
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
まだ現時点では程度を判断するのが難しい状況にあります。
二年後や三年後になると、今日の問題の寄与がどうだったかが、
もっと正確に分かるようにはなるでしょうが。
■アメリカ景気後退=日本景気後退の経験則?
人類皆兄弟なのかどうか、これまでアメリカが景気後退に陥ると、
日本の景気も大いに悪影響を受ける経験則があります。
1990年前後にアメリカで不動産が下落して金融機関が苦しんでいるかと思えば、
日本も資産バブル崩壊でもっと長く苦しむことになってしまったり、
アメリカでITバブルが崩壊してしまったかと思えば、
日本経済も回復できなくなってしまったりと、
何故か時期は大いに連動してしまっています。
アジア経済と連動する場合もあり、1997-98年のアジア経済危機と共に、
日本経済も戦後最大級の危機に直面します。
近年の日本の景気後退の時期は、世界的な景気後退の時期と概ね一致しています。
でも問題なのは、こういった一致は必然か偶然かという点です。
・世界の経済成長率と今後の予想(IMFより)
↓日本のバブル景気の時期は、世界的にも好景気。
1988 日本+6.8% 米国+4.1% EU+3.9% アジア途上国+9.2%
1989 日本+5.3% 米国+3.5% EU+3.4% アジア途上国+6.2%
↓不動産ブームの終わりは、世界的傾向でもある。
1990 日本+5.2% 米国+1.9% EU+2.4% アジア途上国+5.5%
1991 日本+3.4% 米国-0.2% EU+0.8% アジア途上国+6.1%
1992 日本+1.0% 米国+3.3% EU+0.7% アジア途上国+8.9%
1993 日本+0.2% 米国+2.7% EU-0.3% アジア途上国+9.0%
1994 日本+1.1% 米国+4.0% EU+2.9% アジア途上国+9.4%
1995 日本+2.0% 米国+2.5% EU+3.0% アジア途上国+8.9%
1996 日本+2.7% 米国+3.7% EU+2.0% アジア途上国+8.4%
1997 日本+1.6% 米国+4.5% EU+2.7% アジア途上国+6.4%
1998 日本-2.0% 米国+4.2% EU+2.9% アジア途上国+3.6%
↑アジア経済危機、日本にとっても危ない時期。
ただし、日本は国内経済政策の失敗も大きい。
1999 日本-0.1% 米国+4.5% EU+3.0% アジア途上国+6.3%
2000 日本+2.9% 米国+3.7% EU+3.9% アジア途上国+6.9%
2001 日本+0.2% 米国+0.8% EU+2.1% アジア途上国+5.8%
↑アメリカのITバブル崩壊は世界的景気後退に。
2002 日本+0.3% 米国+1.6% EU+1.4% アジア途上国+6.9%
2003 日本+1.4% 米国+2.5% EU+1.5% アジア途上国+8.1%
↓日本も景気回復、世界も景気回復。
2004 日本+2.7% 米国+3.6% EU+2.7% アジア途上国+8.6%
2005 日本+1.9% 米国+3.1% EU+2.1% アジア途上国+8.9%
2006 日本+2.4% 米国+2.9% EU+3.3% アジア途上国+9.6%
2007 日本+2.1% 米国+2.2% EU+3.1% アジア途上国+9.7%
2008予 日本+1.5% 米国+1.3% EU+1.8% アジア途上国+8.4%
2009予 日本+1.5% 米国+0.8% EU+1.7% アジア途上国+8.4%
↑サブプライム危機+資源高。影響の大きさは、意見が分かれる。
(2008-9年は予想、日本・米国・アジア途上国は08年7月発表値に修正)
■関係の大きさが微妙な輸出
アメリカの景気が後退すれば、日本の対米輸出が減少して、
日本経済も打撃を受けることになります。
対米輸出の減少を見込んだ設備投資の減少もマイナス要因です。
しかし、アメリカの景気後退に関わらずアジアは高成長を
続けるというデカップリング論もあります。
1990年には日本のGDPの3.0%程度が対米輸出、2.8%が対東アジア輸出でしたが、
2006年には日本のGDPの3.3%程度が対米輸出、6.7%が対東アジア輸出となっています。
日本経済の対米依存度は他の国と比べて決して高いわけではなく、
対アジアの輸出で拡大が続いているため、
対米輸出の不振で日本のGDPが0.1%位低下するということは、
それ自体は必ずしも死活問題かどうかは分からない面もあります。
これまでの経済成長統計の実績では、
直近の日本経済は好調な輸出に支えられています。
ただし、経済成長の外需依存性が大き過ぎる問題があり、
内需が景気を引っ張らなければいずれ状況は悪化していきます。
・日本の四半期経済成長率(内閣府より、実質、前期比、季節調整値)
2008年 1- 3月 GDP+1.0%=内需 0.5%+外需 0.5%
2007年10-12月 GDP+0.7%=内需 0.4%+外需 0.3%
2007年 7- 9月 GDP+0.2%=内需-0.3%+外需 0.5%
2007年 4- 6月 GDP-0.6%=内需-0.7%+外需 0.1%
2007年 1- 3月 GDP+1.1%=内需 0.7%+外需 0.4%
2006年10-12月 GDP+1.1%=内需 1.0%+外需 0.1%
2006年 7- 9月 GDP+0.1%=内需-0.2%+外需 0.4%
(4-6月期は大幅に悪化するという予想が多い)
一方、東アジアからアメリカに輸出されるものも多く、
東アジア経済もアメリカの影響を受けるため、
対東アジア輸出がアメリカの影響で打撃を受ける可能性もあります。
ただ、東アジアの輸出先もアメリカ一辺倒でもなく、
東アジアの輸出の17%はアメリカ、15%はEU向けとなっています。
どちらかというと輸出先は世界のGDPシェアに近く満遍ない構造ともいえます。
■不確実な為替レート
経済状況が悪くなった国は為替レートが低下する可能性があり、
ドル安によって日本経済も一時的に影響を受ける可能性があります。
ドル安によってアメリカの輸入が減る可能性がある以外に、
日本もアメリカも高付加価値品をアジアや欧州に輸出しており、
ドル安で日本のアジアや欧州向け輸出も減少する可能性もあります。
しかし、現時点では一国の総合的な為替レートを表す
実質実効為替レートで見ると、ドルよりも円安の傾向が強く、
欧州のユーロ、豪ドル、NZドル、カナダドルや、
ロシアのルーブル、ブラジルレアル、中国の人民元などなど、
日本でもアメリカでもない他の国の通貨が高くなっています。
円安はこれまで日本の景気を支える役割を担ってきましたが、
円の為替レートは長期的なファンダメンタルズよりも
過小評価されているという指摘も多く、
これから後に円高が進行する可能性は常に存在します。
将来の為替レート動向が不透明な事は景気予測を難しくしています。
・実質実効為替レート(OECDより、相対的消費者物価指数、2000年=100)
日本 (2000)100(2002)84(2004)86(2006)73(2008年6月)68
アメリカ (2000)100(2002)106(2004)96(2006)93(2008年6月)84
ユーロ圏 (2000)100(2002)106(2004)123(2006)120(2008年6月)129
■アメリカと原油・資源高
アメリカのサブプライム危機の後、
行き場を失った投機マネーが商品市場に向かったために、
原油・資源・食料価格が高騰しており、
これが世界経済に幅広く悪影響を与えているという指摘もあります。
しかし、今日のトレーダーの頭の中では
アメリカ景気後退=原油高なのかもしれませんが、
需要供給から考えればアメリカの景気後退はむしろ原油安の要素となります。
依然アメリカは世界最大の原油輸入国であり、
原油輸入量は日本や中国の2.5倍以上あります。
もしアメリカが今後本格的な景気後退に陥ってマイナス成長が続いたりすれば、
原油の実需要の増大にはマイナスの負荷になりますし、
もし今日アメリカ経済が好調だったとしても、より需要が大きくなって
原油価格は高くなっていたかもしれません。
いずれ供給が増大すれば資源価格はある程度まで収束するでしょうが、
これから後の資源価格の推移は不確実性が大きく、
変化する時期を予想するのが困難になっています。
・原油純輸入国ランキング(2006年、米エネルギー情報局より)
1 アメリカ 1235.7万バレル/日
2 日本 503.1万バレル/日
3 中国 335.6万バレル/日
4 ドイツ 251.4万バレル/日
■サブプライム関連損失の金融機関への影響
日本の金融機関でもサブプライム関連損失が1兆円以上出ており、
金融機関の自己資本比率が低下し、貸し渋りに結びつく可能性があります。
ただ、問題は程度であって、欧米と比べると
日本やアジアの金融機関が直接的に受けた打撃は甚大でもありません。
不良債権比率は数年前と比べれば顕著に改善されてはいます。
■上場企業は結構海外依存度が大きい
日本のGDPのうち輸出の占める割合は10-20%程度ですが、
輸入原材料を引いたら10%未満になりそうです。
この観点では、日本は意外と対外依存度の低い経済でもあります。
しかし、日本の国民経済計算と日本の上場企業は意外と一致しないらしく、
上場企業1696社の調査では売上高の海外比率は29%にもなるようで(日経新聞6月6日)、
どうもGDPから考えるものと一致していません。
海外の日本企業の実績は、一部を除いて海外のGDPに含まれます。
上場企業対象の株式市況は、日本の実体経済から見るよりも、
海外経済の影響を受けやすい面もあります。
■心理的に何となく
日本とアメリカの景気サイクルの連動性は、
実体経済からくる必然性だけではなくて、
連動すると思っているから連動する自己実現の部分もあります。
日本の世界報道はアメリカの報道を重視しているように見えます。
日本でアメリカ以外の国の経済はそれほど報道されませんが、
アメリカのサブプライム報道は連日報道されます。
ブラジル大統領選なんてほとんど報道されませんでしたが、
アメリカの大統領選だけは連日報道されます。
世論調査(ピュー研究センター)で米大統領選に関心ありと答えた人口の割合は、
アメリカ自体を抜いて24ヵ国中日本がトップになったなんて話さえあります。
報道に合わせて消費者の不況ムードもアメリカ直々に伝わるならば、
投資心理も何となくアメリカの市況に合わせてみたりして、
特に必要がなくても好況になってみたり不況になってみたりもするものです。
No.2
- 回答日時:
アメリカは消費しているので、日本の製造の売り上げ先です。
それが冷えると車など確かに打撃がでます。またアメリカのサブライム問題は金融で世界に不安を与えるなどです。資産を膨らませているのはアメリカ分がさがるとおおきいです。No.1
- 回答日時:
米経済失速で、まず日銀が声明出しましたよ。
GDP成長率予測1.5% →08年度成長率、1.2%に下げしました
で、簡単に予想されるのがドル安 円高ですね
もし為替が95円ともなれば大赤字です
今企業の(例えばトヨタ) 予算に設定した米ドルの為替レート\112/US$ です
輸出企業であるトヨタの場合、1円の円高ドル安が進むことで年間の営業利益が350億円減少するといわれており、ドル/円レートが95円水準だと約6000億の減収となりますね
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