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最近読んだエッセイに、古来から現代に至る間に、虫の名前がたくさん入れ替わってきたという話が載っていました。

それによると、
『枕草子』に書かれている「鈴虫」とは今の「松虫」のことで、逆に「松虫」が今の「鈴虫」、又「はたおり」とは今の「きりぎりす」のことで、「きりぎりす」は今の「こおろぎ」のことだそうな・・・

単に名前が変っていくのであれば分るのですが、このように複雑に入れ替わったりしたのには、どんな背景があるのでしょうか。

非常に興味がありますので、どなたかご存知の方、教えていただけますでしょうか、お願いします。

A 回答 (1件)

わかりやすい背景としては、京都と東国で虫の呼び名がことなっていたことがまずあげられるでしょう。



参考URL No.1 「『松虫』 と 『鈴虫』 の呼称について」 によれば、「甲子夜話 (巻百 鈴虫松虫の弁) 」(松浦静山 1760-1841) にそのことについての言及がみえるそうです。
興味深い記事だとおもいますが、文献からの引用にタイプミスがあるので、岩波古語辞典から訂正しておきます。

「夫木抄 十四蟲」
→「月まつ虫うかがひて琴 (きん) の声にあやまたせ、ある時には野辺の鈴虫を聞きて谷の水の音にあらがはれ」

岩波古語辞典によれば、古典にでてくる鈴虫が今の松虫だというのは、江戸時代後期の 「古今要覧稿」 以来の説です。
そうだとすれば、参考URL No.1 の記事を読んでみると、松虫と鈴虫の名の入れかわりについてははっきりしない部分のほうが大きいという気がしてきます。
日本古典文学大系 「枕草子 43段」 の頭注には、鈴虫 ・ 松虫の呼称の入れかわりについては藤井高尚 (1764-1840) の随筆 「松の落葉」 にくわしいとあります (日本随筆大成編輯部 吉川弘文館 から出版されています)。

古典の 「きりぎりす」 が今のコオロギだという説については、たとえば 「古今和歌集 (巻四 195)」 藤原忠房の歌、

蟋蟀 いたくななきそ 秋の夜の 長き思ひは 我ぞまされる

この 「蟋蟀」 は五音であることから、 「きりぎりす」 と読みます。 萬葉集では 「こほろぎ」 と読まれていた 「蟋蟀」 が、平安時代には 「きりぎりす」 と読まれるようになりました。この 「蟋蟀 (きりぎりす)」 が今のコオロギであるというのは、キリギリスは夜に鳴かないという根拠にもとづきます (ウィキペディア/キリギリス の項を参照)。くわしくは、参考URL No.2 「(1) コオロギ」 によくまとめられています。
萬葉集の 「蟋蟀 (こほろぎ)」 は、辞書に書かれているとおり、今のコオロギではなく秋に鳴く虫の総称だったのでしょう。なぜなら、萬葉集にはほかの虫の名があらわれないらしいからです。「源氏物語」 や 「枕草子」 の時代になって、ようやく虫の鳴き声をきき分けて楽しむようになったと思われます。

「蟋蟀 (きりぎりす)」 が 「蟋蟀 (こほろぎ)」 にもどり、 「機織(はたおり)」 がキリギリスになった背景については、不明です。

参考URL:http://www.wind.ne.jp/takotubo/matusuzu_musi.htm, http://homepage2.nifty.com/manyou2001/korogi.html
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

私もエッセイを読みながら、どうも腑に落ちない気がしていたので、質問してみたのですが、ご回答を拝見すると、「鈴虫・松虫」については決して確立されている説ではないんですね。

一方では、「キリギリス・コオロギ」については、変化の事実はあるようですが、その背景は分っていないということになりますか。

大変参考になりました。

お礼日時:2006/09/18 08:04

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