買受時ではなく、差押時です。
国税徴収徴収法
百二十七条 土地及びその上にある建物又は立木(以下この条において「建物等」という。
)が滞納者の所有に属する場合において、その土地又は建物等の差押があり、その換価によ
りこれらの所有者を異にするに至つたときは、その建物等につき、地上権が設定されたもの
とみなす。
>・・・この点が違います。土地建物が同一所有者に属している必要があるのは、買受時ではなく、差押時です。
私もそのように解釈していましたが、それならば、何故、同法同条2項で「建物が滞納者に属する場合は・・・」と、わざわさわ「建物」だけに限定しているのですか ?
同1項では「土地建物が滞納者に属する場合・・・換価により所有を異とした場合は・・・」と明らかに差押時に土地と建物が同一所有者であり、かつ、買受時に同一所有者と言うことを明記しています。
土地建物共同一所有者であっても、公売時までに土地に変更があった場合は「賃貸借と読み替える。」とわざわざ、賃借権に変更しています。(同法同条2項)
No.2
- 回答日時:
No1 のつづき
>それならば、何故、同法同条2項で「建物が滞納者に属する場合は・・・」と、わざわさわ「建物」だけに限定しているのですか ?
同条2項は、建物だけに限定しているわけではありません。「地上権及び建物」です。もう一度条文をよく読んでみてください。
>土地建物共同一所有者であっても、公売時までに土地に変更があった場合は「賃貸借と読み替える。」とわざわざ、賃借権に変更しています。(同法同条2項)
上述のように、同条2項は、「土地」建物共同一所有者での場合ではなく、「地上権者」建物共同一所有者の場合です。
そして、地上権者と建物所有者が換価により異なるに至った場合には、法定地上権ではなく賃借権が設定される、とするのが同条2項第2文です。
No.3
- 回答日時:
補足に対する回答
>feinbergさんの回答では法定地上権を取得しているので
国税徴収法127条1項に基づく法定地上権の成立は、「差押があり、その換価により」土地建物の所有者が異なるに至ったときです。本件では、抵当権の実行により土地建物の所有者が異なるに至ったのですから、上記「換価により」所有者が異るに至ったわけではありません。したがって、同法に基づく法定地上権は成立しないと思われます。
>借地借家法20条に基づく買受から2ヶ月が経過しているので土地の不法占拠と言うわけです。
先方の主張は、「AC間で設定された土地賃借権(借地権)が、Dに対して無断譲渡されたため、借地契約を解除した。ゆえにDは土地の占有権限がない」というものでしょう。この主張自体は理由のあるものと思われます。
そうすると、蛇足かもしれませんが、先方の主張に対してDは、Cに対して建物買い取り請求権(借地借家法14条)の行使をする、あるいは、Cの立ち退き請求を権利の濫用として争えないかを検討することになるでしょう。
No.4
- 回答日時:
>元々、Aさんが、土地建物の所有者でした。
土地だけに抵当権が設定されていたので、土地の抵当権実行でBさんが買受人となり、その時点で民法上の法定地上権が成立していますよね。(だから、AさんはCさんから土地を借り土地賃貸借契約を締結する必要は本当はなかったんですけどね。)民法上の法定地上権が成立する場合は、国税徴収法上の法定地上権は成立しません。
>一方、Aさん所有の建物は、上記抵当権実行前に滞納処分による差押えがありました。今回、公売となって、Dさんが建物所有者となりました。
でも、その法定地上権は、滞納処分による差押えがなされておらず、公売の対象にはなっていないのですよね。つまり、Dは建物の所有権は公売により取得してますが、地上権は取得してないのではないですか。
そうすると、Dが土地を占有する権原がないということになります。仮に建物の従たる権利として、滞納処分による建物の差押えの効力が、AがCに対して有していた土地賃借権にも及ぶという理論を採用し、公売によりDは建物とともに土地賃借権を取得したとしても、借地借家法20条に基づく買受から2ヶ月が経過しているので、不法占拠の状態になっているということになるのでしょう。
No.5
- 回答日時:
少々語弊を生じさせたようなので再度補足します。
>feinbergさんが言うように法定地上権成立要件で「差押時に土地建物同一人物で可」だとすれば
「差押時に土地建物同一人物」という要件は必要条件ですが、十分条件ではありません。法127条1項に基づく法定地上権が成立するのは、①差押時に土地建物同一人物、かつ、②同法に基づく換価により所有者を異にするに至った場合です。
本件では①の要件は満たしているようですが、No3で書いたように②の要件を満たしていないと思われます。したがって同法に基づく地上権は成立しないのではないでしょうか。
また、物権関係の優劣は登記の先後による(民法177条)のは、あなたも承知だと思います。仮に国税徴収法に基づく地上権が成立したとしても、本件では、同地上権の登記よりさきに抵当権設定登記がされているはずであり、Cは、地上権の負担のない土地所有権をDに対抗できるはずです。
以上をまとめると、Dはそもそも法定地上権を取得していないか、またはCに対抗できないはずであり、地上権に基づく反論とは別の反論を考えるべきでしょう(No3の第二文をご参照ください)。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
>と言うことは、滞納処分による差押時に、土地建物共Aさんであっても、Dさんが建物を買った時点では、建物はAさん、土地がCさんであったため、Dさんは法定地上権は取得していない、と言うわけですか ?
そうだと思います。法定地上権は取得していないでしょう。
>feinbergさんが「・・・この点が違います。土地建物が同一所有者に属している必要があるのは、買受時ではなく、差押時です。」
これはあくまで質問冒頭における「国税徴収法127条では「買受時に土地建物同一所有者」のようです」との部分に対する回答です。差押時から(買受(換価)まで)「一貫して」土地建物の所有者が同一でなければならないとの趣旨で回答しました。
質問の真意を把握しきれていなかったようで、その点お詫びいたします。
>結局のところ、本件では、法定地上権ではなく、賃借権の取得のようです。
事案を拝見する限りではそうだと思います。
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2項読みました。
今回の質問の詳細をお話しします。
元々、Aさんが、土地建物の所有者でした。
土地だけに抵当権が設定されていたので、土地の抵当権実行でBさんが買受人となり、その直後、転売し、現在はCさんが土地所有者です。
そこでAさんはCさんから土地を借り土地賃貸借契約を締結しました。
一方、Aさん所有の建物は、上記抵当権実行前に滞納処分による差押えがありました。
今回、公売となって、Dさんが建物所有者となりました。
そこでCさんの代理人弁護士からDさんに、建物収去土地明渡の請求が届きました。
理由は、借地借家法20条に基づく買受から2ヶ月が経過しているので土地の不法占拠と言うわけです。
私の解釈は、弁護士の言うとおりと思いますが、feinbergさんの回答では法定地上権を取得しているので、弁護士の請求は不当なようです。
いかがでしようか ?
なお、1項は所有権、2項は地上権のようです。
抵当権設定当時建物はなく、従って、土地のみに抵当権が設定されていたので、後にAさんが建てた建物は、土地の買受人から見れば土地の不法占拠と思います。(法定地上権は成立しないので)
そのために、Aさんは、Bさんから買ったCさんと土地賃貸借契約したと思われます。
その前(土地に抵当権があり、建物には何らの制限がなかった時点)に土地建物共滞納処分による差押がなされていましたが、抵当権実行により土地の滞納処分による差押は職権で抹消しています。
そこで今回建物だけが公売となったわけです。
feinbergさんが言うように法定地上権成立要件で「差押時に土地建物同一人物で可」だとすれば、Dさんが公売で買えば法定地上権は設定されたとみなされるので、収去にはならないと思います。
>①差押時に土地建物同一人物、かつ、②同法に基づく換価により所有者を異にするに至った場合です。
と言うことは、滞納処分による差押時に、土地建物共Aさんであっても、Dさんが建物を買った時点では、建物はAさん、土地がCさんであったため、Dさんは法定地上権は取得していない、と言うわけですか ?
この考えは、私の当初からの考えです。
でも、feinbergさんが「・・・この点が違います。土地建物が同一所有者に属している必要があるのは、買受時ではなく、差押時です。」と言うので、買受時に異なっていても、差押時に同一ならば法定地上権可、とのことと思っていました。
結局のところ、本件では、法定地上権ではなく、賃借権の取得のようです。