
「おとうさん、おかあさん」という言葉は今では普通に使っていますが、これって昔の日本語にはなかったはずです。町人の間では「オトッツアン、オッカサン」だったのではないでしょうか(他にもあると思いますが・・・)。
調べてみると、明治時代の国定教科書に初めて「オカアサン、オハヨウゴザイマス」が出てきたようなのですが、その理由や経緯がはっきりしません。
この言い方は一体どこで、いつ頃から使われていて、どのような経緯で教科書に扱われ、そして今のように一般化するようになったのでしょうか?
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
言葉も通貨と同じで自然的インフレーションを起こしますね。
まず、「お父様」
平安時代頃から、女から男、妻から夫を呼ぶ尊称の一種に「との」「おほとの」「おほとのさま」という表現がありました。トノは邸宅を指す言葉で、人を直接指す代わりに使われた敬稱の一種です。当時は通婚でしたから、夫を立てない妻、家政や教育の出来ない妻、嫉妬の強すぎる妻の下を夫は離れます。
江戸時代になると、オホトノサマはオトトサマ、さらにオトーサマ、オトッツァンなどと訛ります。元の意味も分からなりました。ともかくも妻は夫をオトーと呼んで立てました。子供も口真似してオトト、オトッチャンなどと呼ぶ。明治にいたり、文部省がコレを公認し。お父さんが推奨された。貴族などは、夫(主人)は寢殿の母屋にいたのでオホムモヤノカタ、オモヤサマ、オモーサマであったが、民主主義に圧され、オトーサマに吸収された。
次に「お母様」
まず、前提として古い日本語ではカ行とハ行の区別が曖昧で、互換性が合った。例えば、「食ふ(くふ)」は物を口に入れて噛み砕くことであり、古くは「クプ」という発音に近かった。だから南九州の一部の方言ではクがプに吸収されて「プッ」と言う。「飯、もうプッたか」など。逆に標準語ではプがクに吸収され、「くう」と発音する。「飯、もうクッたか」など。だから「ハハサマ」は容易に「カカサマ」そして「カーサン」と転訛する。これを文部省が公認したのが「おかあさん」。
貴族の妻は、古くは御対様(オタイサマ。寝殿造りでは、妻は対の屋〔たいのや〕と呼ばれる別棟に住み、対の方と呼ばれた)の訛ったオタアサマが一般的であったが、徐々にオカアサマに吸収合併され、今に至る。
だから日本人が一般的に「おとーさん、おかーさん」というようになったのは明治時代、立憲民主主義が一般化した頃、「おとうさん、おかあさん」と言うようになったのは発音が平仮名表記に影響された明治中期、学校教育が全国に普及した頃からだということになる、と考える。
とても詳しくお答え頂いて、ありがとうございました。
(お礼が遅くなり、申し訳ありませんでした)
時代とともに、親に対する呼び方もかなり変化してきたわけですね。
日本語の歴史を学びました。
ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
「山口仲美著『日本語の歴史』・岩波新書」によれば、「おとうさん・おかあさん」が公然と姿を表したのは、No.3の方ご紹介のブログにあるとおり、明治36年、最初の国定教科書「尋常小学読本」二においてです。
タロー ハ、 イマ、 アサ ノ アイサツ ヲ シテヰマス。 「オトウサン、 オハヤウゴザイマス。 オカアサン、 オハヤウゴザイマス。」 (欄外に、ヤウ(ヨー)とある)
一見して、さまざまな問題点を含んだ文なのですが、「おとうさん」「おかあさん」に限定して話を進めれば、これは「標準語」の策定と無関係ではなかったのです。明治20年前後に、いわゆる「言文一致運動」が起こり栄光と挫折をくり返しながら、最後には尾崎紅葉の「である」体によって少なくとも文学の面では達成されたことになります。
一方、話言葉として残された課題は「標準語」の制定だったわけです。この面での主導者であった何人かの学者は、東京で話される言葉の内、いわゆる下町言葉(江戸っ子弁)ではなく、山の手地方に居住する「教養ある」人びとの話す言葉とするいう点では、ほとんど一致していました。
文部省は「全国の方言を調査して」といいながらも、ほとんど間をおかず上記の「尋常小学読本」を発行して「標準語教育」を始めてしまいました。その標準語の一例として「おとうさん」「おかあさん」が考えられました。
この回答を書きかけた時、No.4の回答がなされました。この回答は大変示唆に富んでいて、参考になります。とりわけ皇族を含む貴族階級には、寝殿造りの「母屋(もや)」「対屋(たいのや)」に由来する「オモーサマ・オターサマ」が古くから存在していたことは一部には有名です。その影響もあって、「おとうさま・おかあさま」は上品な家庭には使用されていた可能性はありますが、これは標準語には選ばれませんでした。既に書いた「標準語」の条件に「山の手に住む教養ある人びと」に「中流階級」という条件を挙げた学者もありましたから、「おとうさま・おかあさま」のような上流階級的な言葉を「標準語」として選び、それを全ての日本人が使用する光景は、さすがに役人たちも思い浮かべることは出来なかったのでしょう。
そして選ばれたのが、当時さほど使われていたとは思えない、「おとうさん・おかあさん」です。「おとうさま・おかあさま」ほど上品すぎず、「おとっつあん・おっかさん」ほど方言っぽくないというのが理由でしょうか。もう一つ、当時成立していたと考えられる「おじいさん・おばあさん」「おにいさん・おねえさん」からの類推も理由の一つかも知れません。というわけで「おとうさん・おかあさん」は、当時の文部省の役人の造語だったのではないでしょうか。
「おとうさん・おかあさん」を「青空文庫」で索引してみると、出て来るのは「大正」から「昭和」にかけての作品ばかりで、明治期の作品はほとんど見当たりません。この語が実際にはあまり使われていなかったと言った理由です。
お答えを頂いて、ありがとうございました。
(お礼が遅くなり、申し訳ありませんでした)
「おとうさん・おかあさん」は文部省の役人の「造語」だったと考えられるわけですね。
調べてみると、明治期の小説などでは、この呼称はなかなか登場しなかったとか。「坊ちゃん」も自分の母親を「おっかさん」と漱石は呼ばせていました。
親に対する呼称の歴史もなかなか興味深いですね。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
語源は、武家の妻女を御方様と呼んだことから来てるようですが、下記ブログによると、「おかあさん」は江戸時代後期に上方で使われるようになったようです。
『守貞漫稿(もりさだまんこう)』という当時の随筆に、
【 「京坂ともに男女児より父を称して中以上は御爺様(おとっさん)母を呼で御かあさんと云、小民(=庶民)の子は『ととさん』『かかさん』と云」】
という記述がある旨、記されています。「中以上」は中流以上、という意味なのでしょう。
【 一方、江戸では「おかあさん」はあまり広まらず、時代が明治に変わり20世紀になる頃からようやく良家の子女の間で使われるようになった】とも記されています。
http://japanknowledge.com/articles/blognihongo/e …
急激に広まったのは、おっしゃるように、1903(明治36)年の第一期国定読本「尋常小学読本-二」以降のようです。
ただ、下記の語源由来辞典によると、「おかあさま」よりは丁寧度が低く、かといって「おっかさん」よりは馴染みが薄い、ということで上流階級、庶民階級ともにすぐに受け入れられたわけではなかったようです。
http://gogen-allguide.com/o/okaasan.html
こうした事情から類推してみれば、それまで使われていた庶民言葉の「おっかさん」や「おっかあ」を、少し上品なものに切り替えようと、時の政府が画策した経緯が見えてくるような気もします。
ありがとうございました。
へー、上方では江戸時代後期にすでに「おかあさん」という呼び方をしていたわけですか。
でも考えると、親に対する呼び方を官僚が人工的に作ったことになると思えるのですが、
今から考えると不思議な感じがしますね。
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