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学生の質問ですので、とにかく無知で申し訳ありません。
「国際通貨問題におけるアメリカのbenign neglect政策について」、説明しろという課題を出されたのですが、
いろいろ調べたところ、
そもそもbenign neglectの訳自体いっぱいあり、あるひとつの事柄を言っているわけでもなく
ただの「態度」をあらわした言葉のようです。
課題はほんとにそれだけ書かれていただけなのですが、
これが現在のアメリカのドル安容認について言っているものなのか、それともほかの事なのか。
教授のテーマ設定があいまいなのか、
それとも「アメリカのbenign neglect政策」といったら○○年のなんたらというひとつの出来事を指すのか。
それがわからないと考えようがありません(>_<)
どうかアドバイスお願いします。

A 回答 (2件)

 まず、「赤字」を容認することがなぜ「好景気」になる


か、ということから。

 非常に単純化して言えば、赤字分だけ余分に買い物が
できる(財を購入することができる)という事です。

 10000円の収入があるAさんという人がいて、
 Aさんにパンを売るBさんという人がいるとします。

 Aさんが収入分だけパンを買えば
 10000円分だけ買い物ができます。
 Bさんにとっては10000円分の収入となります。

 ここで、Aさんが借金を1000円して11000円分の買い物
をしたとします。そうすると、Aさんが「いま」持って
いるパンの価値は11000円という事になります。

 当然、BさんはAさんから110000円の現金を得ること
になり、Bさんの経済も10%増加していることになります。

 この増加分によって、Bさんはいままで買わずに置い
たものをCさんやDさんから買い、CさんやDさんは
そのお金でまた買い物をしたり、新しく機械を買ったり
と、Aさんの最初の借金から経済が拡大していくわけ
です。

 一般に前の期よりも経済の拡大幅が大きくなること
を「好景気」と呼びます。やや極端に単純化しましたが
、これが財政出動(財政赤字)による有効需要の創出と
乗数効果と言われるものです。

 で、この経済の拡大は最初のAさんの借金によって
賄われました。Aさんは借金をしたわけですから、何ら
かの形で返さなければAさんは破産をしてしまいます。

 ではAさんがBさんからの買い物を減らすことで
、Aさんの財布に黒字を生み出し、それを借金の返済
に充てたとします。こうするとAさんは破産を免れる
ことができます。

 しかしBさんが貰える収入は減ります。そうすると
Bさんは買い物を控えますから、CさんやDさんの収入
も減ってしまうことになります。Bさんからの買い物を
当てにして新しく機械を買ったDさんは甚だ困ります。

 かくてAさんが借金を返そうとする(黒字にする)と
経済全体が不景気になってしまうわけです。

 これが有効需要の減少による経済収縮(景気後退)と
言われるものになります。よく消費が低迷しているから
景気が悪い、と言われる時にはこういうイメージが
あると思って頂ければ。

 さてAさんは借金をすることができました。借金が
できたということは、誰かからお金を借りることが
できたということです。

 貸した人をEさんとしましょう。このEさんは、A
さんが当然返してくれると思って貸しているわけです。
果たして期日が来たので返してくれと言ってきます。

 しかしAさんは手持ちがありません。
 しょうがないから鉛筆に「1000円」と書いた紙を
Eさんに渡します。野口英世がよく似ていたので
Eさんは納得し1000円として受け取ります。

 さてEさんは鉛筆の1000円札を持ってBさんのパン
屋で買い物をします。Bさんはそのお金を見てなんか
変だと思ったものの、それを受け取ります。そして
Cさんの店で使い……としていくうちに、鉛筆の1000円
札は巡り巡ってゆくのでした。

 Aさんが一般人ならばこの話はただの偽札ということ
になるのですが、Aさんが政府という事になれば話は
全く違ってきます。

 「1000円」が「1000円である」という事を決めている
のは政府であり、その政府が「この鉛筆書きの札も1000
円札である」と保証すれば、市場に1000円分だけ余分に
お札が出回ることになります。

 これが財政赤字に起因する追加的通貨発行と呼ばれる
ものです。新しく「お金」を作ることで借金を賄って
しまおうというわけですね。

 しかし、この鉛筆のお札は、新しく買い物をするため
だけに用いられたもので、稼いだお金ではありません。
稼いだお金でないということは、モノの裏打ちが伴い
ませんから、いままでのお金の価値を一斉に下げる効果
を持ちます。単純に言えば、これが財に対する貨幣価値
の下落(インフレーション)を齎すわけです。

 さて、ドルと金の話に戻りますと、もともと第二次
世界大戦後に成立したブレトン・ウッズ体制で、ドルと
金の交換を前提とした金為替本位制度が成立し得たのは
、当時経済的に非常に豊かだったアメリカに世界の金
保有残高の大半が集まっていたという事情がありました。

 しかし、1960年代に入ると、アメリカはベトナム戦争
による戦費や「偉大な社会」と呼ばれた福祉支出の増大
により、財政赤字を生み出します。

 財政赤字が生み出されたとき、貯蓄によって賄われない
時は、通貨の発行によって賄われます。普通の国であれば
通貨の発行は激しいインフレを齎します。

 しかし、ドルは金と交換できることになっていました
から、経済復興が進んだヨーロッパや日本が外貨準備と
して保有するようになっていきます。

 ところが、アメリカの財政赤字、貿易赤字は好転する
兆しがまるでなく、経常収支赤字は恒常的になりました。
という事は世界にドルが流出していくということに
なります。

 繰り返しになりますが、この流出したドルも、当然
ながら金と交換できることになっていました。アメリカ
の経済の先行きが好転する見込みが無いことがはっきり
してくると、世界中でドルと金を交換してくれ、という
動きが活発になります。

 暫くはアメリカは金とドルの交換に応じていました。
しかし、金とドルの交換に応じる、ということは、
アメリカ国内の金が、交換を求めた国に流出すること
を意味します。

 果たして1940年代に世界中の金を集めていた筈の
アメリカの金準備は急速に下落していきます。

 金が流出するのはドルがアメリカ国外にあるからです。
金を流出しないようにするには、ドルを増やさないこと、
つまり、アメリカの経常収支を均衡させることが必要
でした。

 しかし前述のように、ベトナム戦争をし、社会福祉
支出を増やしている当時のアメリカにとって、財政収支
を均衡させることは不可能でした。となると、このまま
放置しておけば、アメリカ国内の金がなくなってしまう。

 金が無くなって困るのは、金本位制度であるからだ。
それならば、金とドルの交換を止めてしまえばいい。

 かくて1971年アメリカはドルと金の交換を停止します。

 つまり、誰がどういう目的で、というところは、
アメリカが自国の借金経済を続けるため、というのが
一番手っ取り早い理由です。

 アメリカはAさんの役割を果たしていますから、
Aさんが借金をやめると皆困るわけです。といって
Aさんがいつまでも鉛筆書きの千円札(十ドル札か?)
を書き続けるのも困るわけです。

 まとまりが無さ過ぎますが、ひとまず。
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この回答へのお礼

すごく丁寧に説明してくださって、ありがとうございます!!こんな私にもよく理解できました♪
早速課題がんばりたいと思います!

お礼日時:2005/01/15 14:38

出題背景が良く解らないので微妙なのですが、


国際金融論での課題とすれば、
「アメリカのbenign neglect政策」
といった場合は、ブレトン・ウッズ体制が崩壊した
1971年以降のアメリカの国際金融政策一般を指す
表現として用いられることがあります。

ブレトン・ウッズ体制は変形的な金本位制度
(ドルと金の交換を前提とした金為替本位制度)
と、それを前提とする固定相場制度でした。

しかし、1971年にアメリカが金とドルの交換を停止し、
金とドルとのリンクをなくしたドルを機軸通貨とする
変動相場制度へと移行します。

このとき、ドルは、アメリカ国内のための通貨である
と共に、世界経済の主要決済手段としての二つの顔を
持つことになりました。

金とのリンクを欠いたドルが、安定した機軸通貨であり
続けるためには、国際収支の均衡を維持する必要が
あります。

しかし、もともとアメリカ国内の景気浮揚政策のために
ドルと金との交換を停止したアメリカ政府は、国際収支
の赤字を許容し、機軸通貨の不安定化を黙認します。

これが国際通貨問題に対する、アメリカの
「優雅なる無視(benign neglect)」
と言われるものです。

特に財政赤字の含まれる経常収支赤字が問題にされる
事が多いのですが、経常収支、貿易収支の双子の赤字の
結果、国際収支の赤字が膨らみ、世界各国に機軸通貨で
あるドルが撒かれることになります。

このドルは、機軸通貨国であるアメリカの国内事情に
よって増えたものであって、国際的な金融決済手段の
便宜の為には多すぎることになります。このため、国際
的な金融取引において、浮動性、流動性が高まりました。

結果として通貨が投機目的で使われやすくなり、メキシコ
通貨危機、アジア通貨危機に代表されるような、国際
金融市場の不安定性の一因になっているという指摘が
為されることがあります。

この回答への補足

とても丁寧にお答えいただいてありがとうございます。
授業は国際社会を「統計」の観点から考えようという広い範囲のものです。
ただ、ブレトンウッズ体制については直前に扱っていたので、おっしゃるとおり、1971年以降のアメリカの国際金融政策一般を対象にしているのかもしれません。


回答のなかで分からなかった点が2つほどあります。

(1)
>もともとアメリカ国内の景気浮揚政策のために
>ドルと金との交換を停止したアメリカ政府は、国際収支
>の赤字を許容し、機軸通貨の不安定化を黙認します。

のところがよく分からなかったのですが、ドルと金との交換を停止し金本位制を廃止することがどうしてアメリカ国内の景気を回復させることになるのでしょうか?また、「好景気」のために「赤字」を容認というのは私にとっては矛盾して聞こえるのですが、どういう意味なのでしょうか?

(2)
>経常収支、貿易収支の双子の赤字の
>結果、国際収支の赤字が膨らみ、世界各国に機軸通貨で
>あるドルが撒かれることになります。

の部分なのですが、国際収支の赤字が膨らんでドルが撒かれるとは、誰がどういう目的で「撒いて」いるのでしょうか。

そもそも金融とか通貨とかいう範囲にはまったく無知なため、言っていることが的をはずれているかもしれなくてすみません(--;)

補足日時:2005/01/08 18:52
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