No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>先立つ親不孝
「先立つ親不孝」ではなく、「先立つ不孝」が本来です。
孝は『孝教』という儒教の書物にまとめておさめられています。孔子は、その『孝教』の中で、孝が仁義礼智忠信孝悌などの概念の中でも最高の徳であると孔子が語ったとしています。
また『孝経』には、
身体髪膚これを父母に受く。敢て毀傷せざるは孝の始めなり。身を立て道を行い、名を後世に揚げ、もって父母を顕わすは孝の終りなり。
それ孝は、親につかうるに始まり、君につかうるに中し、身を立つるに終る。
とあります。つまり、自分の体は親から授かったものであり、それを傷つけないようにするのが孝の基本だというのです。ということはすなわち、親より先に死ぬことは「不孝」そのものだということになります。
>親不孝であるといった価値観・死生観はいつ頃定まったものなのでしょうか?
>儒教が浸透する以前にも言われていたことなのでしょうか。
それはわからないと思います。儒教が庶民レベルにまで広まったのは江戸時代ですが、そろよりずっと昔の平安時代のエリートには、すでに深く浸透していました。また、平安時代には仏教説話などのなかに儒教説話が混在していたりします。日本の書物の出現より仏教伝来のほうが150年くらい早いのですから、日本人の道徳観念から儒教の影響を排除して、独立し確立された観念があったのかどうなのかは、わかりようがないことでしょう。親より先に死ぬことをなによりも悪い行いとするのは、儒教の影響とみるのが自然だと思います。
>非国民とみなされたのでしょうか?
当時は、軍国主義的全体主義という社会主義思想が唯一絶対だったわけですから、当然、「非国民」に相当するでしょう。親の親が天皇陛下(実は軍部)だったわけですから。このような例は、壺井栄『二十四の瞳』など多く著作に記述があります。
しかし、多くの著作物に、
「逃げ回ってでも生きて帰ってきなさい」
「(小声で)これこれ滅多なことを言うもんではありません」
などといった描写があります。これは当時、多くの日本人が軍国主義的全体主義と従来からの道徳観・宗教観のダブルスタンダートの中で生きていたということなのだと思います。
>「先立つ不孝」が本来です。
失礼しました。親不孝ではなく不幸が本来なのですね。
無知ですみません。
儒教の影響とみるのが自然なのですね。
最近は「親から授かった体だから傷つけてはならない」と考えている人は少数派になりつつあるように思いますが、体を傷つけないのは孝の基本だったのですね。
>ダブルスタンダートの中で生きていたということなのだと思います。
本音と建前のような使い分けもあったのでしょうね。
ありがとうございました!
No.6
- 回答日時:
韓国の方から伺ったのですが、やはり儒教の思想だとおもいます。
儒教で一番優先するのは「考」であり、「考」の中には祖先を祭ることも重要なこと考えられているようです。そこで親より先に死ぬことは親を祭ることができないので大変な親不孝とされているようです。実際に近所に住んでいた韓国出身の方は息子が亡くなったとき韓国では親が子供の葬式は出来ないといって葬式をしなかったので隣組の住民で葬式を出したことがあります。親より先に死ぬことで、親を祭ることができないことが大変な親不幸とされているのですね。
韓国は今でも長幼の序を重んじる社会なので、日本人よりも尊属を祭るということは遥かに重視されているのでしょうね。
ありがとうございました!
No.5
- 回答日時:
No.2です。
下のウィキペディアの記事によれば、
『日本と、中国・韓国では、「孝」そのものの解釈が若干異なるために、行動様式として孝の概念が逆になることもある(例えば日本では親の身代わりに子供が死ぬことは親不孝であるが、中国韓国では親孝行である)。 』とあります。
日本だけが『孝』の解釈がチョッと違うようですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%9D
日本と中韓では「孝」の解釈そのものにズレがあるのですね。
むこうの考え方を受容する中で、日本の社会や時代に合うように変容していったのでしょうか。
ありがとうございました!
No.4
- 回答日時:
大きくなった子供に先立たれた親を見れば判ります。
私の友人の両親は、15年前に死んだ娘(夜間の突然死)の部屋を片付けていませんし、両親を取り押さえて出棺したそうです。
私の叔父が死んだ時も祖母(叔父は末っ子)が狂ってしまい、取り押さえて出棺しました。
おっしゃることはよく分かります。ただ、現代我々が通有する価値観や社会通念が必ずしも古今東西に普遍性を持つことだとは思わないのですね。
もちろん、子を亡くした親が悲しみの極致にあるのはいつの時代も同じでしょうし子が親に先立つのは非常に悲しいことなのは同じでしょうけど、それが「親不孝の最たるもの」という社会通念が、人間が生まれながらに持つ普遍的なものではないのだろうと思います。
ありがとうございました!
No.2
- 回答日時:
小生罰当たりな無宗教者で、哲学というのもサワリだけしか勉強したことはありませんので、想像で申し上げます。
忠とか孝は儒教の教えであることは間違いないことですが、『親より先に死ぬことほど親不幸なことはない』というのは、儒教というエライ教えからハミ出しているというか、土俗的な臭いがしますね。
親が子を思う素直な感情でしょうから、儒教というよりもよりも、もっと動物的な感じがします。「孝」という字を儒教から借りているだけなんじゃないかな。
誰が言い出したのかは知りませんが、根っこのところは儒教以前だと思います。
>戦時中は、『親より先に死ぬことほどの親不孝はないのだから必ず生きてかえって来い』と兵隊さんに言うことは(士気にかかわるので)非国民とみなされたのでしょうか?
・・・親は赤の他人の前で、子供に対し『必ず生きて返って来い。』とは云いにくいと思います。
神宮外苑の学徒出陣壮行式の学生代表の答辞は、有名な
『生等モトヨリ生還ヲ期セス』です。
でもね、教養のないおろかな母親が他人の前で、出征する子供に取りすがり『死ぬな、生きて帰って来い。』と云っても、誰も責めることはできません。
これを非国民と罵るバカな人は稀にいたかも知れませんが、ほとんどゼロに近いでしょう。
戦前、官憲に痛めつけられ、戦後復活した物書き人が『非国民』を書きすぎる傾向があるように思います。
私も、根本的には人が人である以上、理屈なく子が親に先立つのは良くないという価値観は大昔からあったと思うのですが、それを「親不孝の最たるもの」と位置づけられたのはいつ頃のことなのかなと疑問に思い質問させて頂きました。
赤ん坊の成人までの生存率が低く、庶民も頻繁に戦に駆りだされる戦国の世などでは当然価値観も今とはかなり違うでしょうし、子が親より早く死ぬことはとても悲しいことだけどそれが「親不孝の最たるもの」という社会通念が戦国時代とかでもあったのかなと思った次第です。
>戦前、官憲に痛めつけられ、戦後復活した物書き人が『非国民』を書きすぎる傾向があるように思います。
そうなのかもしれません。戦前に弾圧を受けた反動で、実際以上に「非国民」が強調されている面はあるのでしょうね。
子に帰って来いという母親がいても、当時としてもそれは責められないですよね。
ありがとうございました!
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