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No.4ベストアンサー
- 回答日時:
あなたが医学関係の専門家なわけですね。
だから混乱すると。先にも書きましたが、医療人類学といっても医学研究ではありません。単に医療行為に関することを調査対象とするだけであって、その価値判断をするものではありません。少なくとも本来的な民族学の範囲から出た医療人類学であるなら、その医療行為自体を直接何かに利用しようとするようなことは目的としていません。#2の方の回答で混乱が深まったような気がしますが、伝統医学の再評価とか薬草の収集といったことは民族学の範疇からズレています。周辺領域からアプローチした人が副次的にそうしたことをすることはあっても民族学の本来的な研究ではありません。
またついでに言っておけば民族学(文化人類学)は民俗学とは全く別物です。これも一般の方から誤解を受けやすいところですが、民族学の方は柳田国男の民俗学の方とは全く違ったものです。民俗学が遡及的傾向をもつのに対して民族学はあくまで現在について研究するものです。
余談はさておき、民族学の目的を簡単に言ってしまえば、それは異文化理解です。たまたま対象が医療行為だったというだけで、話を分かりやすくするために慣習一般ということでここは考えてもらえると良いでしょう。我々はそれぞれ自文化を持っています。外のものを理解しようとするときにも必ずそのフィルターを通して見ることが多いでしょう。単なる観察に終われば研究としての専門性もないわけです。レヴィ・ストロースの言を借りれば、民族学者の仕事は、「偏見をもって見ながら、自分に偏見があること、自分の偏見を自覚したこと、自分の偏見が判断に影響を与えていること、だから、その判断を修正しなくてはならないことを、一刻一刻と学んでゆくこと」です。
民族学のひとつの側面でありそれが全てではありませんが、物事を観察する目を養うということがあると思います。これは私見ですが。
ここまで来れば少し分かっていただけたかと思いますが、例えば医療行為を調べるにしても、それは我々の理解している医療・医学の尺度から切り離されて観察されます。フィールドワークであれば、郷に入って郷に従う姿勢が必要ですが、そこでも表には出ないながらも自文化の尺度が自分の中にあることは理解していなくてはなりません。ただし観察はそこから離れ、その尺度で役に立つ役に立たないということを評価せずに、対象へのリスペクトを持ってのぞむわけです。
私自身は医療人類学を特にやったわけでもありませんので、文化人類学一般のこととして説明しました。文化人類学といっても領域も広く、あなたの息子さんの大学で具体的にどのようなことをやっているのかは見当もつきませんが、学部生でフィールドまで行こうというのは、かなり熱心な学生だと思います。そちらの大学がどういったシステムになっているのかは分かりませんが、文化人類学専攻で2年3年やってもよく分からないままというのが多いので、積極的に学習する機会を求めて行動するのは良いことだと思います。
小生のような素人に本当にご親切に教えていただきありがとうございました。異文化の理解・・・。テレビのコマーシャルにもありますが「異文化コミュニケーション」を通して、数字などでは計りきれない生のデータを自らをその文化の中に置くという形で経験主義的に調査をする事のようですね。この度は、ShaneOMacさんをはじめみなさんのおかげで本当にいい勉強になりました。息子にも、ShaneOMacさんの説明を紹介しましたら「さすがに専門家は違う。僕のような素人では説明になってなかったなあ」と反省し、さらに自分の言葉で小生に説明を加えてメールをくれました。息子のフィールドワークを理解し、良き協力者になってあげたいと思います。ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
国際学部であって医学部ではないんですからあなたの思っている意味での医学とは全く関係ないと思ってください。
>「近代医学的考え方を悪いと決めつけているような」
全く見当外れです。民族学の考え方として、そういった“良いとか悪いとか”、“決めつける”といったあり方自体が内容に沿いません。
私も文化人類学(民族学)専攻で修士まで出ましたが、親はその内容について全く理解していませんでした。説明しようとしてもなかなか分かってもらえないので面倒になって解説はやめましたが。何度訂正しても歴史について学習するものだと思っていたようです(^_^;)。
文化人類学というのは大きく言えば人間を知るための学問ですが、その上で対象として人間がつくったものを対象として扱います。言語、宗教、慣習等です。医療人類学とはその中から対象を医療行為に絞ったものです。
医療行為といったら何か?というと、例えば、日本でも目もらい(ものもらい)になったときにするおまじないとかそういったものがあるでしょう?簡単に言えばあの類の物です。
病気の原因についての説明の仕方や、それへの対処法について調査することが具体的な内容です。そういった方面の考え方は民族学で代表的な信仰や宗教の領域とも重なるため古くから研究されてきた分野です。
学際的方面から他の実際的な医学の分野からアプローチするケースもあるでしょうが、あくまで民族学としては近代医学と比較してどうこうという話ではなく、単なる文化事象の一つとしてそれを研究するまでです。#2さんのような科学的にその価値を検証するとかいうことは本来やりませんし、民族学の対象でもありません。
不明な点があれば補足しますので遠慮なく。
この回答への補足
ありがとうございます。なんとなく解ったような気がするのですが、医療施設で人工臓器という目的がはっきりしている開発研究をしている小生にとって、「病気の原因についての説明の仕方や、それへの対処法について調査すること」が、何の目的で行おうとするのか、フィールドワークの結果を何に活かそうとしているのかが解りません。人類学といううのは、解ったようでわかりにくい学問ですね。
補足日時:2002/07/14 21:38No.2
- 回答日時:
国際学部とは無関係の場所にいますし,また,教室によって医療人類学の受け止め方やテーマといった内容は多岐に渡っているようですから,一概には述べにくいですネ。
私なりには
地域文化と医療との関係を調べること。
そして,実学としては,それらの文化的要素も加味した上での医療協力をおこなう糧とするもの
として受け止めています。
歴史的な背景,民俗学的な背景,地理文化的な背景・・そういったものを調べることとなるでしょう。
そして,過去3000年も5000年も伝えられてきた伝統医学(伝承医学,地域医学,民族的医学・・)の論理と西洋医学の論理とは互いに受け入れることができない差を持つものです。
しかし,現代医学と論理的に異なっているから排除すべきものかというと,それは違いますネ。
WHOのチェンマイ宣言において,伝統医学は伝統医学として認めよう。ということが決議されています。
地域特性をもつ薬草の利用(例えば,下剤の使用には非常にはっきりとした民族性・地域性が認められますネ),宗教的な要素の強いもの,疾病の原因についての地域や民族によって異なる独特の解釈・・
こういったものを現地で(フィールド)調査することは大切です。
私の属している学部では事象をそのまま報告とし,事実を事実としてのみ扱い,科学的な検証を行い,考察では民俗学的な要素を極力抑えています。
しかし,国際学部ということですから,逆に考察部分の民俗学的な部分を重視した報告となり,そのために難解なものとなっているのでしょうネ。
以上kawakawaでした
ありがとうございます。地域文化と医療との関係を調べることとは、確かに息子が云っていたことですが、関係を調べた結果をて何に役立てようとするのか解りません。息子も「解らない。そんなこと云っていたら、何にも調べることができない」となってしまいます。しかし、医学研究者である小生にとって「何のための研究で、結果を何に利用できるのか」を漠然とでも先ずデザインする習慣があるものですから・・・。
No.1
- 回答日時:
文化人類学のひとつのカテゴリーと思ってもらえばいいと思います。
何のために何を探求する?
という質問にはおそらく漠然とした答えしか返ってこないでしょう。あくまでも素材を医療とそれに関わる人間たちとその歴史に求めて考えるわけですが、直接に医療現場にその研究結果が反映されるわけではなく、どちらかと言えば考えることに意義がある、という学問ですから。研究者の数だけテーマがあって、さらにそれぞれに考えも答えもあるわけです。
「未開発国の民族を調べに行かなければならない」
というのは、研究テーマをかかえてレポートを作成する予定の大学院生ならともかく、卒業前の学生に絶対に必要な経験であるとは思えません。tomizuさんが疑問を持つのであれば、息子さんに具体的にプレゼンしてもらうのが一番でしょう。親に対して形だけでもそれができないレベルであればただの秘境観光旅行になるだけです。それはそれで息子さんが得るものもあると思いますが、スポンサーのあなたが納得できなければ費用を出してやる必要はないでしょう。
ありがとうございます。いろいろと説明を聞いているうちに、こちらもエキサイトしてきて、話が違う方向に行ってしまうのです。小生は医療に従事し研究対象が人工臓器のためか、なおさら息子の医療人類学が理解しにくい場合があります。 確かに、息子にプレゼンして貰うのがもっとも近道かもしれませんが、息子自身も未だ漠然としているというものですから・・・。
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