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日本語教師です。

謙譲語の基本である

お+動詞のます形(連用形)+します
ご+漢字語+します

を教えた後、タイトルの練習問題が出てきました。

学生は基本にしたがって

「ご翻訳しましょうか」

と答えましたが、正答は「翻訳いたしましょうか」でした。

たとえば「ご説明しましょうか」は正しいのに、
「ご翻訳しましょうか」はやはり不自然ですね。

私は日本人なので、体感的に理解できますが、
外国人にはどのように説明すればよいでしょうか。

A 回答 (6件)

文化庁の<敬語の指針>を参考になさるのが非常に有益だと思いますので、その記述を参照しながら回答させていただきます。


まず申し上げたいのは、敬語は以前3分類でしたが現在は5分類が主流になっている、ということです。

3分類時代の謙譲語は、5分類では [ 謙譲語1 ] に相当するもので、その定義は、【自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて,その向かう先の人物を立てて述べるもの。】(敬語の指針15ページ)です。
要点は、他の皆さん方もおっしゃっておられるように、『相手に向かう自分の行為』に対して使う、ということ。
謙譲語を単に「自分の行為に対して使う」とだけ覚えてしまうと、たとえば、自分の行為をへりくだって表現するために、「私はいつも朝の9時にご起床します」などと言ってしまうことになるでしょう。
わかりやすく申し上げるとこういうことですが、「ご翻訳しましょうか」が不自然なのは、これも皆さん方的確にご指摘になっておられるように、「翻訳」という行為が「相手に向かう行為」とは言い難いからです。
「ご(お)~する」というのは、謙譲語1の典型的な一般形(敬語の指針27ページ)ですが、これは使えない、ということになります。

そこで、無理に謙譲語1を使わずに、「翻訳しましょうか」とだけ言えば良いわけです。
「ます」は「丁寧語」に分類される敬語の一種ですから、相手に対する敬意は失っていません。
ところで、翻訳は相手に向かう自分の行為ではないので謙譲語1は使えないと申し上げましたが、「翻訳しましょうか」という発言自体は「聞き手に対して向かう行為」です。
5分類では、「相手に向かう自分の行為」に対して使う謙譲語1とは別に、「聞き手」に対して使う [ 謙譲語2 ] が新たに設けられています。
定義は【自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。】(18ページ)です。
例として以下のようなものがあります。(28ページ)
・参る(←行く・来る)
・申す(←言う)
・いたす(←する)
・おる(←いる)
・存じる(←知る・思う)

この中にある「いたす」を使って『翻訳いたしましょうか』と表現すれば、「翻訳しましょうか」という内容を聞き手に対して丁重に(敬語として)述べたことになるわけです。
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この回答へのお礼

非常によく分かりました。ありがとうございます!

お礼日時:2018/04/11 18:28

この場合に限れば「翻訳して差し上げましょうか」でいいと思います。

「ご翻訳します」という謙譲語の一般形は使えません。「翻訳」という動作は相手に対してする動作ではありません。「ご案内します」の「案内」は相手にむかってできる動作ですから、「ご案内します」が成り立ちます。
 ただ、正答という、「翻訳いたしましょうか」も、「いたします」は丁寧な言い方になるのですが、話し手の「翻訳する」という動作をへりくだっていっているわけではないので、正答とは言えません。

 最近の敬語の考え方は「尊敬・謙譲・丁寧」という3つの分類ではなく、「尊敬語・謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱ・丁寧語・美化語」という5分類が行われています。
 「いたします」は謙譲語Ⅱに属するもの(丁重語)であって、従来と同様の、自らの動作をへりくだって言う謙譲語ではありません。(それは謙譲語Ⅰ)
 「いたします」(←する)「参ります」(←行く・来る)「申します」(←言う)「おります」(←いる)「存じます」(←知る・思う)などが謙譲語Ⅱです。
 この5分類の敬語についての説明は、文化庁の「敬語の指針」や、Wikipedia「敬語」を御覧下さい。
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この回答へのお礼

詳細な解説、ありがとうございます!

お礼日時:2018/04/11 18:27

「あなたに」を付けて通じるか通じないかで切り分けられるのでは?

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この回答へのお礼

そうですね、ありがとうございます!

お礼日時:2018/04/11 18:25

ご提示の言葉は、謙譲語です。

謙譲語は自身の動作を低めることによって相手を高める、複雑な操作をします。それで謙譲語は、発する側と受け手の関係が明快でないと使えません。
「説明する」は、誰に対して、がハッキリ意識されます。それに対し「翻訳する」は、「本を翻訳する」はあっても「人に対して翻訳する」は意識されません。同様な語「就職する」「結婚する」は「ご就職」「ご結婚」などと尊敬語としては敬意を表現できますが、謙譲の場合「ご・お」を被せることは出来ません。

謙譲表現は、「人に対して」の部分つまり相手が明快でない場合は「ご・お」を被せない、と教えてはどうでしょうか?
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この回答へのお礼

分かりやすい解説、ありがとうございます!

お礼日時:2018/04/11 18:25

お/ご 〜 する


は常に謙譲語になるわけではなく、〜 の部分が相手に対する自分の行為である場合だけ謙譲語となります。
説明する は相手に対する自分の行為ですが、翻訳する は 相手に対する という意味が希薄なので、お/ご 〜 する の文型に違和感があるのだと思います。
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この回答へのお礼

よく分かりました!
ありがとうございます!

お礼日時:2018/04/11 18:24

自分の感覚ですが、謙譲語は自分主体でする行為に対しては、お、ご、は付けないと思っているので、翻訳+謙譲語のいたすになるのかと。


ご説明しましょうかは尊敬語+丁寧語の形かと思うので、謙譲語にするならやはり、説明いたしましょうか、の方が良いのではないですか?
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この回答へのお礼

参考にします。
有りがとうございました。

お礼日時:2018/04/11 18:24

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