アプリ版:「スタンプのみでお礼する」機能のリリースについて

ある本を読んでいて、

[T,H]=ihbarなるエルミート演算子Tが存在するならばH=p^2/2mの期待値が負になりうるということを示せ。

という問題がありました。どのように証明すればよいか教えていただけますでしょうか?よろしくお願いいたします。

A 回答 (7件)

[T,H]=i


を満たすエルミート演算子Tは一般にgeneratorと呼ばれます。座標と運動量の場合、f(x)を関数、aを実数とすると

 exp(ipa)f(x)
 = f(x) + a df/dx + (a^2/2!)d^2f/dx^2 + (a^3/3!)d^3f/dx^3 +...
 = f(x+a)
なので運動量p=-id/dx は平行移動のgeneratorと呼ばれます。同様に
[T,H]=i
を満たすTはエネルギーのgeneratorとなります。Ψを
 HΨ = EΨ
を満たす固有状態としてexp(iTa)ΨにHを作用させると
 Hexp(iTa)Ψ
 = exp(iTa)exp(-iTa)Hexp(iTa)Ψ
ここで
 exp(-iTa)Hexp(iTa)
= H - ia[T,H] + (-ia^2/2!)[T,[T,H]] + (-ia^3/3!)[T,[T,[T,H]]] +...
= H + a
を用いると
 Hexp(iTa)Ψ = exp(iTa)(H + a)Ψ = (E + a)exp(iTa)Ψ
なのでexp(iTa)Ψは固有値E+a の固有状態です。aは任意の実数なので負のエネルギー状態も存在しうることになります
    • good
    • 0

ある作用素Aをユニタリ変換するとは、Uをユニタリ作用素として


 A → U†AU
とすることです。作用素AとBの交換関係はユニタリ変換で不変であることは容易に分かります。逆に二組の作用素の交換関係が同じであれば(有限自由度では)これらはユニタリ変換で結ばれ、スペクトルも同じであることは
 岩波講座現代物理学の基礎、量子力学II第16章、p.328
などにあります。しかしハミルトニアンに正準共役な時間演算子が定義できるという論文もあります。
 G.Bhamathi et al.;Time as a dynamical variable, Phys Lett. A,317,5(2003)
    • good
    • 0
この回答へのお礼

なるほど、論文の方にも目を通してみたいと思います。

わざわざ回答ありがとうございました。

お礼日時:2008/06/10 00:42

#3です。

そこでまたまた誤植がありました。申し訳ございません。重要な間違いなので直しておきます。

(1)式は

i hbar ∂ ρ/∂t = L ρ   => i ∂ ρ/∂t = L ρ 

と書くべきで、 L の定義は 

Lρ ≡ [H, ρ]/hbar 

とするべきでした。さもないと、L の物理的次元が振動数にはなりませんから。

また、このように定義をしておくと、量子力学のフォンノイマン方程式と古典力学の基本方程式であるリウビル方程式の対応が良くなります。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

物理はなかなか奥が深いですね・・・
これからまた時間をかけて学んでいきたいと思っています。
色々ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2008/06/10 00:44

#3に誤植がありました。


(2)式は

[T, L] = 1  => [T, L] = i

と読んで下さい。  
    • good
    • 0

#1です。



>ここで言う物理量とは時間のことでしょうか?

いいえ、本論でも書きましたが、この場合にはエネルギーが有限な場合です。

>つまり時間に限らず、Hと正準共役な演算子が存在してはならないということですか?

はい、H の物理的な意味を問わない数学的な答えとしてはそうです。ただし、hbar は作用の物理的次元(エネルギーx時間)を持って居りますから、H が貴方の例のようにエネルギー演算子なら、必然的に T は時間の次元を持ちます。また、古典力学では、エネルギーに正準共役な物理量は時間ですから、もし、量子力学でもこの正準関係をみたす T が存在するならば、それは「時間演算子」であることになります。

ヒルベルト空間内では、エネルギーに正準共役な時間演算子が存在しないというのが、量子力学から導かれる結論です。

因に、波動関数ψを抽象的なケット・ベクトク|ψ>とみなし、それに共役なブラ・ベクトル<ψ|との外積で作られる「演算子」(これを密度行列という)

ρ ≡ |ψ><ψ|

を考えると、シュレーディンガー方程式から、

(1)    i hba ∂ ρ/∂t =L ρ

(ただし、Lρ ≡ [H, ρ]です)という、有名なフォンノイマン方程式という物理学の基本方程式が導き出されます。L はリウビル演算子と呼ばれるもので、ヒルベルト空間の中でこの演算子はエルミート演算子です。この量は振動数の物理的次元をもっております。L は演算子ρに作用する演算子ですから、演算子の演算子、すなわち、超演算子(スーパーオペレーター)と呼ばれることもあります。

そして、もしハミルトニアン演算子Hが、ある下限の値(例えばゼロ)から上に向かって、例えば光子のように+∞まで連続な固有値を持つとすると、リウビル超演算子の固有値はー∞から+∞まで連続な固有値を持つことができます。

そこで、Hとの正準交換関係ではなくて、

(2) [T, L] = 1

という正準交換関係を満たエルミート超演算子 T は存在します。 L の物理的次元が振動数ですから、T の次元はやはり時間です。ですから、リウビル超演算子に正準共役な時間超演算子は存在しています。

時間を運動方程式の中に現れる単なるパラメーターではなく、物理量と考えた場合、それは超演算子ではないのか、もしそうなら「時間」にはどのような性質があるのかという面白い研究が、ただ今いろいろ成されております。
    • good
    • 0

[T,H]=ihbarなるエルミート演算子Tが存在するならばこれは座標と運動量の交換関係と同じです。

そのためTとHは座標・運動量とユニタリ変換で結ばれ、スペクトルは座標・運動量と同様の-∞から無限大になります。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

回答ありがとうございます。お礼が遅くなりました。

ところで、ユニタリ変換で結ばれる、とはどういうことでしょうか?量子力学、線形代数の基礎が結構抜けてたりします…申し訳ありませんがぜひもう少し詳細に教えていただけますでしょうか?

お礼日時:2008/06/05 18:07

代数的な証明もありますが、ここでは期待値の物理的意味を前面に押し出しながら、言葉を使って証明します。

数式を使った証明は、この私の証明を咀嚼しながら、自分で試みて下さい。

[T,H]=ihbar という正準交換関係式が成り立つとすると、時間の分散ΔTとエネルギーの分散ΔHの積の間に不確定性の関係式

(1) ΔTΔH ≧ hbar/4

が成り立つことになります(証明せよ)。

分散は、次式で定義されますね。

(2) 分散の2乗 =(その物理量の2乗の期待値)ー (その物理量の期待値の2乗)

従って、分散はその物理量の値が期待値の周りに左右対称にどんな幅で分布しているかを表して居ります。
(注)左右対称からのずれの情報を得るには、物理量の3乗以上の期待値を計算する必要があります。

エルミート演算子を仮定していますので、もし、波動関数がヒルベルト空間に属するなら、その期待値は実数になります。

期待値の概念が物理的に意味を成すために、その物理量の期待値は有限であると仮定します。(1)の不確定性関係により、ΔTがゼロになる極限を取ると、エネルギーの分散ΔHは無限大になります。Hが有限な期待値を持った波動関数に対して、その左右に分布する分散が無限大でから、その波動関数で表されている確率集団の中に、Hの測定値が負になる場合が必ず存在することになります。

ですから、今度はΔHの分散が無限大ではなくて逆にゼロに限りなく近い値をもち、そして、その期待値がHの測定値がその負の値になるような波動関数が必ず存在することになります。(証明終わり)


このことから大変重要な結論が導き出されます。それは、

「物理量がヒルベルト空間に属する波動関数で記述されている限り、エネルギーに正準共役な時間演算子は存在しない。」

と言うことです。従って、ヒルベルト空間内では、時間は「オブザーバブル」ではありません。ハイゼンベルグに言わせると、全ての物理的観測量は「オブザーバブル」ですから、この結論は、「時間は物理量か?」という、物理学の基本問題に関わった重要な問題を提起したことになっている訳です。

また、時間演算子が存在していないのですから、もちろん時間とエネルギーの間の不確定性関係式(1)も、物理的には意味を成さないことにななります。ですから、僅かな例外を除いて、時間とエネルギーの間の不確定性関係について説明してある殆どの教科書の記述は間違いであることになります。

ところで物理学者達が(1)を援用して自分の観測結果や理論を解釈するときには、殆どの場合、そのエネルギー状態の不安定生に関した寿命を論じる場合です。

寿命があるとは、時間の未来に向かってその系が崩壊するということですから、その系では必ず時間が過去から未来に向かって一方方向に流れている、即ち、時間の対称性が破れている訳です。ところが、シュレーディンガー方程式は時間の符号を入れ替えた場合の時間の対称性を破っていません。したがって、寿命の存在とシュレーディンガー方程式は、その最も基本的なところで一見矛盾して居ります。

この矛盾を解消して、エネルギーと時間の間の不確定性関係をどのように理解したら良いのかという問題は、例えば、この宇宙を記述するのに、本当に波動関数をヒルベルト空間に属するものに限ってよいのかという問題にも絡んだ、現代物理学の未解決な面白い問題なのです。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

お礼が遅くなって申し訳ありません。丁寧な回答ありがとうございます。いくつか追加で質問がございます。

>その物理量の期待値は有限であると仮定します。
とありますが、ここで言う物理量とは時間のことでしょうか?

>Hの測定値が負になる場合が必ず存在することになります。
とは、つまり時間に限らず、Hと正準共役な演算子が存在してはならないということですか?

いろいろすいません。何卒よろしくお願いいたします。

お礼日時:2008/06/05 17:58

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!