プロが教える店舗&オフィスのセキュリティ対策術

量子力学は行列力学として扱うべきでしょーか、それとも演算子法に基礎とする解析学として扱うべきか?

A 回答 (2件)

No.1です。



>ここでコンピュータの登場となるわけですか。
その領域に足を突っ込んでみたいですね。
その手法は具体的には物理学で何と呼ばれていますか?

方程式を解くのにコンピュータを使う場合、それを近似計算とは言いません。数値計算と言います。確かに、コンピュータは無理数を扱えませんので、必然的に近似計算になっています。しかし、数学で近似計算と言う時には、通常は、元の厳密な方程式が解けない場合(自分の知りたい情報の値を持つ領域で)その解けない方程式をその解が厳密な解の近い値を持つはずの解ける方程式に置き換えて計算する方法のことを指します。

初学者から見ると近似計算は厳密な計算より劣っていると思いがちですが、実は反対です。近似解を求めることが、ある意味物理学で最も本質を突いた営みなのです。なぜなら、厳密な計算では、その方程式で表される現象を全く理解していなくても、数学の規則に従って左辺に移行したり、積分したりで、解が出てくることになっている。しかし、近似計算では、その問題が解けている以前に、その方程式で表されている物理的現象を洞察して、その現象の中で、何が本質的か、何が二義的三義的かと重要性に関して序列をつけ、重要でないものから順に無視していかなくては計算ができないからです。この序列のつけ方にその人の価値観や世界観が現れてきます。そしてその世界観が適切であれば良い近似解が得られ、不適切であれば悪い近似解を出してしまうのです。

要するに、答えを出す前に答えを洞察する能力が要求されるのが近似計算です。だから、数学の規則に従っているだけでは近似計算はできないのです。この点がコンピュータと人間の違いです。コンピュータには世界観がいらない。そして、規則に従っているだけで解ける問題では、人間はコンピュータには叶いません。しかし、物理学に現れてくる方程式は、ほとんど全ての場合、規則に従っているだけでは解けない方程式なのです。そこで、どうしても近似計算が必要になってくる。そして、物理学者はその人の洞察力を駆使して問題を解いて行きます。この洞察力は本人の経験と脳みそのハードウエアの良し悪しが決める、いわば神懸かりの営みです。だから、この部分はコンピュータは真似ができません。そして、この洞察力の良し悪しが、物理学者の能力を決めるのです。物理学が単なる規則の寄せ集めではなくて、人間のみに出来るアートたる所以は、この洞察力にあるのです。
    • good
    • 0

演算子法と行列法は本質的に同じものです。



行列は演算子の一つの表現です。微分演算子でも積分演算子でも演算子なら、それを行列表現できます。表現の基底の選び方によって、同じ演算子でもその行列要素が異なります。力学の解を求めるために一般には、基底を上手く選んで行列の非対角要素がゼロになるような表示を探します。対角化された行列表現を使うと、力学の問題が簡単に解けるようになるからです。その基底を使って表現された行列を、その演算子の固有ベクトルによる表現と言います。そして、その行列の各対角要素を、その演算子の固有値と言います。さらに、この固有値と固有ベクトルの基底を求める問題を、演算子の固有値問題と言います。固有値問題が解けると、その基底を使って、その演算子の対角化された行列表現が得られるのです。

ところが、物理学のほとんど全ての問題では、固有値問題を厳密に解くことはできません。そこで、それを近似的に解いて、近似的に対角化された行列表現を使って、力学の問題を近似的に解くことで妥協しています。

力学の問題を解くには、二つの本質的に異なった方法があります。その一つは、与えられた演算子の固有値問題を解いて、その固有ベクトルの規定を使って、力学の解を表現する方法。運動を生成する演算子は一般には時間を含みませんので、この方法を時間に依存しない方法と呼びます。

(状況によっては運動を生成する演算子が時間に依存する場合もあります。しかし、この場合、その演算子の固有値問題を解くことは一般に難しくなります。それどころか、そのな場合には、そもそも演算子の固有値問題を解くとは何を意味するのかから考え直さなくてはなりません。)

もう一つの方法は、運動方程式方程式には必ず時間に関する微分項含まれているので、これを時間に関していきなり積分して、時間に関する初期値問題として解く方法です。これを時間に依存する方法と呼びます。

もちろんこの二つの方法は同じ解を与えなくてはならないので、この二つの方法には密接な関係があります。しかし、この二つの方法が数学的には独立な方法であることを理解していることは、物理学の本質を理解する上で重要です。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

>演算子法と行列法は本質的に同じものです。

この両者が数学的に結ばれれば納得できますね。

>微分演算子でも積分演算子でも演算子なら、それを行列表現できます。

これはおもしろそーなテーマですね。
微分演算子の表現行列、積分演算子の表現行列、あるいはその逆とか。
これで2,3ヶ月は暇つぶしできそーなテーマが一挙に出てきましたね。

>力学の解を求めるために一般には、基底を上手く選んで行列の非対角要素がゼロになるような表示を探します。対角化された行列表現を使うと、力学の問題が簡単に解けるようになるからです。

なるほど、そーゆー流れですか。

>その基底を使って表現された行列を、その演算子の固有ベクトルによる表現と言います。そして、その行列の各対角要素を、その演算子の固有値と言います。さらに、この固有値と固有ベクトルの基底を求める問題を、演算子の固有値問題と言います。固有値問題が解けると、その基底を使って、その演算子の対角化された行列表現が得られるのです。

納得です。

>ところが、物理学のほとんど全ての問題では、固有値問題を厳密に解くことはできません。そこで、それを近似的に解いて、近似的に対角化された行列表現を使って、力学の問題を近似的に解くことで妥協しています。

ここでコンピュータの登場となるわけですか。
その領域に足を突っ込んでみたいですね。
その手法は具体的には物理学で何と呼ばれていますか?


>力学の問題を解くには、二つの本質的に異なった方法があります。その一つは、与えられた演算子の固有値問題を解いて、その固有ベクトルの規定を使って、力学の解を表現する方法。運動を生成する演算子は一般には時間を含みませんので、この方法を時間に依存しない方法と呼びます。

具体例で考えてみたいですね。

>もう一つの方法は、運動方程式方程式には必ず時間に関する微分項含まれているので、これを時間に関していきなり積分して、時間に関する初期値問題として解く方法です。これを時間に依存する方法と呼びます。

これも具体例で考えてみたいですね。

久々に内容の濃い回答いただきました。
ありがとうございます。

お礼日時:2019/04/13 10:33

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!