コブ・ダグラス型生産関数Y=K^aL^(1-a)の利潤最大化問題について質問があります。
資本量K、労働量L、生産物の価格p、資本賃貸率r、賃金率wとして、利潤πが
π(K,L)=pK^aL^(1-a)-rK-wL
で表されるとします。ただしaは0<a<1の定数で、市場はすべて競争的であるものとします。
これが最大となる(K,L)を求めるために、K、Lについてそれぞれ偏微分して、それらが0になるという式を1本ずつ立て、連立方程式を解こうと思いました。しかし2式は
K/L=(r/pa)^(1/a-1)
K/L={w/p(1-a)}^(1/a)
という形になり、(r/pa)^(1/a-1)={w/p(1-a)}^(1/a)でない限り解(K,L)が存在しないことになってしまいました…
そこで疑問に思ったのですが、
コブ・ダグラス型生産関数は利潤最大化問題の解を持たない場合が多いということでしょうか?それとも違う解き方で解を求められるのでしょうか。あるいは経済学的に、(r/pa)^(1/a-1)={w/p(1-a)}^(1/a)という条件が成立するのでしょうか?だとしたらそれはどんな場合ですか?
長文になってしまい申し訳ないです。どなたか教えてくださると幸いです。お願いいたします。
A 回答 (4件)
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No.4
- 回答日時:
十分回答したつもりだが、まだ理解できないのだろうか?
・生産関数が規模に関して収穫一定(不変)のときは、最適な(利潤を最大化する)資本と労働の組(K,L)は一意(ただ一つ)ではない。もしかして、あなたは「規模についての収穫一定」という概念を知らないのだろうか?生産関数が規模に関して収穫一定とは、すべての投入をα倍をしたとき、産出量もα倍になる性質をもつことをいう。コブ・ダグラス生産関数は一例だ。いま、コブ・ダグラス生産関数において(K,L)を(αK,αL)としてみる。このとき、(αK)^a(αL)^(1-a)=αK^aL^(1-a)=αYとなり、産出量Yもα倍になることがわかる。つまり、生産関数Y=F(K,L)は任意のα>0にたいしてαY=F(αK,αL)となるとき、規模に関して収穫一定に従うというのだ。投入する生産要素がたとえば労働Lのみの生産関数Y=F(L)ならば、規模に関して一定の生産関数はF(L)=aLと書け、これ以外にはない(確かめられたい)。ただし、aは正の定数。
・一般に、生産関数Y=F(K,L)、資本報酬率r、賃金率w、生産物の価格pが与えられたとき、利潤を最大化する(K,L)およびYを求める1つの標準的方法は、(1)Yが与えられたとき、そのYを最小総費用で生産したときの、最小総費用CをYの関数として表した、費用関数C=C(Y)をもとめる。しかるのちに、(2)利潤Π=pY - C(Y)を最大化するYを求める、という2つのステップをとる。
何度も書いているように、生産関数が規模に関する収穫一定に従うときは、第1のステップで得られる費用関数は
C(Y)=cY
の形をとる。ここで、cはrとw、そして生産関数のパラメータで与えられる正の定数だ(コブ・ダグラスのときのcの値は回答2で導出した)。つまり、生産関数が規模に関して一定の性質をもつときはそれから導かれる費用関数は限界費用および平均費用が一定値をとる(Yの水準には依存しない)関数となる。
MC=C'(Y)=c=C(Y)/Y=AC
よって、第2のステップで与えられる利潤関数は
Π=pY - C(Y) = pY - cY =(p-c)Y
と、Yのリニアの関数となる。したがって、この企業の供給関数は
0=dΠ/dY=p - c
で与えられるので、価格pを縦軸に、生産量Yを横軸にとると、縦軸上のcのところから水平に延ばした直線
p = c
となる。いま、この財を供給する同質の(つまり同じ生産関数、したがって同じ費用関数をもつ)いるたくさんの企業からなるとするなら、このp=cという供給曲線は市場の供給曲線でもある。いま、この市場の当該財にたいする需要関数が
Y=D(p)
で与えられるとするなら、市場の均衡価格は
p=c
市場の均衡取引量は
Y=D(c)
となる。つまり、右下がりの需要曲線が、縦軸のcのところから水平に伸びる直線とが、交わる点で定まることになる(図を描いてたしかめよ)。
No.3
- 回答日時:
供給曲線とは、それぞれの価格に対して利潤最大化供給量を示す曲線だ。
供給曲線が右上がりになるときはそれぞれの価格にたいして一意の(ただ一つの)利潤最大化生産量が定まる。生産関数がコブ=ダグラスのように規模に関して収穫一定を示すときは供給曲線は推右上がりではなく、ある特定の価格(p=c)において水平の直線となる。そのときは、その特定の価格より高い価格(p>c)では利潤最大化生産量は存在しない。利潤最大化生産量が存在するのはその特定価格以下の価格にたいしてのみ、つまり、p≦cに対してだけということだ。いま、規模に関して収穫一定の生産関数の別の例として、より簡単な生産関数、ある財を労働だけで生産する企業を考えてみましょう。aを正の定数として
Y=aL
とあらわされるとしましょう(この生産関数が規模に関して収穫一定であることはわかりますよね!)。このときこの企業の利潤Πは
Π=pY - wL = apL - wL =(ap - w)L
とあらわされる。利潤最大化労働雇用量はいくらか?機械的にΠをLで微分して0とおいても正しい答えは求まりませんよ。
0=dΠ/dL= ap - w
この企業(競争企業)にとってapもwも外生(外から与えられた値)なので、右辺を0にするようにLを選ぶことはできません!
前と同じように、(1)ap > w, (2)ap<w, (3)ap=wの3つのケースを考える。(1)のときは利潤最大化雇用量は存在しない。(2)と(3)のときのみ利潤最大化雇用量が存在する。つまり、(2)のときは、L=0であり、(3)のときは、存在するが非決定。つまり、Lは正の有限の値なら何でもよい、ということだ。
いま、生産関数がY=a√L(規模に関して収穫逓減)ならば、あなたが得意の方法(微分して0とおく方法)で利潤最大化雇用量は見つかることはいうまでもありません。
No.2
- 回答日時:
No1で示したcの値を求めておきましょう。
生産関数がコブダグラスで与えられたとき、費用関数C(Y)を求めるためには
min C=rK + wL
s.t.
Y=K^aL^(1-a) (*)
の条件付き最小化問題を解けばよい。つまり、生産量Yが与えられたとき、このYを最小費用で生産するためにはどのような生産要素の組(K,L)を選択すればよいか、という問題を解く。費用最小化の1階の条件は
(∂Y/∂K)/(∂Y/∂L)=r/w
となる(左辺は技術的限界代替率、右辺は生産要素価格の比率)ので、計算すると
(a/(1-a))(L/K) = r/w
となる。よって
L=((1-a)/a)(r/w)K
これを生産関数(*)に代入すると
K=Y[((1-a)/a)(r/w)]^(-a)
L=Y[((1-a)/a)(r/w)]^(1-a)
を得る。これらが生産量Yが与えられたとき、そのYを最小費用で生産するために必要とされるKとLの組である。KとLの値をC=rK+wLに代入し、KとLを消去するとこの企業の費用関数
C =[ a^(a-1)(1-a)^(-a) r^(1-a)w^a]Y = [(r/a)^(1-a) (w/(1-a))^a]Y
を得る。つまりcの値は
c = (r/a)^(1-a) (w/(1-a))^a
となり、あなたが求めた値と一致します。
>② どんな場合に(r/pa)^(1/a-1)={w/p(1-a)}^(1/a)が成立しますか?
p=cのときです!ここで問題となってる企業は競争企業(プライステイカー)なので、市場で与えられた価格pを観察し、p<cなら供給すればするだけこの企業の損失が増えるので、市場に供給はしない。p>cなら、供給すればするほど利潤が増えるのでいくらでも際限なく供給しようとする。p=cのときにはいくら供給しても利潤はゼロなので、市場に供給するとしても供給量は定まらない、つまり、最適な供給量は存在しない、ということ。No1で書いたように、3つの状況はこの企業の供給曲線が縦軸のcの値のところから水平に伸びている直線であらわされる状況です。
No.1
- 回答日時:
いま、費用関数がC=C(Y)と与えられたら、競争企業の利潤最大化生産量Yは求められますか?利潤をΠと書くと、利潤Πは
Π=pY - C(Y)
と与えられるので、利潤を最大化するYは一般には
0 = dΠ/dY=p -C'(y)
を解くことで与えられる。費用関数が
C(Y)=cY (*)
で与えられたら、どうする?ただし、限界費用を示す小文字のcは定数、上の式にC'(Y)=cを代入すると
0=p-c
となる。cは定義によって一定、競争企業(プライステイカー)にとっては市場価格pも一定で、cに等しいという保証はない!したがって、この方程式は解けない!あなたが直面したのと同じ問題にぶつかる。実は、コブダグラス生産関数だけでなく、一般に規模に関して一定の生産関数に従う競争企業はこの問題に直面するのです。のちほど、コブダグラス生産関数に従う企業の費用関数は(*)であらわされることを示しましょう。
そのまえに、費用関数が(*)であらわされるときの、競争企業の利潤最大化問題を考えてみましょう。利潤は
Π=pY - C(Y) = pY - cY = (p - c)Y
したがって、pもcもこの企業にとって外生であることに注意すると、3つのケースがある。
(1) p > c のとき。このときは、Yは大きければ大きいほどΠは大きくなる。最大利潤は存在しない!
(2) p < c のとき。このときは、利潤最大化生産量Yはゼロ(なぜ?)
(3) p = c のとき。 このときは、利潤はYの値にかかわらず、ゼロ。利潤最大化生産量Yは非決定。
以上をまとめると、価格pを縦軸に、生産量Yを横軸にとったときの、供給曲線は縦軸のcのところから水平の直線となる。
生産関数がY=K^aL^(1-a),資本報酬率r、賃金wで与えられるとき、cはa、r、そしてwであらわすことができる。まずあなたがトライしてみてください。
お返事ありがとうございます!
コブ・ダグラス型の関数は、利潤最大化の解を持つ場合と持たない場合があることが具体的にわかりました。
計算したところ、c=(r/a)^a{(1-a)/w}^(a-1)となりました。
続けての質問になりますが、2つ疑問点があります。
①質問文にある(r/pa)^(1/a-1)={w/p(1-a)}^(1/a)という条件と回答していただいた⑴〜⑶の条件には何か関係があるんですか?
② どんな場合に(r/pa)^(1/a-1)={w/p(1-a)}^(1/a)が成立しますか?
よろしくお願いいたします。
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gootarohanakoさんへ
疑問①については解消されました。質問文の
(r/pa)^(1/a-1)={w/p(1-a)}^(1/a)
を整理したらp=cと一致しました。つまり、質問文の条件式は⑶を表していているんですね!