障害者自立支援法が衆議院を通過しました。このまま順調に参議院を通過すると、来年1月から実施だそうです。医療分野では、精神保健福祉法32条が無くなり、自立支援法での医療費負担になるとのこと。また、福祉分野では、応益負担や利用制限が発生するとのことです。(私の認識、理解が間違ってなければ)ところで、私は、現在、精神病患者として、月2回の通院(32条により0.5割負担)を行い、病院のデイナイトケアに週6日(約50時間、食事2食付。0.5割負担)通っています。この現在の私の利用状況では、自立支援法が成立した時には、私の利用状況にどのような変化が出てくるでしょうか?(負担増とか、利用制限とか。。。)また、いつ頃になったら、私の担当のPSWにも情報が回って来るのでしょうか?どうも今ひとつ実感がわかないので、世間の専門家の方に聞いてみたいです。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
ご質問の件ですが、ご承知のとおり、特に「32条医療」に係る部分の変化が最も影響が大きいと思われます。
【32条医療とは?】
・精神保健福祉法第32条に基づく「精神科通院医療費公費負担制度」
・薬代も含む。入院は対象外。
・精神科通院(心療内科等も含むことができる、とされている)以外は対象外。
・有効期限は2年(更新可)。
・申請が認められさえすれば、利用できる(精神疾患ならば、病名・軽重は基本的に問わない。)。
・必ずしも精神障害者保健福祉手帳(精神障害者としての施策を受けるための根拠)を持っていなくても良い、ということになっている。
【32条医療での精神科通院医療費の計算(健康保険の自己負担分)】
・利用しない場合 … 30%(3割)⇒ 通常の健康保険扱い
・適用され、利用する場合 … 5% ⇒ 注:自治体によっては、この5%分も自己負担しなくて済む
・計算例
<1か月の精神科通院医療費が \10,000 だったとき>
通常の健康保険扱い(30%負担)… \3,000
32条医療適用(5%負担) … \500 ⇒ 6分の1で済む
さて。
この32条医療ですが、障害者自立支援法がスタートすると精神保健福祉法から削除され、障害者自立支援法での「自立支援医療」というものに組み込まれることになります。
その結果、精神科通院医療は、現行の32条医療から大きく後退してしまうことが必至です。
【障害者自立支援法での精神科通院医療はどうなる?】
・原則1割負担(10%)
・一定以上の所得があると、健康保険での3割負担(30%)になってしまう
・有効期限は1年(更新可)⇒ 現行の32条医療の半分に
・精神疾患の病名・軽重によっては、対象外になる ⇒ とても自立支援とは言えない
認められる疾患 … 統合失調症、狭義のうつ病(いわゆる「内因性」のもの)、てんかん
ストレス性のうつ病、心身症、いわゆる「自律神経失調症」、うつ状態 等は原則的に不可。
【障害者自立支援法での精神科通院医療費の計算(健康保険の自己負担分)】
・適用されない場合 … 30%(3割)⇒ 自立支援医療は受けられず、負担は通常の健康保険扱い
・適用される場合
一定以下の所得しかない者(低所得者)… 10%(1割)⇒ 原則1割負担
一定以上の所得がある場合 … 30%(3割)⇒ 自立支援医療は受けられても、負担は通常の健康保険扱い
・計算例
<1か月の精神科通院医療費が \10,000 だったとき>
通常の健康保険扱い(30%負担)… \3,000
原則1割負担(10%負担) … \1,000
⇒ 現行の32条医療(\500)の倍に
一定以上の所得があるため、原則1割負担が認められないとき(30%負担) … \3,000
⇒ 何と、現行の32条医療(\500)の6倍に
以上を見ていただくとわかるように、障害者自立支援法は、精神障害者にとっては多額の負担増になります。
厚生労働省では、「現行の32条医療を受けている者については、障害者自立支援法施行後も一定期間の間、現行と同じ軽い負担を認める(「一定期間の間、更新も可能とする」とされています。)」等の経過措置のほか、いわば「附加給付」的なプラスアルファの助成(これにより、自己負担の軽減を図る方針)を行なう、としていますが、財源が絶対的に不足していることはまず間違いないだけに、決して楽観はできないと思います。
質問者の場合には、サービスの種類毎に自己負担が強いられることになります。
通院は通院、デイナイトケアはデイナイトケア、というように。
これらがそれぞれ原則1割負担ですから、負担は倍になります。
また、先述したように、所得による利用制限が生じます。
「どれ以上の所得に対して利用制限を設けるか?」ということについては、かなり利用制限対象開始所得額を低くする原案(さらに検討中で、確定していません。そのため、具体的な金額はいまはお伝えできません。)が出ており、いままで利用制限が全く心配なかった人でも、これからは利用制限を気にせざるを得なくなるでしょう。
いずれにしても、どう考えても、相当の負担増は避けられません。
PSW(精神保健福祉士又は精神科ソーシャルワーカー)に対しては、既に情報が廻っているはずです。
厚生労働省側は、かなりのところまで資料を出していますし、一般の人も、厚生労働省やWAMNETのホームページからも入手可能です。
但し、非常に探しにくいので、根気強く探してみて下さい。
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