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成年後見人の権限として、同意権はなくて、追認権・代理権・取消権があります。この追認権について質問があります。

成年後見人には同意権がないので、成年被後見人が成年後見人の同意を「事前」に得て売買契約をした場合、売買契約をした「後」に同意を得た場合、成年被後見人又は成年後見人は、その契約を取り消すことができます。

追認というのは、「事後同意」という気がします。そうすると、成年後見人には事後同意はできないので、追認権がないと思えます。
しかし、相手の催告権に基づく場合には、取り消しをするかしないかの決着をつけるため追認権を認める必要があります。このためだけに「追認権」が与えられているにすぎないという気がします。
つまり、相手の催告がないのに、積極的に追認するということができないというように思います。成年後見人の追認権は相手からの催告がない場合でも、認められているのでしょうか?

A 回答 (1件)

できます。

明文でそう規定してあるのですから当然です。取消権のある者は当然に追認ができるということを定めるのが民法122条です。そこにはいかなる条件も付いていません。

理論的には、「相手の催告があった」としてもやはり同意はできないので「事後の同意としての追認」もできないはずです。なぜ相手の催告があると「同意ができる」ようになるのか理論的根拠がありません。そもそも「同意」は本人に対して行うもの(5条、13条など)で「追認」は相手方に対して行うもの(123条)なので、「相手方に対してする追認が本人に対してする同意と同じもの」というのは理論的にはおかしいのです。
追認の法的性質は「取消うべき行為を取消せないものとして確定させる意思表示」すなわち「取消権の放棄」です。つまり、「取消権」のある者がその権利を放棄するという取消権者固有の権利についての処分行為であって「事後の同意ではありません」。追認権の法的性質が同意権ではなくて取消権の放棄であるからこそ民法は「取消権者のみに追認権を認めている」のです。同意権者に追認権を認める規定などどこにもありません。

過去の判例通説において準禁治産者の保佐人につき「追認を事後の同意」と構成したのは、「法律関係の安定ないし簡便な処理のために、保佐人に取消権の放棄としての本来の追認権がないことを前提に『法的性質の異なる特別の追認権』を認めただけ」であって「特別な追認権を認めても誰も不利益を受けない」から特に可能だっただけの話です。
準禁治産者の保佐人の追認権は、明文規定のある本来の追認とはそもそも法的性質自体が違うのです。
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この回答へのお礼

理解できました。丁寧な回答ありがとうございました。

お礼日時:2008/01/20 15:31

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