ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡のメッキは何故銀やアルミニウムではなく金なのですか？

2021年12月25日に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡には金メッキが施されておりますが、反射率の点からすると全金属中、可視光線から遠赤外線にかけての波長域において最も反射率が高いのは銀であるのに対し、金は赤外線領域における反射率が(反射望遠鏡の主鏡のメッキとして良く使われている)アルミニウムと同程度にしか過ぎない上に黄色よりも短波長の可視光線領域の反射率が低いという短所があるにもかかわらず、何故、可視光線から遠赤外線という広い波長域における反射率が最高である銀や、赤外線領域における反射率が金と同等で可視光線領域の観測も可能な上にノウハウが蓄積されていて使いやすいアルミニウムではなく、赤外線領域における反射率が銀に劣る上に可視光線領域の観測には使えない金が使われているのでしょうか？

【参考URL】
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 - Wikipedia > 望遠鏡
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7 …


株式会社光響 > Optipedia > レーザーセミナー講義ノート > 2022年9月14日開催：植田憲一（セミナー講義ノート：光学薄膜の物理と技術 その1） > 金属表面の反射スペクトル
https://optipedia.info/kokyoseminar/2022-9-14/ch …

No.12 回答者： fba 回答日時： 2024/11/24 23:11

…#3=#8=#9です。

>　ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は昭和42年以前ではなく、21世紀に入ってから正式に開発が始まったのですから、近年のデータを基準として考えるべきでしょう。

　ええ、だから主鏡の試作を何度も行った結果ベリリウムに金蒸着にしてると思いますが？

　反射率のデータですけど、膜厚と入射角でも変わるはずです。望遠鏡の主鏡ですからほぼ垂直入射になりますが、理科年表でも1μmで銀98.8%に対し金98.2%、アルミが93.9%とあります。低いと言っても1%以内の差なら、化学的安定性が圧倒的に高い金を使うのが妥当ではないでしょうか。

　質問者の提示したデータ以外で、赤外域の反射率がアルミ>金ってデータが出てこないんですよね…反射光学系の蒸着膜の話に限れば。

※「2022年に開催されたセミナーの資料である事が記されています。」ってことは、これが反射光学系に適用できる最新の正しいデータとしても2021年に打ち上げたJWの反射鏡には使えませんね、多分。遅くとも10年前には仕様を決めている筈ですので。

この回答へのお礼

御回答頂いた事には感謝致します。

　しかしながら

>ええ、だから主鏡の試作を何度も行った結果ベリリウムに金蒸着にしてると思いますが？

というのは、実際の話ではなく、単なる回答者様の希望的観測ですよね？
　私が知りたいのは｢ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡のメッキに金を採用した“実際の”理由｣であって、希望的観測や予想ではないのです。

>化学的安定性が圧倒的に高い金を使うのが妥当ではないでしょうか。

　いいえ、宇宙望遠鏡は真空の宇宙空間で運用されるものなのですから、(ナトリウムのような反応性の高いものでもない限り)化学的安定性は関係ないと考えるべきでしょう。


>質問者の提示したデータ以外で、赤外域の反射率がアルミ>金ってデータが出てこないんですよね

　それは問題の本質ではありません。
　本件は｢金メッキが使われている理由｣に関する質問なのであり、銀の方が反射率が上であるという情報源が複数ある以上、

>アルミ>金ってデータが

他に見つからなかったとしても、金が選択された理由にはなりませんので、本件の答えとは成り得ません。
　｢金が選択された理由にはなりませんので、本件の答えとは成り得ません。｣という点に関しては

>※「2022年に開催されたセミナーの資料である事が記されています。」ってことは、これが反射光学系に適用できる最新の正しいデータとしても2021年に打ち上げたJWの反射鏡には使えませんね、多分。遅くとも10年前には仕様を決めている筈ですので。

という御意見も同様です。

お礼日時：2024/11/25 00:44

No.11 回答者： himagene 回答日時： 2024/11/24 20:07

(1) NASAのサイトに書いてあります。

https://science.nasa.gov/mission/webb/webbs-mirr …
-. 赤外線(0.6μmー28.5μm)での観測を目的。ノイズを減らすために全体を極低温(50K)に保つ。
反射鏡をベリリウム製にした理由は、軽くて強度があり、使用する温度範囲（極低温）にしても変形が少ないため。
-. 鏡の表面に金を蒸着。膜の厚さは平均100nmであり、アモルファスSiO2の保護膜で覆う。

(2) NASAではないが、McGill Univ.
https://www.mcgill.ca/oss/article/student-contri …
によると、観測波長域(0.6μmー28.5μm)では銀やアルミの反射率は85%-95%であるが、金は99%の反射率を達成できるので、金を採用した。となっています。下記のデータとは違うのは、蒸着膜の厚さによって差が出ることから、JWSTの蒸着に当たっては彼らの蒸着条件で反射率測定を行なったものと推察します。（本当にそんなに高いか？と言う疑問もありますが）

(3) 市販の保護膜付き反射鏡データは以下にあります。厚さは不明です。
https://www.edmundoptics.jp/knowledge-center/app …
Figure 4のNIR-IR領域反射率グラフでは、保護膜アルミ（水色）、可視強化アルミ（赤）、紫外強化アルミ（紫）、保護膜金（黄）、金剥き出し（橙）、保護膜銀（灰）

この回答へのお礼

御回答頂き有難う御座います。

>(1) NASAのサイトに書いてあります。

に関しては残念ながら金が使われているという事しか記されておらず、金を使用する理由については記されておりませんでした。


>(2) NASAではないが、McGill Univ.
>によると、観測波長域(0.6μmー28.5μm)では銀やアルミの反射率は85%-95%であるが、金は99%の反射率を達成できるので、金を採用した。となっています。

　こういう｢ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の実際の事情｣に関する情報が欲しかったのです。
　ただ確かに

>金コーティングにより、これらのミラーの機能が最適化されます。地球上の基本的な銀とアルミニウムのミラーは赤外線の 85 ～ 95% を反射しますが、金は 99% を反射します。

と記されてはおりますが、良く読むとその反射率の値は宇宙望遠鏡のものではなく、地球上の鏡の話となっておりました。地球上では銀やアルミニウムの表面は大気中の酸素や水分によって酸化し、反射率が低下してしまいますので、本当に｢ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡で金メッキが使われた理由｣なのか疑問があります。
　更には

>なぜ金なのでしょうか? この金属は、可視光線とその他の放射線、特に赤外線領域の両方を非常によく反射します。

という具合に｢可視光線も非常によく反射します｣という事実とは異なる事も記されておりましたから、情報源としては信頼を置けないもののように思えます。


>(3) 市販の保護膜付き反射鏡データは以下にあります。

に関しては、保護膜付きのものの反射率が、金が96%以上、アルミニウムで90%以上乃至は95%以上、銀が98%以上と、やはり銀の反射率が最高というデータとなっておりましたので、金を使う理由にはなっておりません。

お礼日時：2024/11/25 00:21

No.10 回答者： yamaya-hositaro 回答日時： 2024/11/24 18:36

回答No.7です。

＞従って、№2様の
＞＞これは反射望遠鏡等で使われている金属薄膜ミラーの性能比較ですが
＞＞金の性能が他を圧倒してます。
＞という話は間違っていたという事なのですね。

確かに、引用しているグラフは不適切ですが、赤色においては金メッキと銀メッキがアルミメッキよりも圧倒的に優れた反射率を持っているのは、天体観測者の間では常識でして・・・。

この回答へのお礼

御回答頂き有難う御座います。

>赤色においては金メッキと銀メッキがアルミメッキよりも圧倒的に優れた反射率を持っているのは、天体観測者の間では常識でして・・・

との事ですが、事実として質問文欄で挙げた参考URLのページに掲載されているグラフを見る限り、赤色においては金メッキはアルミニウムよりも低い反射率しかありません。
　常識が誤りを伝えている事も珍しくはありませんが、回答者様のおっしゃる｢天体観測者の間では常識｣を正しいと保証するデータ等がはたしてあるのでしょうか？
　金メッキと比較しているアルミメッキの反射率がアルミニウム本来の反射率(新鮮なアルミメッキの反射率)ではなく、酸化皮膜が生じて反射率が低下したものだったという可能性はないのでしょうか？


　何よりそもそもの話として、金メッキが銀メッキよりも優れていると仰っているわけではない以上、可視光線にも対応可能な銀メッキではなく、わざわざ赤外線領域でしか使えない金メッキを使用する理由にはなっていません。

お礼日時：2024/11/24 19:23

No.9 回答者： fba 回答日時： 2024/11/24 16:34

…#3=#8です。

　下記資料だと赤外域の反射率は金が一番良くて、銀、アルミの順ですね。

　https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/content/safety …

>それらはベリリウムに金をメッキする場合にも言える事なのでは？

　パーツ単位であれば実機を作る前に試作くらいしますよ？一番マシな結果を出したものを実機に使うでしょう。

この回答へのお礼

>下記資料だと赤外域の反射率は金が一番良くて、銀、アルミの順ですね。

　そうですね。しかしながらその資料には昭和42年に発行された書籍に掲載されたものである事が記されていますから、50年以上も前の古いデータである事が分かります。
　それに対して私が質問文欄で挙げたデータは2022年に開催されたセミナーの資料である事が記されています。
　つまり、反射率に関する近年のデータでは、赤外線領域においても銀が最も高く、金はアルミニウムと同程度でしかないという事になります。
　成膜技術や測定技術の進歩によってそのような違いが生じた可能性があります。
　ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は昭和42年以前ではなく、21世紀に入ってから正式に開発が始まったのですから、近年のデータを基準として考えるべきでしょう。



>>それらはベリリウムに金をメッキする場合にも言える事なのでは？

>パーツ単位であれば実機を作る前に試作くらいしますよ？一番マシな結果を出したものを実機に使うでしょう。

　そういう話ではなく、

>合金になっちゃって反射面としてはダメ臭い。

という点も

>ベリリウムへの蒸着実績は乏しそうですねぇ。

という点も、アルミニウム独自の短所ではなく、金についても同じ事であり、ベリリウム基材との間に別の物質から成る合金化を防ぐ層を挟むなり、蒸着膜の厚さを合金化が起きない程度まで厚くするなり、幾らでも手段はあるので金メッキも可能になったわけで、それなら同様の手段で銀やアルミニウムのメッキも十分可能という事になりますから、

>合金になっちゃって反射面としてはダメ臭い。

や

>ベリリウムへの蒸着実績は乏しそうですねぇ。

は、アルミニウムや銀が(金と比べて)使えない理由にはならない、という事を申し上げているのです。

お礼日時：2024/11/24 18:07

No.8 回答者： fba 回答日時： 2024/11/24 12:48

…#3ですが。

　JWの主鏡はベリリウムの削り出しですね。どうもアルミを使うと合金になっちゃって反射面としてはダメ臭い。

　ハッブルもすばるもガラス（セラミック）なのでアルミ蒸着の実績は豊富ですけど、ベリリウムへの蒸着実績は乏しそうですねぇ。

※ベリリウムの蒸着、ならいろいろな素材で実績あるはずなんですが。

この回答へのお礼

御回答頂き有難う御座います。

>アルミを使うと合金になっちゃって反射面としてはダメ臭い。

>ベリリウムへの蒸着実績は乏しそうですねぇ。


との事ですが、それらはベリリウムに金をメッキする場合にも言える事なのでは？
　アルミニウムだけではなく、金や銀等の他の金属でも同様の問題があるとすれば、金よりも反射率の高い銀を使った方が良いという事になるのでは？

お礼日時：2024/11/24 13:15

No.7 回答者： yamaya-hositaro 回答日時： 2024/11/24 07:59

回答No.2さんが貼っているグラフの波長の数字をよく見てください。

金のグラフは、銀やアルミニウムのグラフとは、表示されている波長が違います。
赤外線では、金はかなり高い反射率を持っています。

＞赤外線領域における反射率が金と同等で可視光線領域の観測も可能な上にノウハウが蓄積されていて使いやすいアルミニウム

これは明らかに間違いです。
赤外線領域では、金の方が反射率が高いです。

この回答へのお礼

>回答No.2さんが貼っているグラフの波長の数字をよく見てください。

>金のグラフは、銀やアルミニウムのグラフとは、表示されている波長が違います。

という事をお教え頂き有難う御座います。
　確かに金のグラフは赤外線領域のデータしか無いのに対して、銀やアルミニウムのグラフには赤外線領域のデータがありませんから比較する事は出来ないですね。
　従って、№2様の

>これは反射望遠鏡等で使われている金属薄膜ミラーの性能比較ですが

>金の性能が他を圧倒してます。

という話は間違っていたという事なのですね。

　尚、yamaya-hositaro様の仰る

>赤外線では、金はかなり高い反射率を持っています。

という話は、銀やアルミニウム等の他の金属と比較した場合の話ではなく、金単独の事しか述べていませんから、それだけでは本質問の回答としては意味がありません。


>赤外線領域では、金の方が反射率が高いです。

　これは明らかにyamaya-hositaro様の間違いです。
　参考URLで挙げたサイトのページに掲載されているグラフを御覧頂ければ明らかなように、赤外線領域においても金の反射率は銀よりも低いですし、波長が3μm辺りまではアルミニウムよりも低くなっておりますし、5μm以降もアルミニウムと同等でしかありません。

お礼日時：2024/11/24 13:01

No.6 回答者： 真魚 回答日時： 2024/11/24 02:58

はい、失礼しました。

申し訳ありません。ご迷惑をお掛けしました。

No.5 回答者： 真魚 回答日時： 2024/11/23 23:14

レンズのコーティングの話ではなかったですね。

が、望遠鏡の熱遮蔽にも使われているようです。光学式に使うかどうかは不明。
金でなければ何らかのコーティングの色でしょう。

この回答へのお礼

御回答頂いた事には感謝致しますが、真魚様は相変わらず勘違いをされたままです。

>レンズのコーティングの話ではなかったですね。

というのはその通りですが、本件は

>望遠鏡の熱遮蔽

の話ではありません。｢ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡｣に関する質問なのです。


>金でなければ何らかのコーティングの色でしょう。

　いいえ、｢金でなければ｣ではなく｢金｣のメッキについての話です。

お礼日時：2024/11/24 01:30

No.4 回答者： 真魚 回答日時： 2024/11/23 23:07

金色に見えるのは「ポリイミド」というプラスチックフィルムだそうです。

太陽光の熱を遮る「サーマルブランケット」の素材。
衛星の熱を放散するように、微細な穴が空いているそうです。

国産衛星のほとんどのサーマルブランケットは、宇部興産の製品とのこと。

JAXA
人工衛星は何でできているの？
https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/satellite-knowled …

宇部興産
ポリイミドフィルム
https://www.ube.com/ube/contents/chemical/polyim …

三井化学
宇宙で活躍するプラスチックとは？
JAXA「筑波宇宙センター」で素材を見学
https://jp.mitsuichemicals.com/jp/molp/article/d …

この回答へのお礼

御回答頂いた事には感謝致しますが、回答者様は勘違いをされています。
　本件は｢ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡｣についての質問であって、

>太陽光の熱を遮る「サーマルブランケット」の素材

の話などではありません。

>金色に見えるのは

ではなく、｢金メッキが施されている｣鏡についての話なのです。
　因みに、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡の場合、鏡の基材は

>「ポリイミド」というプラスチックフィルム

などではなく｢ベリリウム｣という金属です。

お礼日時：2024/11/24 01:20

No.3 回答者： fba 回答日時： 2024/11/23 18:43

…短所にならないから。

　JWは赤外線観測しかしない仕様なので、可視光の反射率は0でも構いません。（赤外線の観測機器しか積んでないし、ハッブルみたいにメンテに行って機器更新もできないので運用終了まで赤外線の事以外考える必要はない。）

　ここからは半分推測ですが、蒸着膜にコーティングしたくない。可視光の1oct.くらいなら全帯域反射率を取れるコーティングが現実に存在するものの、更に広帯域で穴のないコーティングってまあ無理ですよ。鏡面の精度が維持できるかもわからないし、宇宙空間ではコーティング自体の耐久性も地上のデータが役に立たない。金の蒸着膜なら反射率のデメリットを甘受しても耐久性には絶対の信頼性がある。

　ちなみに、ハワイ・マウナケア山頂のすばる望遠鏡、当初計画では金を使う予定でした。可視光もやりたい、標高が高くて空気が薄いのでコーティングなしでも蒸着のやり直し周期を伸ばせる（最近だと5年間）ということでアルミでやってますね。

　銀って、食器などでもわかるように意外と表面が酸化しますから。

この回答へのお礼

御回答頂き感謝致します。

　しかしながら

>短所にならない

という事であれば、それは銀やアルミニウムについても同じ事が言えるのですから、金を使う事が短所にならないだけで他の金属と比べて｢特にメリットがあるわけではない｣という事であれば、反射望遠鏡の主鏡のメッキとして使い慣れたアルミニウムを使えば済む話ですので、わざわざ金を使う理由になっておりません。


>標高が高くて空気が薄いのでコーティングなしでも蒸着のやり直し周期を伸ばせる（最近だと5年間）ということでアルミでやってますね

>銀って、食器などでもわかるように意外と表面が酸化しますから

という点に関しては、宇宙望遠鏡は真空の宇宙空間で運用されるわけですから、銀やアルミニウムの“短所にならない”ですよね。

お礼日時：2024/11/24 01:09