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障害者雇用納付金制度についての質問です。

障害者雇用納付金制度が障害者雇用の積極的な取り組みを阻害していると言われている理由は何なのでしょうか?

A 回答 (1件)

障害者雇用促進法による法定雇用率が設定された直後の1977年調査では、最も障害者雇用率が高かったのは、従業員数50~99人の中小企業でした。


逆に、最も障害者雇用率が低かったのは、従業員数1000人以上の大企業で、障害者雇用納付金制度で言えば、障害者雇用に積極的な中小企業が大企業に対する協力金を払っている、とでも表現できるようなイメージでした。

障害者雇用納付金制度では、法定雇用率を超えて障害者を雇用する企業に対しては、補助金としての「調整金」を支給します。
調整金の原資となるのは、法定雇用率未達成の企業から徴収する「納付金」です。
この制度の運用は、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 が担っていますが、納付金として集めた物を調整金として廻す、ということで、機構の収支が成り立っています。
早い話が「機構を介在した、企業同士の助け合い」とも言えます。

現在、従業員数50~99人の中小企業の障害者雇用率は1.60%です。
これに対し、従業員数1000人以上の大企業の障害者雇用率は2.16%で、状況は1977年当時とはすっかり様変わりしてしまいました。
つまり、経営が安定している大企業側が調整金も受け取ってしまっている、という矛盾が生じてしまっています。

昨今の社会情勢から、中小企業では、ますます障害者雇用が進まない現状にあります。
このため、経営面を考えると、障害者を雇うよりも納付金を納めてしまったほうがまだマシだ、と考える中小企業が多くなってしまっています。

法定雇用率の未達成が続く企業には、厚生労働省の労働局から指導が入り、企業は、一定の措置(たとえ雇用率を満たせない結果に終わったとしても、一定数の障害者を雇用するという措置)を行なう義務が生じます。
それでもなお、その措置がなされないなどといった不備があるときは、企業名が公表されます。
ですが、中小企業は、こういった罰則を承知の上で、それでもなお経営重視の観点から障害者を雇用したがらない傾向が強い、と言われています。

なお、法定雇用率が達成されている企業のほうが多くなってしまうと、機構に入ってくる納付金が少ないのに調整金ばかりがふくらむこととなり、機構としては大赤字になってしまいます。
これを避けるには、法定雇用率をどんどん上げてゆくしかないのですが、上げれば上げるほど、上述したように「経営重視の観点から、障害者を雇用したがらない企業」がますます増える、という悪循環が続きます。

以上のような実態があることから、障害者雇用納付金制度は、障害者雇用をかえって妨げてしまっているのではないか、と言われているのです。
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この回答へのお礼

ご回答いただき、どうもありがとうございました。

心より感謝申し上げます。

お礼日時:2021/12/10 02:16

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