通貨法第7条に「貨幣は、額面価格の20倍までを限り、法貨として通用する」とあります。
つまり、210円の買物をする時に10円硬貨21枚で支払った場合、受け取る側は拒否することができる(もちろんそのまま受け取ることは構わない)というものです。
では、200円の買物をした際に10円硬貨20枚で支払った場合、相手が受け取らなかったとします。この時、その相手には何か罰則が設けられているのでしょうか。
また、罰則があるとして、その店で扱っている商品が全て100円単位で、会計の際に100円未満の端数が絶対に発生しない場合でも同じでしょうか。
http://www.ron.gr.jp/law/law/tsuuka.htm
No.1
- 回答日時:
>この時、その相手には何か罰則が設けられているのでしょうか。
別にないでしょうね。
これはもう、いわゆる通貨法とは関係なく
10万円の買い物をするのに客が千円札100枚出して
店が「それは困る」と拒否したらどうなる?って問題と同じです。
法的には、単に売買契約不成立というだけです。
客は「気のきかねー店だな」と立腹するかもしれませんし、
そんなことをするお店は評判を落とすかもしれませんが、
いずれも法律とは別の問題です。
No.2
- 回答日時:
>10円硬貨21枚で支払った場合、受け取る側は拒否することができる
逆に言うと「20枚までは、強制通用力がある」と言う事。
拒否しても罰則はありません。
そして「強制通用力がある貨幣の受け取り拒否」は「代金の受け取り拒否」と同じです。
と、すると「代金の受け取り拒否」って事は「売買が不成立」になるでしょう。
客側が「高過ぎるから買わない」と言って売買が不成立になるのと同じ。
店側が「その値段だと値引きし過ぎで利益出ないから売らない」と言って売買が不成立になるのと同じですね。
「双方の合意が得られなかっただけ」の話になります。
No.3
- 回答日時:
ご質問者の事例ですと、既に回答があるように契約が成立しないで話が終わってしまう可能性がありますので、事例を変えて説明します。
AとBは、B所有の甲商品を200円で売買する契約を締結し、翌日に甲商品の引き渡しと売買代金の支払いをすることに合意した。
1.契約締結の翌日、Aが1円玉200枚で売買代金を払おうとしたが、Bが売買代金の受け取りを拒否し、甲商品の引き渡しも拒否した場合。
Aは債務の本旨に従った弁済の提供をしたことにならないので(その硬貨は強制通用力がないのですから、金銭の支払いをしようとしたことにはならない。)、Bは同時履行の抗弁権を主張して甲商品の引き渡しを拒絶することができます。
また、Aは売買代金支払債務を履行していないことになりますので、BはAに対して遅延損害金の請求や一定の催告期間を経て売買契約の解除をすることができます。
2.契約締結の翌日、Aが10円玉20枚で売買代金を支払おうとしたが、Bが売買代金の受け取りを拒否し、甲商品の引き渡しも拒否した場合。
Aは有効な弁済の提供をしているのですから、Aは債務不履行の責任を負いません。また、Bは受領遅滞ですので、Aは売買代金の供託をすることもできます。
Bの甲商品引き渡し債務の不履行を理由に、AはBに対して損害賠償の請求や一定の催告期間を経て売買契約の解除をすることができます。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
前提として、売買契約は成立し且つ有効です(他に事由がない限り)。
不成立ならばそもそも代金の支払義務も受領する権利もないのでそれが法貨として通用しようがすまいがまるで関係ありません。従って、売買契約の成否、効力に関して代金として支払う貨幣の枚数など全く問題になりません。ほとんどあり得ませんが無理やり言えば、契約の申込みの内容として例えば「21枚の10円玉で支払う」という意思表示があり、且つ、相手方がそれを承諾しなかった時には契約が不成立になります。
まず本質的なところを抑えましょう。
学説上は若干争いがあるところですが、通説的な見解に従っておきます。まず、売買契約における代金の受領というのは債権、すなわち「権利」です。権利ですから「受け取らない」ということも当然できます。これは「法貨として通用するかどうかとは関係ない」です。権利はあくまでも権利であり、義務でない以上、「権利を行使する義務はない」のです。つまり、たとえ法貨として通用するものであっても債権者は「代金の受領を拒むことはできる」のです。
当然、代金を任意に受領することもできます。これもまた「法貨として通用するかどうかは関係ない」です。
では、もし債権者が代金の受領を拒むとどうなるか。債務者が困ります。債務が履行できないのですから。そこで、その場合には、「受領遅滞の責任を債権者に負わせる」ことで債務者が債務を弁済する利益を保護するようになっています。#3の回答にもあるとおり。
これが大原則(もっとも受領を義務と捉えても結論的には同じになりますが話がややこしくなるのでまずは権利の行使は義務でないと考えてください)。
そこで、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」7条の意義を考えてみると、これは詰まるところ「受領拒否をしても債権者が受領遅滞責任を負わない特例」ということになります。金銭債務は原則的には、民法402条2項に従い「強制通用力のある通貨」をもって弁済しなければなりません。ところが、貨幣について強制通用力を額面価格の20倍までに制限する当該規定があることから「額面価格の20倍を超える場合には強制通用力がない」ことになります。強制通用力がないのですからそれは原則として金銭債務の弁済にはならないということになります。したがって、額面価格の20倍を超える貨幣をもってする弁済を拒否してもそれは正当な受領拒否であり、受領遅滞責任を生じないということになります。一方で、債務者は履行遅滞責任を負うことになります。
以上、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」7条の趣旨は、「額面価格の20倍を超える貨幣をもってする弁済を金銭債務の履行と認めずに債権者が正当に受領拒否することを認める規定」というわけです。「20倍までは受け取らなくてはならない」という規定ではないのです。20倍までの貨幣を受け取らないのはあくまでも売買契約における代金債権の債権者による受領拒否の問題であって、それは私法契約の当事者間の問題でしかありません。ですからそこに「刑罰」の介入する余地はありません。であるからこそ、罰則規定はないのです。あくまでも「20倍を超える場合に正当に受領拒否できる」ということを定めることに意義のある規定なのです。
No.5
- 回答日時:
#4です。
一つ補足を。>ほとんどあり得ませんが無理やり言えば、契約の申込みの内容として例えば「21枚の10円玉で支払う」という意思表示があり、且つ、相手方がそれを承諾しなかった時には契約が不成立になります。
とありますが、これは、例えば申込みの内容が500円玉で払うから390円釣りをくれというものであったときに釣りがないから嫌だと相手が承諾しなければやはり契約が成立しないというのと同じ話です。お互いの希望が一致しないと契約が成立しないのは民法の大原則であり、代金の支払に使える貨幣の枚数に法律上の限界があることとは全く別次元の話です。
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