No.2ベストアンサー
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赤経・赤緯と視赤経・視赤緯の違いについては、先の質問の回答で、すでにご存じのことと思います。天空の座標系で、ある天体などの位置を、座標値で示す時、地球の自転平面を天空球面に投射して、この線(円)を赤緯0度の線とする訳です。赤緯は、地球上の緯度線を天球面に投影して、丁度、北緯A度というように表現すると同様に、この緯度の高さに対応する天球面の緯度線を、赤緯として使います。従って、北極の真上に延ばした天球上の点は、「天の北極」で、この点で、赤緯+90度で、反対に南極点の天球上への延長が、「天の南極」で、この天で、赤緯-90度となります。
赤経の方は、「春分点」を0時とし、そこから、天の赤道上で、東回りに15度づつを1時間として、全天360度を、24時間に分けて、地球上の経線に対応する、天の赤経線を考え、赤経の値と赤緯の値で、天球上の天体などの位置を指定するのが、「赤経・赤緯」座標です。
しかし、前の質問にもあったように、地球は整然とした回転運動を完全に行っているのではなく、大きな変化として、「歳差運動」というものがあって、「黄道天」が少しづつずれて来ますし、天の北極、天の南極もずれてきます(地球は、普通の自転以外に、周期が2万年ほどの別の回転運動をしており、天の北極が結果的に、天球面で、円を描いて移動します。これを、「歳差運動」と言いました。
また、歳差運動以外に、他の天体の運動の影響などで、別の不規則な運動があり、これを「章動」と言いました。「歳差運動」と「章動」があるので、星表などに乗っている天体の「赤経数字」と「赤緯数字」の位置に、実際に観測する天体はいないということになり、少しずれた位置で観測されます。この歳差運動と章動でずれた、「実際の天体の赤経・赤緯位置」のことを、「視赤経・視赤緯」と呼ぶのです。
「黄経・黄緯」と「視黄経・視黄緯」の違いは、黄道座標の場合は、黄度ゼロのいわゆる黄道面が、地球の公転面に当たっているので、この面の不規則も幾らかあるかも知れませんが、それより、赤道座標と同様に、歳差運動により、「春分点」が移動するということで、実際の天体の位置と、黄道座標での視位置に違いが出てくるということになります。
それ以外に、黄道座標は、天球面を見ている位置を太陽中心にするか、地球中心にするかで違いが出てきます。前者を「日心黄道座標」、後者を「地心黄道座標」と呼びます。
理論的には、黄道座標は、太陽の中心に観測原点を置いた「日心黄道座標」の方が、太陽系の天体の運動などを把握するには都合がよいのですが、実際に観測する際には、「地心黄道座標」が、観測者は地球にいるので都合よくなります。
「地心黄道座標」でも、「赤経・赤緯と視赤経・視赤緯」の関係に対応する、「黄経・黄緯と視黄経・視黄緯」の違いが出てきます、それは主として春分点の移動によるためです。
地球を中心とした黄道座標の場合、恒星等の位置を表現すると、地球の公転運動に応じる、「視差」の変動が出てきます。非常に遠方の天体の場合、視差は問題になりませんが、数十光年とか、数百光年の距離の恒星等だと、「視差」が公転によって変化して来ます。百光年程度内の恒星は大体、視差によって、その距離が測定されています。太陽を中心とする黄道座標では、視差の問題は起こりませんが、それでも、太陽自身の銀河系内運動や、恒星などの固有運動で、時間の経過と共に、記載されている座標値が実際の値と食い違って来ます。
この食い違いは、地心黄道座標でも、赤道座標でも、恒星などの天体の位置を表現すると、時間と共にずれが起こって来るのです。
惑星等の位置を黄道座標で表現すると、観測の日時によって、天体の位置が変化します。天体力学的に位置を計算することもできますが、惑星黄道位置表は、季節や日ごとの値が出ているので、何月何日の何時何分に観察しているかで、星表の座標から、近似計算をしないと、実際の「視黄経・視黄緯」は出てこないことになります。例えば、一日刻みで、グリニッジ時ゼロ時で記載されている惑星の黄道座標値は、観測地点とグリニッジ時との実質時差を考えにいれ、世界時で考えて、例えば、3月3日0時が、黄道座標(8h10'25'', 4度22'40'')で、3月4日0時が、(8h10'47'', 4度22'6'')なら、世界時3月3日14時に観測する場合、この目標天体の座標は、14/24=7/12だけ、差分が進んでいると考えねばなりません。3月3日から4日にかけての、黄経と黄緯の差は、22" と -34''です。これに7/12をかけて、元の3月3日0時の値に加えると、実際の座標値が出てきます。この場合、経度は+13''程度、緯度は、-20''程度です。従って、この時刻での、実際に見える黄道座標値は、(8h10'38'', 4度22'20'')となります。
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