繰延税金資産を貸借対照表で計上している上場企業の具体的事例について、その背景にどんな意味があると推測するのが妥当なのかについて、教えて下さい。
超一流企業の三菱商事の連結決算書の貸借対照表を見たところ、繰延税金資産は0円となっていました。これは、三菱商事および連結子会社が、税務上の欠損金が、昨年度もその前の年度も全く発生しなかった、という理解でよいのでしょうか?同じ業態(総合商社)で同規模の三井物産の貸借対照表では、繰延税金資産は相当額の計上がありますが・・。
また、同じく超一流企業のトヨタ自動車の貸借対照表を見ると、繰越税金資産は結構な金額が計上されています。これは、赤字の子会社がそれなりにあるということを意味するのでしょうか?
No.1
- 回答日時:
三菱商事は繰延税金資産を計上していると思いますが。
。。繰延税金資産の計算は
将来減算一時差異という翌期以降に税務上損金として認容される項目をすべて集計し
そのうえで認容しきれない(課税所得見込み額が差異より少ない)部分を
控除して計上します
繰延税金資産を計上しないというのは翌期以降数年間は課税所得が発生しない
(赤字になるのとはちょっと違います)
という意味で捉えます
実際はもうちょっと機械的にやっているはずですので
過去の実績が影響しますが理屈上はこんな感じです
ご回答、ありがとうございました。
ただ、コメントいただいた理論・意味は、分かっているつもりなのですが・・・。きっと、私の元投稿の日本語が悪かったのだと思います。
もう一人の方から頂いたコメントの方に、別途、追加の疑問点を書かせて頂きます。
いずれにせよ、ありがとうございました。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
繰延税金資産は、税務と会計の乖離を正すために設けられた制度です。
(昔は会計と税務が乖離していませんでしたのでこの制度はありませんでした)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B9%B0%E5%BB%B6% …
簡単に説明すると、上記のとおりです。
具体的に賞与引当金で説明します。(説明が簡単なので・・・)
たとえば、3月決算の会社(賞与対象期間10月~3月)が6月に賞与を支給する
場合。昔は引当金額を(一定のルールで)賞与対象期間に税法上損金として認
められていました。
しかし現在、企業会計では賞与引当金を計上しますが、税法上は賞与対象期間
では損金として認められず、賞与支給時に損金として認められます。
(例)
税引前利益2億円 当期税金が8千万円 (1億円の賞与引当金がある場合)
この場合、2億円の利益-8千万円の税金=1億2千万円(当期純利益)
ですが、
短期繰延税金資産(流動資産)/法人税等調整額(損益勘定) 4000万円
(実効税率を仮に40%とした場合)
このように仕訳します。
2億円-(8千万円-4千万円)=1億6千万円(当期純利益)
※税金は8千万円払ったが、6月に損金として1億円(税額として4千万円)が
認容される(予定)なので、会計上は税金を先取りするという制度です。
つまり、企業会計と税務会計の乖離を修正するために設けられたものです。
http://www.mitsubishicorp.com/jp/pdf/ir/meetings …
これが三菱商事の損益計算書ですが、繰延税金とかかれている部分が本件に相当
します。
http://www.mitsubishicorp.com/jp/pdf/ir/meetings …
これが、貸借対照表です。短期・長期の繰延税金資産(負債)が表示されています。
http://www.mitsubishicorp.com/jp/ir/finance/data …
(上記の一括ダウンロードでは、2007年3月期エクセルデータがダウンロードできます)
2007年3月期で短期繰延税金資産 407億
長期繰延税金負債 2228億
が計上されています。
引当金は、粉飾の温床となる可能性もありますので、厳密に機械的に計上を行い
公認会計士の見解を厳正に反映しなければ意味がなくなります。
>同じく超一流企業のトヨタ自動車の貸借対照表を見ると、繰越税金資産は結構な金額が計上されています。これは、赤字の子会社がそれなりにあるということを意味するのでしょうか?
よって、繰延税金資産にはご質問にありますような複雑な意味は無いと思います。
<また、損益計算書と貸借対照表だけでは、そんな複雑な事は分かりません>
(因みにトヨタ自動車は、単体より連結の方が遥かに利益が出ています)
ご回答、ありがとうございました。
・まず初めに、「三菱商事において、繰延税金資産が0円」というのは、私の誤りでした。過年度のB/S推移表の1996年度のところを見て、勘違いしておりました。その点、見落としがあったことを、お詫び申し上げます。
・その上で、ご回答いただいた内容で、理解はかなり進みました。誠にありがとうございます。
・ただ私は、日商簿記検定2級程度の知識しかなく、財経部門の実務経験がない営業の者のため、大変恥ずかしい限りなのですが、更に教えて下さい。(営業部内で最近、マーケッティング・セールス系の仕事から、海外子会社の管理統合の仕事に担当がシフトしたため、財経の勉強を再開し始めたところです。)
(1)繰延税金資産とは、てっきり、課税所得が0円を下回ったときの税戻り分だけを指すのかな?と思っておりました。しかし実際には、事例で挙げてくださったように、例えば「賞与引当金」の税戻り分は費用科目としては「法人税等調整額」に含まれ、それはB/S上の貸方「繰延税金資産」の一部の金額に含まれている、ということなのですね?
(2)(話が飛んで、恐縮ですが、)上記の理解で正しいとしたら、「賞与引当金」はP/L上はそもそも「一般管理費」として扱われないのでしょうか?給与と賞与は勘定科目が違うのですか?また、昨年度末(例:08年3月末)でのB/S上で08年6月支給予定の賞与見込分1億円を超過または下回った賞与を実際には支給した場合、08年3月末時点のB/Sの調整はいつ・どのように行うのでしょうか?
(3)「賞与引当金」の税戻り分の他にも、繰延税金資産に含まれ得る簡単かつ具体的な事例はありますでしょうか?
(4)最後に、このレベルの者(非経理部員・非専門家)にとっても理解しやすい税務の入門書がありましたら、推薦していただけますでしょうか?
No.3
- 回答日時:
>「法人税等調整額」に含まれ、それはB/S上の貸方「繰延税金資産」の一部の金額に含まれている、ということなのですね?
はい。そのとおりです。
賞与は、6月(等)1年以内に支給されます(予定)ですので、短期繰延税金
資産となります
>「賞与引当金」はP/L上はそもそも「一般管理費」として扱われないのでしょうか?給与と賞与は勘定科目が違うのですか?
賞与引当金繰入(損)等の勘定科目(人件費ですから一般管理費です)になります。
給与と賞与は一般的に異なる勘定科目を使用します。
(勘定は企業により微妙に異なります、御社の勘定をお確かめ下さい)
>08年3月末時点のB/Sの調整はいつ・どのように行うのでしょうか?
引当金は、決算時に考え得る条件において予想して引き当てをします。
実際の支給時には、決算時には想定できない事が(当然)起こりますので、一
般的に引当額と支給額は異なります。
支給日に、引当額を取り消して支給額を計上すれば調整した事になります。
>(3)「賞与引当金」の税戻り分の他にも、繰延税金資産に含まれ得る簡単かつ具体的な事例はありますでしょうか?
退職給与引当金があります。
退職金の支給に備えて引き当てしますが、これは全て有税の引き当てです。
賞与と違ってなかり未来の引き当てですから、長期繰延税金資産となります。
貸倒引当金
税法で貸倒引当金の限度額が定められていますが、限度額以上の引当金を
計上することもできますが、この部分が繰延税金資産の対象になります。
その他有価証券
評価差損、評価差益に基づいて、繰延税金資産を計上します。
(実際には利益も差損も出ていませんから、実際に売買した時に確定します)
>海外子会社の管理統合の仕事に担当がシフトしたため、財経の勉強を再開し始めたところです。
一般論で申し訳ありませんが、実際に税務申告するのでなければ、ある程度
の基礎知識があれば問題ないかと思われます。
繰延税金資産でしたら
http://www.azsa.or.jp/b_info/letter/63/01.html
こんなHPの内容が理解できるのであれば十分かと思います。
(御社の上層部が質問者さんに何を求めているかで異なりますが・・・・)
gutoku2様、週末も含め2回もご回答頂きまして、ありがとうございました。
質問前までは、恥ずかしながら、「課税所得がマイナスの場合の税戻り分」以外に、繰延税金資産には具体的に何が含まれると想定するのかを知りませんでしたが、gutoku2さんの丁寧かつ分かりやすいご解説で、よく解りました。
例えば、10-3月の勤務実績に基づいて翌年度6月に賞与を支払うだけで繰延税金資産が発生するということさえ知りませんでしたが、知識を深めることができ、深謝致します。
ありがとうございました。
#私の会社は、経理部や財務部はありますので、私自身は営業である限りは基礎知識があれば十分なポジションです。ただ、財務・経理の観点からの子会社統合のメリット・デメリットを財経部に依頼して話し合うための知識として、繰延税金資産の有効活用というissueが挙げられた関係上、そもそもの基本的なところを知りたいと思い投稿したものです。
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