No.4ベストアンサー
- 回答日時:
>不斉合成は一般に、低温条件下、低極性溶媒中でおこなわれることが多い
そうではない。エナンチオ選択性を向上させることだけを考えれば、No.2の回答者の方が述べている通りで低温のほうが良いケースが多い。しかし、だからといって闇雲に温度を下げてしまっては、反応そのものが進行しない。
なお、低温のほうが選択性が高い反応は多いが、温度が高いほうが選択性が向上するケースも珍しくは無い。温度が高くて選択性が向上する反応は最近では珍しくは無い。
>複数の生成物ができるとき、生成比が生成物の安定性に従うときが熱力学的支配、生成比が反応速度に従う時が速度論的支配と化学事典で調べました。
その通りである。
>今度私がおこなう不斉反応は、光学活性な金属錯体を用いた反応なのですが、生成物がR体に寄るのか、S体に寄るのかは光学活性な金属錯体と反応基質によるジアステレオマーの関係にある反応遷移状態の間のエネルギー差なのだと考えました。
ジアステレオマー? 違う。貴方が言おうとしているのことは、例えばオレフィンに何かを反応させる際に、金属にオレフィンがRe面で配位するのかSi面で配位するのか、そのときのオレフィン配位中間体の自由エネルギー差が反応を支配すると言っているのであろう? そうではない、本当の遷移状態、すなわちエネルギーレベルの山の頂点を比較しなければ意味が無いのだ。目的物を与えるpathと異性体を与えるpathの山の頂点がジアステレオマーの関係にあると決め付けてはいけない。
>極性溶媒だと、この有利な遷移状態がSn1反応の遷移状態と同様に、溶媒和により安定化されて、不利な遷移状態と変わらなくなってしまうので、
そのような決め付けは良くない。貴方は不斉反応の単なる一例にだけ見られる傾向を全ての不斉反応に当てはまるものだと根拠も無いのに強引にこじつけようとしている。
例えば一部の不斉水素化反応は、溶媒に極性の低い溶媒を用いるよりも極性の高い溶媒を用いたほうが選択性が良い。貴方も先輩も勉強不足である。
とにかく、わずかな知識orケーススタディだけで関連分野全ての傾向を決め付けようとするのは科学者の姿勢として大いに間違っている。科学者は実験第一なのだ。
No.3
- 回答日時:
補足します。
有機反応の場合、不斉合成に限らず、一般に、低温の方が選択性が高くなります。これは多くの反応が速度論支配で進むからです。すなわち、熱力学支配で進む可能性があるのは可逆反応の場合のみであり、それに該当しない反応が多いということです。
>生成物がR体に寄るのか、S体に寄るのかは光学活性な金属錯体と反応基質によるジアステレオマーの関係にある反応遷移状態の間のエネルギー差なのだと考えました。
その通りだと思います。
>極性溶媒だと、この有利な遷移状態がSn1反応の遷移状態と同様に、・・・結果として生成物のeeが低くなるので極性溶媒は良くないのかと考えました。ただし、光学活性な金属錯体と・・・・Sn1反応の遷移状態のように大きく分極している場合のみ言えるかと考えています。
SN1は遷移状態ではなく、カルボカチオン中間体を経由します。これと比較する考え方は極端すぎるとは思いますが、溶媒和によって、2種類の遷移状態のエネルギー差が小さくなるということもあると思います。全ての場合にあてはまるかどうかはわかりませんが。
おおまかな考え方としては妥当だと思います。
No.2でもそのような主旨で回答したつもりです。
No.2
- 回答日時:
低温条件下で行われるのは、その方が選択性が高くなるからです。
すなわち、2種類のエナンチオマーが生じる反応の活性化エネルギーの差が等しい場合に、反応温度が低いほど、それらの反応速度の差が大きくなり、選択性が高くなるということです。反応が速度論支配である限り、不斉反応でなくとも、常にそうなります。
不斉合成であれば、生成物の熱力学的な安定性に差がないのが普通ですので、ほとんどの場合に速度論支配になると思います。
溶媒の極性が低ければ、反応の中間体が溶媒和されにくい為に、溶媒分子による妨害(選択性の低下)が起こりにくいということではないでしょうか。ただし、これに関しては反応の種類によって違うことではないかと思います。
通常は、条件検討の際に種々の溶媒を検討し、結果的に最も好結果を与えたものを選択するということになるでしょうから、その溶媒が最適である理由に関しては必ずしも明確にわかっているわけではないと思います。
No.1
- 回答日時:
>不斉合成は一般に、低温条件下、低極性溶媒中でおこなわれることが多いと思います。
大間違いである。中にはそのような傾向を持つ反応もあるが、それは不斉反応全般に見られる傾向ではない。
>低温で反応がおこなわれるのは、生成物のキラリティーが速度論に支配にされるからだと思いますが
速度論に支配されるとはどうゆう意味かな? 速度論的に反応の選択性が支配される時の条件について、詳細に補足していただきたい。貴方がこの点を理解していない限り、説明しても意味が無いだろう。レポートなどの目的で質問しているのであれば、貴方自身が理解していようといまいとかまわないのだろうが、貴方はそのような意図で質問しているのではないだろう?
>低極性溶媒でおこなわれるのはどうしてでしょうか?
具体例を挙げ、なぜ溶媒の極性が選択性を左右されるのかについて貴方の意見を述べていただきたい。
【ご自分の判断や不明点の説明もなく回答のみを求める質問は、マナー違反であり】
>自分なりに調べたつもりなのですが、
何をどのように手段でどこまで調べて、何を疑問に思ったのかについて詳細に補足していただきたい。
この回答への補足
アドバイスありがとうございます、補足します。
不斉合成は一般に、低温条件下、低極性溶媒中でおこなわれることが多いと先輩からききました。たまたま見た反応(光学活性なカルベン錯体を触媒として用いたアルコールのアセチル化でした。)でも低温の方がeeが高かったので、それと溶媒もTHFか何かだったので一般にそうなのだと勝手に決めつけてしまいました。
複数の生成物ができるとき、生成比が生成物の安定性に従うときが熱力学的支配、生成比が反応速度に従う時が速度論的支配と化学事典で調べました。
大学院有機化学という本の不斉合成反応のページに、
「不斉誘導の形式をとわず、速度支配の不斉反応によって生じるジアステレオマーの関係にある反応遷移状態の間のエネルギー差によってきまる」
と書いてありました。今度私がおこなう不斉反応は、光学活性な金属錯体を用いた反応なのですが、生成物がR体に寄るのか、S体に寄るのかは光学活性な金属錯体と反応基質によるジアステレオマーの関係にある反応遷移状態の間のエネルギー差なのだと考えました。極性溶媒だと、この有利な遷移状態がSn1反応の遷移状態と同様に、溶媒和により安定化されて、不利な遷移状態と変わらなくなってしまうので、結果として生成物のeeが低くなるので極性溶媒は良くないのかと考えました。ただし、光学活性な金属錯体と反応基質によるジアステレオマーの関係にある反応遷移状態が、Sn1反応の遷移状態のように大きく分極している場合のみ言えるかと考えています。
以上のような考え方の間違い点を教えていただければ幸いです。
最後になりましたが、私の至らぬ質問内容で大変なお手数おかけしたことお詫び申し上げます。
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