No.4ベストアンサー
- 回答日時:
(周波数特性)や(現状の問題点)にお答えする前に、式の導出法を書いておきます。
計算し直してみるといくつかミスがありました。
【OPアンプの開ループ利得が有限の場合の出力電流の式の導出】
(1) OPアンプ1個の回路
I1 → ↓V1 I1 →
Vin ─ R1 ──┬── R2 ──┐
│┏━━┓ │
└┨- ┠──┤← A*( V2 - V1 )
V2 → ┌┨+ ┃ │
│┗━━┛ Rs ↓I2 + Ix
│ ← I2 │
├─ R4 ───┤← Vx
I2↓ R3 Rx ↓Ix
┷ GND ┷
OPアンプの非反転入力端子(+)の電圧を V1 [V]、反転入力端子(-)の電圧を V2 [V] とします。OPアンプの入力端子には電流は流れないとすれば、抵抗 R1 [Ω] 、R2 [Ω] に流れる電流は同じで、これを I1 [A] とおきます。同様に、抵抗 R3 [Ω]、R4 [Ω] に流れる電流も同じなのでこれを I2 [A] とおきます。負荷 Rx に流れる電流を Ix [A] とすれば、センシング抵抗 Rs [Ω] に流れる電流は、I2 と Ix の和になります。一方、OPアンプの出力電圧は、非反転入力と反転入力間の電圧差に開ループ利得をかけたものなので、A*( V2 - V1 ) で表わされます。理想OPアンプでは A → ∞ とみなすので、V1 = V2 となりますが、A が有限の場合は V1 ≠ V2 です。これらのの値は回路図に書かれています。
オームの法則から、「 抵抗を流れる電流 = (電流が流れ込む側の電圧 - 電流が出て行く側の電圧)/抵抗値 」なので、それぞれの抵抗について電流と電圧の式を書き出すと
R1について I1 = ( Vin - V1 )/R1 --- (1)
R2について I1 = { V1 - A*( V2 - V1 ) }/R2 --- (2)
R3について I2 =V2/R3 --- (3)
R4について I2 = ( Vx - V2 )/R4 --- (4)
Rsについて I2 + Ix = { A*( V2 - V1 ) - Vx }/Rs --- (5)
となります。これを解いて Ix = の形にするのは難しそうですが、知りたいパラメータ(Ix)と、知らなくてもいいパラメータ(I1, I2, V1, V2 )を考えて、知らなくてもいいパラメータを消していくように変形していきます。
まず、I1 を消すために、式(1) の右辺 = 式(2)の右辺 という関係から
( Vin - V1 )/R1 = { V1 - A*( V2 - V1 ) }/R2
とします。これで I1 が消えました。これを変形して、V1 = の形にします(後で V1 を消すため)。すると
V1 = ( Vin/R1 + V2*A/R2 )/{ 1/R1 + ( 1 + A )/R2 } --- (6)
となります。
同様に、I2 を消すために、式(3) の右辺 = 式(4)の右辺 という関係から
V2/R3 = ( Vx - V2 )/R4
とします。これで I2 が消えました。これを変形して、V2 = の形にします(後で V2 を消すため)。すると
V2 = Vx*R3/( R3 + R4 ) --- (7)
となります。
V1 と V2 も知らなくていいパラメータなので、これらを消すために、式(6)と式(7)を式(5)に代入します。すると
I2 + Ix = [ A*[ Vx*R3/( R3 + R4 ) - ( Vin/R1 + V2*A/R2 )/{ 1/R1 + ( 1 + A )/R2 } ] - Vx ]/Rs --- (8)
となります。この式にはまだ I2 が残っていますが、これは式(7)を式(3)に代入すれば
I2 = Vx/( R3 + R4 ) --- (9)
となります。I2 というのは、R3 と R4 に流れる電流ですから、式(9)は、R3 + R4 の両端の電圧 Vx を R3 + R4 で割ったのが I2 という当然の結果です。式(8) にはまだ V2 が残っていますが、これは式(7) ですでに与えられています。
したがって、式(7)と式(9)を式(8)に代入して、I2 と V2 を消せば
Vx/( R3 + R4 ) + Ix = [ A*[ Vx*R3/( R3 + R4 ) - { Vin/R1 + Vx*R3/( R3 + R4 )*A/R2 }/{ 1/R1 + ( 1 + A )/R2 } ] - Vx ]/Rs
となります。これで知らなくていいパラメータはなくなりました。これを Ix = の形に変形すれば
Ix = -R2*Vin[ Rs*{ R1 + ( R1 + R2 )/A } ] - Vx*{ R1*( R4 + Rs ) - R2*R3 + ( R1 + R2 )*( R3 + R4 + Rs )/A }/[ Rs*( R3 + R4 )*{ R1 + ( R1 + R2 )/A }
となります。ANo.3の最初の式の第二項に Vx がついていませんが、上式が正しいです。
真の定電流源とするには、この第二項をゼロとすればいいので
R4 = { R2*R3 - R1*Rs - ( R1 + R2 )*( R3 + R4 )/A }/{ R1 + ( R1 + R2 )/A }
とすれば良いことになります。A → ∞ のときは
R4 = R2*R3/R1 - Rs
となります。
(2) OPアンプ2個の回路
Vin ─ R1 ─┬─ R2 ─┐
│┏━━┓│ Ix →
└┨- ┠┴── Rs ─-┐
┌┨+ ┃ │
│┗━━┛┏━━┓ │
├─ R4 ┬┨ +┠──┤
R3 │┃ -┠┐ Rx ↓Ix
┷ GND │ ┗━━┛│ ┷
└────┘
これは、(1)の回路で、Rs に流れる電流が I2 + Ix でなく、Ix としたものになります(Rs を流れる電流は、Rx にしか行ないので)。つまり、式(8)の左辺を、 I2 + Ix の代わりに Ix としたものになります
Ix = [ A*[ Vx*R3/( R3 + R4 ) - ( Vin/R1 + V2*A/R2 )/{ 1/R1 + ( 1 + A )/R2 } ] - Vx ]/Rs --- (8')
これに式(7)
V2 = Vx*R3/( R3 + R4 ) --- (7)
を代入すれば
Ix = - R2*Vin/[ Rs*{ R1 + ( R1 + R2 )/A } ] + Vx*{ R2*R3 - R1*R4 - ( R1 + R2 )*( R3 + R4 )/A }/[ Rs*( R3 + R4 )* R1 + ( R1 + R2 )/A } ]
となります。
真の定電流源とするには、右辺の第二項をゼロとすればいいので
R4 = R2*R3/R1 - ( R1 + R2 )*( R3 + R4 )/A
とすれば良いことになります。A → ∞ のときは
R4 = R2*R3/R1 → R4/R3 = R2/R1
となり、(1)と違って、Rs の影響を受けません。
(3) 差動アンプを2個使った回路
利得α バッファ
┏━━┓ ┏┓
Vin ─┨+ ┠┨┠┐← V2
┌┨- ┃┗┛│
│┗━━┛ ┌┤
V1│ ┏━━┓│Rs ↓Ix
└─┨ +┠┘│
┃ -┠─┤← Vx
┗━━┛ Rx ↓Ix
利得β ┷
これは抵抗が少ないので計算は楽です。差動アンプ1の反転入力端子の電圧を V1( = 差動アンプ2の出力電圧)、差動アンプ1の出力電圧(= 差動アンプ2の非反転入力電圧)を V2 とすれば
V2 = α*( Vin - V1 ) --- (1)
V1 = β*( V2 - Vx ) --- (2)
が成り立ちます。一方、負荷電流 Ix はセンシング抵抗を流れる電流に等しいので
Ix = ( V2 - Vx )/Rs --- (3)
となります。
式(2)を式(1)に代入すれば
V2 = α*{ Vin - β*( V2 - Vx ) }
→ V2 = α*( Vin + β*Vx )/( 1 + α*β )
これを式(3)に代入すれば
Ix = { α*( Vin + β*Vx )/( 1 + α*β ) - Vx }/Rs
= Vin/{ Rs*( β + 1/α ) } - Vx/{ Rs*( 1 + α*β ) }
となります(ANo.2の式の第二項は+となっていますが、-の間違いです)。
この場合、抵抗比を調整しても真の定電流源にはできません。真の定電流源にするには α→∞ とするしかありません。βは変換利得( Ix/Vin )を決めるものなので∞にはできません。
この回答への補足
すみません。少し簡単なバッファ付きの計算もできなかったので、ご支援の要請をしましたが、ようやく解けました。式の変形の途中で演算子を間違えるなどしていたようです。実は、どうしても解けないので、電子データを作ってできない過程を説明しようと資料を作っている矢先に判明しました。(自分の筆記が汚かったためです。)バッファ無しの式も解にたどり着けるか不安ですが、もう少し頑張ってみます。
ですので、解放は必要ないです。お手数をおかけいたしました。
詳細な説明をありがとうございます。
式の立て方が良くわかりました。
しかしながら、最終解(Ix=の式)までたどり着けません。
第一項は、OKですが、誤差をあらわす第二項が、複雑すぎてまとまりません。
差し支えなければ、解法をご指導ください。
(1) OPアンプ1個の回路
OPAMP1つのIx = の式も第一項はたどり着きましたが、
第二項は計算が難しく導き出せていません。
(答えがわかっているから...かもしれませんが..)
(2) OPアンプ2個の回路
帰還部分にバッファを追加することでRsの影響を受けないとはすばらしいですね。
式の導出にがんばりたいと思います。
バッファで戻すことで、形が(3)と似てきているような?
このときのα=A、βは???になるのだろう??
なんとなくですが、厳密にはバッファのオフセットの影響が作用するような気がしました。
(3) 差動アンプを2個使った回路
この場合、αを∞にしないと真の定電流にならないということで、
思っていなのとことなっていたので驚きです。
★(1)、(2)の場合は、抵抗バランスを気をつけていげれば、
Aに係らず、定電流が実現できるということなんですね。
いずれにしても真の..にするにはA=∞でなくてはいけない。(誤差=0にならないので)
また、誤差を小さくするにはαを大きくしなければいけない??
定電流 : 真の...ということまで実はこだわっていませんでした。
(ある程度の負荷変動には..仕方がないように感じていました。)
しかし、負荷変動をどこまで許すのか?という観点から考えて、回路の精度を設計するのが
重要という感じを受けました。
わかってきたようでもあり、さらにわからないことは増えたというか?複雑です。
No.5
- 回答日時:
ANo.4の文章に間違いがありました。
(1) の冒頭
【誤】 OPアンプの非反転入力端子(+)の電圧を V1 [V]、反転入力端子(-)の電圧を V2 [V] とします
【正】 OPアンプの反転入力端子(-)の電圧を V1 [V]、非反転入力端子(+)の電圧を V2 [V] とします
ところで、質問文にある計装(差動)アンプはどういうものですか。抵抗内蔵のIC化されたものですか(型番が分かったら教えてください)。それとも、抵抗外付けの以下のような回路でしょうか。
┏━┓
IN(+) ─┨+ ┠┬─ R4 ┬ R5 ┐
┌┨- ┃│ │ ┷ GND
│┗━┛│ │ ┏━┓
├─ R2 ┘ └─┨+ ┠┬─ OUT
R1 ┌─┨- ┃│
├─ R3 ┐ │ ┗━┛│
│┏━┓│ │ │
└┨- ┠┴─ R6 ┴─ R7 ─┘
IN(-) ─┨+ ┃
┗━┛
【差動アンプ1】
IN(+) ─┐
R1 ┏━┓
├──┨+ ┠┬─ OUT
R2 ┌┨- ┃│
┷ │┗━┛│
│ │
IN(-) ─ R3 ┴─ R4 ┘
【差動アンプ2】
50dBの差動アンプというのも同じ構成でしょうか。カットオフ周波数が60HzのLPFもどのように実現しているか、分かれば教えてください。「電流波形に低周波と高周波のノイズが重畳され問題になっています」の原因はたぶん、同相信号除去能力の低下によるものと思われます。低周波側は、帰還抵抗のアンバランス、高周波側はOPアンプ自身の同相信号除去能力の低下によるものと思われますが、使っているOPアンプと帰還抵抗の値や精度が分かれば正確な原因がつかめると思います。OPアンプの型番も分かれば教えてください。
この回答への補足
アンプの形式ですが、
α=OP297(差動アンプ2の構成)
β=AD620
となります。
LPFの構成は、
差動アンプ2の構成で、
R4=1000k//2700pF
R3=3.3k
R1=3.3k
R2=1000k//2700pF
抵抗は1%品の金属皮膜抵抗
となります。
尚、VinはIN(-)に接続し、負帰還をIN(+)につないでいます。
雑音ですが、負荷抵抗Rxの両端電圧も測定しています。
これは、非反転AMP(x100)で測定していますが、低周波ノイズは見られません。Rxに流れた電流をRxに直列に接続された別のセンシング抵抗で検出しています。こちらに低周波のノイズが見られます。なので電流源が雑音の影響を受けていると考えていました。
しかし、電流がゆれるのなら、Rxの両端電圧もゆれるはずなので不可思議でした。
しかし、その違いは、CMRRの差ということになるのでしょうか??
No.3
- 回答日時:
書いていたら長くなってしまったので、ANo.2の「この回答への補足」に対する回答は明日ということでよろしいでしょうか。
>OPAMP1つの回路もα,βの式にできるのでしょうか
できます。
OPアンプの開ループ利得 A が有限の場合(現実には有限ですが)、出力電流は次のようになります(A → ∞ のとき、この式は ANo.2 の式になります)。
Ix = -R2*Vx/[ Rs*{ R1 + ( R1 + R2 )/A } ] - { R1*( R4 + Rs ) - R2*R3 + ( R1 + R2 )*( R3 + R4 + Rs )/A }/[ Rs*( R3 + R4 )*{ R1 + ( R1 + R2 )/A } ]
簡単のために、R1 = R3、R4 = R2 - Rs とすれば、上式の第二項がゼロ(真の定電流源)となるので、出力電流は
Ix = -R2*Vx/[ Rs*{ R1 + ( R1 + R2 )/A } ]
となります(式の導出は必要でしょうか?)。
どれくらいの変換精度が必要かによって、抵抗の精度や開ループ利得 A が決まります。A が無限大であっても、R1 や R2、Rs の精度が悪ければ変換精度が悪くなります。一般に入手できる高精度抵抗だと ±1% の精度なので、変換精度は最悪の場合(R2 が+1%ずれて、Rs と R1 がともに-1%ずれるような場合) ±3% の誤差になります。100mA の設定( Vin = 1V )なのに実際の出力電流は 97mA~103mA の範囲でばらつくことになります。この程度で良いのなら 1% 精度の抵抗を使えばいいのですが、それより高精度にしたいなら、1% 精度の抵抗の中から精度の良い組み合わせを選別するか、可変抵抗を使って R2/( Rs*R1 ) の値がちょうど 10 となるように合わせめばいいと思います。
真の定電流源にするために、R4 を 1kΩ でなく 999Ω にするというのは、0.1%の精度で抵抗値を合わせこむことになるので、1%精度の1kΩの抵抗と1MΩの抵抗を並列接続して999Ωを作ったのでは意味がありません( 1kΩの抵抗の精度が1% なら、合成抵抗は 989Ωから1008Ωの範囲でばらつきます)。
OPアンプの開ループ利得 A は通常非常に大きいので問題ないですが、念のために必要な値を計算してみます。R2/( Rs*R1 ) が仮にドンピシャリであった場合、開ループ利得による誤差分は R1 と ( R1 + R2 )/A の比になります。誤差を 1%以内にしたいのであれば、 ( R1 + R2 )/A < 0.01*R1 とすればいいので、R1 = 10kΩ、R2 = 1kΩの場合は
A > 100 + 100*R2/R1 = 110
となります。OPアンプの開ループ利得は直流に対しては非常に大きいですが、周波数が高くなると下がってきますので、Vin に高い周波数を入れる場合はOPアンプの選別には注意が必要です。この件については「回答への補足」で、「将来的には10KHzくらいでも使いたいと考えています」とありますので、以下で説明します。
【定電流源の周波数特性】--- どういうOPアンプを選べば良いか
OPアンプの開ループ利得 A の周波数依存は普通、1次のローパスフィルタで近似され
A(f) = A0/√{ 1 + ( f/f0 )^2 } --- (1)
で表わされます。A0 はDC利得で、OPアンプのデータシートに記載されている Open Loop Gain がこれになります。f0 は開ループ利得が A0 より 3dB 落ちる周波数で、これがデータシートに記載されている場合は少ないのですが、開ループ利得が1( 0dB )となるユニティーゲイン周波数、あるいは利得と周波数の積で表わされる利得帯域幅(GB積:Gain-Bandwidth Product)を使って、次式で計算することができます。
f0 = GB積/A0
例えば、LM358という典型的な汎用OPアンプの場合、データシート(http://www.national.com/JPN/ds/LM/LM358.pdf)の1ページ目の「特長」に、直流電圧利得 100dB ( A0 = 10^5 )、ユニティーゲイン = GB積 = 1MHz と出ているので、A0 = 10^5、f0 = 10 Hz となります。実際、データシートの6ページにある Open Loop Frequency Response(開ループ利得の周波数依存) を見ると、A0 は110dB、f0 が 10Hz 程度なのでほぼ合っています(特性が2本描いてあるのは、これくらいばらつくという意味だと思います)。
f >> f0 のとき式(1)は
A(f) ≒ A0*f0/f
ですから
f*A(f) = A0*f0 = 一定
という関係になります。つまりこの周波数領域では 開ループ利得×周波数 が一定で、その値は A0*f0 になります。この A0*f0 を、利得(Gain)と周波数帯域(Bandwidth)の積という意味でGB積といいますが、これは開ループ利得が1となる周波数(ユニティーゲイン周波数)と同じです。
定電流源に必要な変換精度から開ループ利得 A が決まりますが、Vin の最大周波数 fmax でも開ループ利得がそれを上回っている必要があるので
GB積 > fmax*A
としなければなりません。たとえば、変換精度を1%未満にするために必要なOPアンプは、その周波数での開ループ利得が 110 以上あるものですから
GB積 > 10kHz*110 = 1.1MHz
となります。したがって GB積が1MHzのLM358はギリギリ使えますが、GB積のバラツキは普通保障されていないので、余裕を見てこの2倍くらいのGB積のOPアンプを使ったほうが良いでしょう。NJM4558(http://semicon.njr.co.jp/njr/hp/fileDownloadMedi …)ならGB積が 3MHz あるので大丈夫です。このOPアンプは、電源電圧の一方を0Vにした使い方はできませんが、±15V電源で使えば Vin が0V付近でも動作します(±電源にすれば出力電流の向きも変えられる)。
>確かに微小電流になると、Rsは大きくなってくるので他の抵抗値との関係は重要ですね
OPアンプ1個の回路で R1 = R2、R3 = R4 としたときのの誤差は Rs と R3 + R4 の比によるものなので、以下の回路のようにOPアンプをもう1個追加して、R3 + R4 の影響をなくせば Rs が大きくても誤差は出ません。 1mA とか1μA といった微小電流発生回路の場合は、入力バイアス電流の小さなOPアンプを使う必要がありますが、今回の回路は最大出力電流が 100mA と大きいのでどんなOPアンプを使っても問題ないです。
Vin ─ R1 ─┬─ R2 ─┐
│┏━━┓│
└┨- ┠┴── Rs ─-┐
┌┨+ ┃ │
│┗━━┛┏━━┓ │
├─ R4 ┬┨ +┠──┤
R3 │┃ -┠┐ Rx ↓Ix
┷ GND │ ┗━━┛│ ┷
└────┘
【図1】 OPアンプ2個による定電流回路
No.2
- 回答日時:
まずは(1)のVinに対する変換誤差についてコメントいたします。
回路が分かりにくいので、以下に書き直しました(これで合ってますか?)
Vin ─ R1 ─┬─ R2 ─┐
│┏━━┓│
└┨- ┠┤
┌┨+ ┃│
│┗━━┛Rs
├─ R4 ─┤← Vx
R3 Rx ↓Ix
┷ GND ┷
【図1】 OPアンプ1個による定電流回路
利得α バッファ
┏━━┓ ┏┓
Vin ─┨+ ┠┨┠┐
┌┨- ┃┗┛│
│┗━━┛ ┌┤
│ ┏━━┓│Rs
└─┨ +┠┘│
┃ -┠─┤← Vx
┗━━┛ Rx ↓Ix
利得β ┷
【図2】 差動アンプによる定電流回路
それぞれの回路での出力電流 Ix は次のようになります(詳しくは後述)。
・OPアンプ1個の回路 Ix = - R2*Vin/( R1*Rs ) - Vx/( R1 + R2 ) --- R1 = R3、R2 = R4 の場合
・差動アンプ回路 Ix = Vin/{ Rs*( 1/α + β ) } + Vx/{ Rs*( 1 + α*β ) }
α は最初の差動アンプの利得です( 50dB なら 316.2 )。Vx は負荷の電圧ですが、これがゼロでない限り Vx が変わると(負荷抵抗が変わると) Ix も変動します。負荷 Rx が純抵抗の場合は Vx = Rx*Ix を上式に代入して、Ix について解けば、抵抗負荷での変換利得の式になります。
実は、OPアンプ1個の回路で R1 = R3、R2 = R4 とすしたのでは真の定電流回路になりません( R4 = R2*R3/R1 - Rs とすれば定電流回路になります)。差動アンプを使った回路では、アンプの利得がやや小さいので誤差が発生します。
Vx の最大値が10V であると仮定すれば、それぞれの回路での誤差電流 ΔIx は
・OPアンプ1個の回路 ΔIx = 10/( R1 + R2 ) --- R1 = R3、R2 = R4 の場合
・差動アンプ回路 ΔIx = 10/( 1 + 3162 )
となります(作動アンプ回路では Rs = 1Ω として計算)。差動アンプ回路の電流の式の第1項の ( 1/α ) + β も誤差要因ですが、α = 316.2、β = 10 のとき、( 1/α ) + β = 10.003 なのでこの部分は無視できます(抵抗比 R2/R1 の誤差のほうが大きい)。したがって、負荷抵抗の変動に対する安定性という観点で、OPアンプ1個の回路と差動アンプの回路を比較すると
R1 + R2 > 3163Ω
ならば、OPアンプ1個の回路のほうが高性能ということになります。
差動アンプ回路でも α を極めて大きくすれば Vx/{ Rs*( 1 + α*β ) } の項は無視できますが、α が 316.2 と小さいので誤差が結構あります。OPアンプ1個の回路では、OPアンプの低周波でのオープンループ利得は通常、100dB(100万倍)程度 はあるので、利得不足による誤差はほとんど考えなくていいです(高周波ではオープンループ利得が下がるので誤差が増大する)。
【OPアンプ1個の回路での出力電流】
出力電流は Iout = (R2/Rx) * Vin / Rs とのことですが、私の計算では
Ix = - R2*Vin/( R1*Rs ) - Vx/( R3 + R4 )*{ ( R3*R4 - R2*R3 )/( R1*Rs ) + 1 }
となりました。これだと第二項が残っているので厳密には定電流になりませせん(負荷にかかる電圧 Vx によって出力電流が変わる)。
真の定電流にするには、第2項をゼロにすればいいので
( R3*R4 - R2*R3 )/( R1*Rs ) + 1 = 0
つまり
R4 = R2*R3/R1 - Rs
とします。R1 = R3 なら
R4 = R2 - Rs
とすれば、Vx に依存しない 真の定電流回路になります。
【差動アンプを使った回路での出力電流】
出力電流は Iout = Vin / ( β*Rs ) とのことですが( Iout = Vin / β は間違いですね?)、私の計算では
Ix = Vin/{ Rs*( 1/α + β ) } + Vx/{ Rs*( 1 + α*β ) } --- (2)
となりました。α が無限大なら
Ix = Vin / ( β*Rs )
ですが、α が有限の場合は式(2)の第二項の影響が誤差となります。
この回答への補足
詳しい説明をしていただきありがとうございます。
私の能力不足で完全に理解できておりませんが以下にコメントを述べます。
また、図示の不備とコメントが遅くなり申し訳ありません。
|OPアンプ1個の回路 Ix = - R2*Vin/( R1*Rs ) - Vx/( R1 + R2 ) --- R1 = R3、R2 = R4 の場合
|差動アンプ回路 Ix = Vin/{ Rs*( 1/α + β ) } + Vx/{ Rs*( 1 + α*β ) }
私には式を導き出せませんが、2つの式は似ているような気がしました。
OPAMP1つの回路もα,βの式にできるのでしょうか?
<OPAMP1つの構成>
Iout = - (R2/R1)*Vin / Rs 但し、R1 = R3, R2 = R4
と解釈していました。(質問の式は間違っていました。)
R1,R2>>Rsであれば、Rsは無視できるという感覚でうろ覚えの過程で式を省略して暗記していました。
確かに微小電流になると、Rsは大きくなってくるので他の抵抗値との関係は重要ですね。
R1=R3=10KΩ,R2=1kΩ,R4=999Ω,Rs=1Ωにしないといけないということですね。
<差動アンプ方式>
αは有限ですので、第2項が誤差分となってしまうということですね。
ただし、αが∞になれば、第2項が無視できて、また、1/αとなり、
Ix = Vin/(β * Rs)になるということですね。
<優劣>
今の定数(OPAMP1つの場合,R1=10k,R2=1k)で評価すると、
R1 + R2 > 3163Ω
を満足しているのでOPAMP1つの構成の方が良いということですね。
ただ、αを大きくできて、周波数帯域も広くとれるなら?Rs分の誤差を気にせず、初段の定数設定が
できるメリットがある?(ただ、段数を増やすとオフセットの影響が増える?)
ので、理想的には差動アンプ方式の方が良い?
<周波数特性>
では、周波数特性的には、カットオフ周波数を60Hzに設定している差動アンプ方式は
どのように作用するのでしょうか?(0dB周波数が10KHz程度になる。)
αが不足している上に帯域制限?をしてしまうと、周波数が高くなると
誤差を抑制する力がなく雑音に弱いような気がしますがその点は如何なものでしょうか?
2つの回路の周波数特性はどのようになりますでしょうか?
<現状の問題点>
実際にこの差動アンプ方式が悪いのか分かりませんが、機械の駆動系のノイズの影響で
電流波形に低周波と高周波のノイズが重畳され問題になっています。(60Hz以下、10KHz程度)
DCで駆動しているはずが、揺らいでしまっています。(0.4%位)この辺と回路の周波数特性が関係して
いるのかな?と思うのですがどのように考えればよろしいでしょうか?
50dBのαは少なすぎるのでしょうか?
(ただし、この電流波形は、Rsの両端ではなく、Rxと直列にRssを接続してその両端の電圧を
測定しています。)駆動系をOFFすると、電流の変動はなくなりました。
それとも、この辺は、定電流回路そのものとは無関係なのでしょうか?
色々ご指導いただきたく、まとまりの無い内容になってしまいましたが、差し支えなければ、ご教授よろしくお願いいたします。
No.1
- 回答日時:
OPアンプ1個の回路と、差動アンプを使った回路とはどういうものでしょうか。
OPアンプを1個の定電流回路にもいろいろな形式があります。また、定電流回路の性能の指標も以下のようにいろいろあります。比較対象の差動アンプの帯域が60Hzなので高速応答は必要ないでしょうからそれは除外するとして、以下のどの性能でしょうか(最大電流も問わないとします)。
(1) 入力電圧を V、出力電流を I としたとき、出力電流は I =gm*V + ΔI で表されますが、この gm のリニアリティーが良く、オフセット電流 ΔI が小さい(変換誤差が小さい)
(2) 負荷抵抗の変動 に対する出力電流の変動が小さい
(3) 電源電圧の変動 に対する出力電流の変動が小さい
センシング抵抗が 1Ω と小さいことから、微小電流を発生する回路ではない思いますが、具体的な回路と比較したい性能を教えてください。
この回答への補足
早々のご回答ありがとうございます。
出力電流は100mAくらいです。基本的にがDC域で使います。
入力は、定電圧源です。
上手く図示できているか不安ですが、..
1.OPアンプ1個の回路の場合 (一般的なV-I回路です。)
Vin --- [R1]----+----[R2]----+
| |
+-(-) (out)>+---[Rs]-+---[Rx]----|GND
[OPAMP] |
+-(+) |
| |
GND|----[R3]----+----[R4]-------------+
R1 = R3 , R2 = R4 , Rs = 1ohm
Rxに流れる電流 Iout
Iout = (R2/Rx) * Vin / Rs
2.差動アンプ1個と電流出力バッファ+計装アンプの組み合わせ閉ループ利得が、
G / (1 + G*β) のような回路です。(と思います。)
G = 50dB (fc= 60Hz) 入力段
β = 20dB ? (1Ωの両端電圧を計装アンプで10倍し、入力段の差動アンプに負帰還されます。
G=50dB(fc=60Hz)
Vin-- (+)差動AMP --- 電流BUFFER --+- [Rs] -+-- [Rx] ---|GND
+--(-) | |
| [計装AMP] | |
+----------------< x10 |-------+ |
β | |
|----------------+
電流 Iout = Vin/β
1)Vinに対する変換誤差
2)周波数特性(Vinはステップ応答となります。)
開ループゲイン?
前者はOPAMPのAに従い、後者はGに従うような気がしています。
なので後者の帯域は、前者より低くなる??
3)雑音抑制率
4)一般的な優劣?
将来的には、10KHzくらいでも使いたいと考えています。
以上、よろしくお願いいたします。
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