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昔の西洋に、吟遊詩人という人々がいたようですが、この人たちについて、(1)いつ頃現れ、いつ頃いなくなっていったか(またのその理由)、(2)主に活躍した地域や国、(3)普段の生活、などについて、概要がわかるような本がありましたらご紹介ください。専門的な本ではなく、文庫や新書の「読み物」のような本ですと有難いです。

A 回答 (1件)

吟遊詩人は世界の民族が古代から持っていた語り部の一種といえるでしょう。

語り部とは各民族の歴史、神話を暗記して代々伝えた人たちです。人類が文字を発明する前からいたわけです。

古代の吟遊詩人として有名なのはギリシャのホメロスでしょう。今日まで伝わる英雄叙事詩を歌ってギリシャ中を回ったといわれます。ヨーロッパの先住民ケルト族も神話を伝える吟遊詩人を持っていました

中世になると吟遊詩人が職業化してニュースをいち早く全国に伝えるため楽器を弾きながら旅をしたり、宮廷に仕えて王やその一族に物語を歌で聞かせました。日本では琵琶法師と呼ばれる吟遊詩人が平家物語などを弾き語りで民衆に聞かせて行脚をしました。

近世になるとニュース性に芸術性(音楽性)を加えて吟遊詩人の活躍の場が増えました。メキシコではコリードという事件を歌いこんだ歌が流行し、アルゼンチンではパンパ(草原)の住民がパジャードという即興の歌をギター片手に歌い、旅先で
歌比べを行って吟遊詩人の名手になることを競っていました。日本では浄瑠璃語りが三味線を手に全国を回り主としてお涙頂戴の人情物語を分かりやすく庶民に歌って生活費を稼ぐようになりました。

明治になって新政権の方針に不満をもつ若い壮士達がギターを弾きながら政権批判を行いましたがこれも一種の吟遊詩人でしょう。吟遊詩人という言葉がヨーロッパから伝えられ、猫も杓子もヨーロッパを向いていた当時の人々が、ことさら特別視
し、必要以上にロマンティックなイメージを加えたため吟遊詩人が特別な存在になってしまったのだと思います。今日、駅前の広場などでギター片手に歌を歌っている若者がいますが、あれが吟遊詩人の原型に近いと思います。

このように人々に歌を通じて喜びを与え、内外のニュースを伝えていた吟遊詩人は
新聞、雑誌、ラジオ放送とマスコミが発達するにつれ、また国民の義務教育が普及するにつれ、存在価値がなくなり遂に職業として成り立たなくなって舞台から姿を消したものと思われます。

参考書やURLは吟遊詩人で検索すれば多数ある筈です。
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この回答へのお礼

大変丁寧な回答有難うございました。
漠然と持っていたこと以外にも意外な側面があったことを知りました。
以前検索サイトで探したときには、個人が自分のホームページに「吟遊詩人」と冠しているものが大量に引っかかってきたので諦めたのですが、検索の仕方を工夫して再トライしてみます。
有難うございました。

お礼日時:2001/09/24 00:42

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