映画のエンドロール観る派?観ない派?

鉄鋼業について詳しい方に質問です。

ネット検索でいろいろ勉強したところ、鉄鋼の生産方法には
大きく分けて「高炉」方式と「電炉」方式があるそうです。
前者は鉱物等を素材にして成分調整して用途にあった鉄鋼を
生産し、後者はスクラップ等を素材にして鉄鋼をリサイクル
するものと学びました。これら両者の方法でそれぞれ製品化
された商品には品質の差、すなわち値段の差というものが
あるのでしょうか?

現在鉄鋼需要がひっ迫しているとの報道をよく耳にする一方で
スクラップ価格が大幅に下落しているそうです。もし上記の
2つの方法で作られた「同じ形、同じ重さ」の商品があった
として、「品質も同じ、販売価格も同じ」となれば、片や
鉱物資源の値上がりでコストが高くなる生産方法と、他方で
材料安スクラップからの生産方法を比べると断然後者が有利で
しょう。

実際のところはどうなのでしょうか?

A 回答 (2件)

高炉で作る鋼材は、


鉄鉱石(酸化鉄の結晶=鉄を食べていた昆虫の死骸の化石)を石炭(植物の化石)で還元し純粋な鉄の液体(銑鉄)を作った後、用途に応じて微量元素や炭素量を調整してはがねを作ります。
さらに最終工程の圧延を行うと鋼が鍛えられ強度が高まります(日本刀をハンマーで叩いたり水で急冷したりという作業を工業的に行います)

電炉はスクラップを原料にして鋼材を作ります。
スクラップは鉄骨、自動車車体、空き缶、鉄筋コンクリートから取り外した鉄筋などが主原料ですが、それぞれ成分が異なります。
さらに空き缶に混入するアルミ缶、自動車車体にある銅などは鋼材の強度を著しく低下させます。

鋼材の性能を表す指標としては
・軽いのに強度が高い(単位重量あたりの強度)
  *SS400などJIS規格がある
などのほかにもいろいろあります。
たとえば自動車のボディーであれば
・溶接しやすい
・さびにくい(ステンレスなどの特殊鋼)
・衝突して変形すると強度が高まる
・プレス成形しても割れない、深い絞り加工ができる
・塗装しやすい(焼付け塗装のために加熱しても強度が変わらない)
・めっきしやすい
・薄く延ばしても穴が開かない
・冬の凍結路に撒く塩で穴が開かない

などが要求されます。
一方缶詰用の鉄板は
・酸・アルカリに強い
・プレス成形しても割れない(ビール缶)

発電所のボイラや化学プラントの反応器に使う鋼材では
・高温でも強度が下がらない
・酸・アルカリに強い
・溶接しやすい

などが必要です。これらを微量成分の調整や鉄を圧延するときの温度や温度の下げ方、圧延ロールで加える加工の力などを精密に制御して作り出しています。
これらのノウハウは各社最高機密なのでたとえ工場を作るメーカーが中国にそっくりコピーの製鉄所を作っても同じ製品を作ることができません。(トヨタなど自動車メーカーは同じ会社であっても工場単位で買う・買わないを決めるほど厳格です)



自動車用や冷蔵庫などの鉄板はきわめて軽く薄いのに高強度ですが現在の技術では電炉から作った鉄からはこの用途向けの製品が作れません。
電炉の主用途はグレードの低い(重くてもかまわないもしくは強度が低くてもよい)鉄骨、鉄筋、建材、家庭用品などにしか使えません。これはスクラップをどんなに厳格に選別しても素性がわからないことと、混入した微量元素を除去するのには膨大なコストがかかるためです。


現在鋼材の価格が高騰していますが、この理由のひとつは家電製品、自動車の需要が増えているのに作れる製鉄所がアジアでは日本だけのためです。もうひとつは鉄を作る原料の奪い合いです。中国の建設ブームなどで鉄骨などが大量に消費され、それをスクラップではまかないきれないため鉄鉱石や石炭を使った高炉製鉄による高級な鉄を鉄骨にしていることが原因です。


国内のスクラップ価格は自動車リサイクル、容器リサイクルなどで回収ルートが明確になりつつある一方で、輸出が難しいこと、公共事業の抑制と景気低迷によって国内の建設需要が伸び悩んでいることに原因があります。

台湾では原子力施設のスクラップがマンションの鉄筋になる事件があり、各国はスクラップの輸入に神経質になっています。


鋼材の価格は日経新聞に掲載されています(曜日限定されます)
鋼材価格は
・工場などの固定資産
・労働者、技術者などの人件費
・開発費
・原材料(鉱石、副原料、電気、水、修理費)

などからコストが決まります。
電炉の工場は高炉に比べてコンパクトで10分の1程度で作れるといわれています。また建設鋼材に用途を限定すれば開発費もさほどかからず人件費も少なくてすみます。

スクラップが原料といっても溶解するために加熱するために世界一高い電気代を払うので燃料費という点では安くはありません。

おもに設備費の差が値段に表れていると言ってよいでしょう。

資源リサイクルと化石燃料消費の抑制という点からはスクラップの有効活用は急務です。アメリカなど応急かしたビル・高速道路の建て替えなどで今後は大量にスクラップが発生します。これらを原料にした高級鋼材の製造法の開発が望まれています。電炉メーカーもこういった技術開発を進めていて、物置や屋根材など従来高炉法で作っていた鋼材も作れるようになっています。
電炉が安かろう、悪かろうというのではなく、「適材適所」というのが今後のあり方だと思います。

鉄鋼がわかる本

http://www0.nsc.co.jp/CGI/top/top.cgi?mode=jpn&k …


東京製鐵(電炉大手)
http://www.tokyosteel.co.jp/process/prflow.html

新日鉄
http://www0.nsc.co.jp/monozukuri/index.html

JFEスチール

参考URL:http://www.jfe-steel.co.jp/museum/index.html
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この回答へのお礼

詳しいご説明ありがとうございました。
とても分かりやすく大変参考になりました!

お礼日時:2005/01/07 21:09

高炉と比較すると電炉はコスト的に高いです。



アルミは、電気分解しなければならず、
新品よりスクラップの方が安い。
こう言う時代が続いたようです。

高炉は鉄などの場合です。
昨年、中国需要で鉄スクラップが値上がりし、
スクラップ在庫が無いなどと言う話を耳にしました。

それまでは、
スクラップは下手を打つと、
「お金を払って持っていってもらう」
業者が人件費にならない、(手間が出ない)
状態でした。

新品鉄でキロ1000円以下、鋳物で500円以下
ですので、

質問の再生鉄は更に安くなります。

鉄と言っても、鋼「加工不能」生鉄「強度不足」
鋳物「顕微鏡で見ると穴だらけ。水、油を吸う。
簡単に折れる」
から、
合金「炭素、クロム、モリブデン、ニッケル」
などがあり、

混ぜて再利用しても、
強度保障は出来ない。
強度が強く加工出来ない。(剛性も保障出来なくなる)

加熱加工でやばくなる。


図面では、部品1点1点「S55C」などの材料指定
(強度計算)があり、
品質、強度、耐久性は計算で保証できなければなりません。これが証拠になります。
これが企業のモットー(常識)です。

図面屋が出来れば使いたくないのが
再生鉄です。

プロの機械職人も、「いきなり削れた。」「刃が折れた」が交互に現れ、加工していて
材質が均一でない事が分かるようです。

この回答への補足

確認させていただきたいのですが、結論として「高炉」製品の方が「電炉」製品に比べ、品質に優れ値段も高いというご意見ということで宜しいでしょうか?

補足日時:2005/01/04 15:57
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この回答へのお礼

早速のご回答ありがとうございました。

お礼日時:2005/01/04 15:57

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