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良く、量子力学の入門の教科書には、「電子のスピンは自転と見ることも出来るが厳密にはダメで、本当は内部自由度と考えるべきでディラック方程式から、、、、」と言う記述があります。
しかし、電子スピンは確かに角運動量(1/2)(h/2π)を持っているのは確かですし、その角運動量は他の角運動量と合成されたりもしますし、磁場などの外力をかければコリオリ力も発生しますし、古典的な回転を引き起こす(アインシュタイン・ドハース効果)こともあります。私には角運動量を回転とみなしてどこが悪い!!、と思えてなりません。
質問:電子スピン角運動量を自転とみなすことに対する具体的な矛盾点はなんでしょうか。

A 回答 (9件)

「スピンは軌道角運動量ではない」というのではなく、「スピンは自転ではない」という話だと思いますが。

「スピンが自転であるとすると電磁放射をするからいけない」というのならば、電子が軌道角運動量を持つと考えるのもいけないことになると思いますが。
スピンが自転であるとすると不都合になる最も有名な例はg因子ではないでしょうか。電子の内部角運動量をS、磁気能率をμとして
 μ=g(e/2m)S
としたとき、水素原子の微細構造の観測からはg=1が予想されます。ところが磁場中のZeeman効果の観測からはgはほぼ2になるのです。ただしThomasが示した様に古典論でも矛盾が解消できないことはないのですが、なぜg-2であるかは説明できません(例えばItykson, Zuber: Quantum Field Theoy, McGraw-Hill,p.16)。Dirac方程式でg=2が自然に説明されたと言うことは有名です。スピンが自転であるとするモデルが否定されたという歴史的な話は
 朝永振一郎「スピンはめぐる」(中公新書)
にあります。またスピンがある物体の自転であるとするとある軸の周りに1回転すると元に戻ると考えたくなりますが、スピノールは1回転すると符号が変わります。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。異常磁気モーメントですか。核子の場合は、それを説明するのに、やれ、p⇔π+nでゆらいでるだとか、やれクォークだとか大騒ぎになったのですが、電子の場合は、「古典的には説明できない」で決着したということでしょうか。
スピノルを検索していたら、
http://science3.2ch.net/test/read.cgi/sci/106426 …
という2chのすごい(まじめな意味で)スレッドを見つけました。
>>ほんとはただの自転なんだろ?言っちゃえよ。楽になるぞ。
と、笑いを誘うものから、
>>磁気モーメントを作るものとして
>>・電荷の運動
>>・磁気単極子
>>以外に何がある?
という突っ込み、そして結局、
>>(中古の)「スッピンめぐる」(ママ)が高い!
で、止まっていました(なんと先週!)

スピノール(α,β)ちょっと勉強します(ちょっとで済むかな?!)。それから、私は某スレッドのNo.12では決してありませんので、あしからず。

お礼日時:2005/07/29 14:17

>Dirac方程式から内部自由度としてスピンが出てくるのはOKなのですが、疑問は「どうして自転と思っていけないか」なのです。

(磁気モーメント(大きさはおかしいけど)、スピン軌道相互結合、アインシュタインドハース、コリオリ(ESR)など、回転を示唆するものばかりです)

そうですねえ。確か、相対論のγオペレータで構成される
αで、S∝α×αをスピン演算子としてましたよね?
γオペレータって、相対論の計量空間でスピノール場を
量子化するために、γ行列をオペレータにしたものだった
から自転とは関係ないのかなと思ってたのですが。。。

>No.7さんの後半の説明は、電子の古典半径を使って計算するとおかしな結果が出てくるということでしょうか。

ちょっと、どの本か記憶が定かではないのですが。
昔のちょっとレベルの高い量子力学の演習教科書
(確か宮沢という人が訳してたような。。忘れました)
に、そういうモデルで計算してみるとおかしいですよね。
という演習問題が有ったと思います。
すみません、ちょっと手元にないのでハッキリ言えません。

申し訳ないんですが、僕は専門が違うのでマスターの
ときでさえ、RyderとかPeskin程度の教科書も全部最後
までは読みませんでしたのでちょっと毛が生えた程度の
ことしかここで言えないため、これくらいで勘弁してく
ださい。

昔の理論を再考するのは、いいスタンスだと思うので
頑張って理解できるといいですね。
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空間座標や運動量とは可換だから現実空間の角運動量としては扱えない、もしくは自転ではないなどということはありません。

古典力学では剛体の重心座標や運動量と、剛体の向きを表わす変数のポアソン括弧は0になると思います。量子論でもそれらは可換です。球形でない原子核には紛れもなく核の自転と解釈される様なスペクトルがあり、それらは重心座標や全運動量と可換な作用素で記述されます。
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#2です。


なんで混乱してるのかをあまり理解してないのですが、
方程式を相対論的共変なものにした場を量子化したとき
に、回転とか全く関係なくスピンの自由度って出てくる
のだからだと思うんですが…。
(相対論的量子論の教科書を読んで昔、
そう思っただけですが。。。)

っていうか、よく教科書で書かれてるのは電子を有限な
塊だとして電子の自回転を、全体の角運動量で計算すると、
スピンと違いますよね。

まあ、大昔の理論が現在になって覆されたらとても面白
いとは思いますが。
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この回答へのお礼

どうもありがとうございます。
Dirac方程式から内部自由度としてスピンが出てくるのはOKなのですが、疑問は「どうして自転と思っていけないか」なのです。(磁気モーメント(大きさはおかしいけど)、スピン軌道相互結合、アインシュタインドハース、コリオリ(ESR)など、回転を示唆するものばかりです)
No.7さんの後半の説明は、電子の古典半径を使って計算するとおかしな結果が出てくるということでしょうか。

お礼日時:2005/07/31 16:51

2chのスレッドを見ましたが、話がなかなかまとまらないので疲れました。

そこで電子のスピンは自転ではないと言うことについて、私の理解(誤解?)を書きたいと思います(ボロが出るかもしれませんが)。
 古典力学によれば自転の角運動量S、磁気モーメントμを持つ物体は
 dS/dt = μ×B
に従って歳差運動をします。これは古典論の方程式ではありますが、古典論のポアソン括弧を交換子で置き換えれば量子論の運動方程式になるので、量子論でもそのまま成立すると考えられます。するとItykson-Zuberにあるようにスピン-軌道相互作用が導かれ、水素原子の微細構造の観測からg=1が結論されます。ところが磁場中のZeeman効果の観測からはgはほぼ2になり、この矛盾は電子の異常磁気能率と呼ばれ大問題になっていた時代がありました(現在は異常磁気能率は異なった意味―gの2からのずれ―で用いられます)。ややこしいことにThomasの歳差運動なるものを導入すれば古典論でも矛盾が解消できないことはないのですが、Thomasの歳差運動は非慣性系へのローレンツ変換というかなり怪しいものを使っている上に、gが2であることの説明も与えません。Dirac方程式ではg=2が自然に出てくるので、電子のスピンは自転として捉えるのではなく、ローレンツ群の表現の方向から考えるべきだと言うことになったのだと思います。なお、ボーア=モッテルソンの原子核の集団運動の理論によれば、球形でない核は量子論的な自転運動をすることができます。電子のスピンが自転であるとすれば電子は有限な大きさでしかも球形でないことになり、この点でも困難があるかもしれません。
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 現実空間の角運動量であれば、その成分Lx,Ly,Lzは、空間座標x,y,zや運動量Px,Py,Pzとの間に、ゼロでない交換関係が成り立ちます。

例えば、[Lz,x]=ih'yや、[Lz,Px]=ih'Pyなど(h'=h/2π)。スピンの場合は、空間座標や運動量とは可換ですから、スピンは現実空間の角運動量としては扱えない、ということではないかと思います。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
私はこれを読んで、あっそういうことか、これなら判りやすい、と思ったのですが、残念ながら、後に続く回答を拝見すると、可換かどうかだけで判断できるものではないようですね。

お礼日時:2005/08/01 17:19

#1のKENZOUです。


grothendieckさんのコメント
>「スピンが自転であるとすると電磁放射をするからいけない」というのならば、電子が軌道角運動量を持つと考えるのもいけないことになると思いますが。
まったく仰るとおりで、この辺のお話は前期量子論のところでよくでてきますね。。。どうも最近ボロがでまくってます(冷汗)。
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非常に中途半端な回答ですが。



初歩的な説明では、軌道角運動量r×pを量子化して
見ると固有値が整数倍で飛び飛びだったのに対して、
その整数だったものをむりやり1/2に置き換えたよう
なものがスピンなので普通の軌道角運動量と少し違うと
思います。

詳しくは、確か標準的な量子力学の教科書に
スピンを軌道角運動量だとして扱うと、
不都合が現れる有名な話があったと思います。
読んでみるといいと思います。

「量子力学I・II」猪木(講談社)
に載っていたような…。
たしか、あ。なるほどなと思った記憶があります。

すみません、中途半端ですが。
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>角運動量を回転とみなしてどこが悪い!!


ぜんぜん悪くないと思いますよ。ただそのイメージだけににしがみつくといろいろ不具合が出てくるというか、、、

>質問:電子スピン角運動量を自転とみなすことに対する具体的な矛盾点はなんでしょうか。
スピンを電子の自転とするモデルは電子は有限の大きさを持った粒ということが暗黙の前提になっていますが、電子を例えば球体とし、電荷を持った球体が自転すると電磁波を輻射することになります。しかし、現実にはそのようなことは観測されない。量子力学では電子は粒子としての振る舞いと同時に波動としても振舞う2重性を持っていることが知られています。なんともモデルとしてはイメージしにくいですね。。。
高橋康著「古典場から量子場への道」には場の理論の観点からこの辺りのお話が載っていたように記憶しますので一度図書館で見られたらいかがでしょうか。
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