使用しているテキストに詐害行為取消権の効果につきまして、
a)債務者に帰属しない
b)債権者は優先弁済を受けられない(相殺によって事実上の優先弁済は可能)
とあります。
A[債権者]→B[債務者] (←D・E[債権者])
↓詐害行為
C[受益者]
という場合、
Aは(相殺を除いて)基本的には優先弁済を受けられないというのは、Aの他にBに対して債権を持っているDやEの存在が前提の話かと思います。しかし、詐害行為取消によってBに効果帰属しないにも関わらずDやEにも弁済を受けるチャンスが回ってくるというのは、おかしくないでしょうか?
そもそも詐害行為にも気づかなかったD・Eは、詐害行為取消にも気づかず、ほとんどの場合、Aだけが(相殺するまでもなく)Bから弁済を受けられてしまうのではないでしょうか?
それとも詐害取消訴訟によって、Bへの債権者はくまなくピックアップされて、「詐害行為取消されましたよ」と知らせが来るのでしょうか?
おそらく私の理解に勘違いが含まれているかと思うのですが、
ご教授、ご指摘をお手数ですがお願い致します
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
問1 詐害行為取消によってBに効果帰属しないにも関わらずDやEにも弁済を受けるチャンスが回ってくるというのは、おかしくないでしょうか?
答 「Bに効果帰属しない」というのは,BC間の契約の有効性になんら影響はしないということです(※よって,Cは,Bに対して,不当利得返還請求や債務不履行責任の追及等ができる)。債権者(A・D・E)との関係では,詐害行為に係る財産の所有権はBにあることになります。
問2 詐害取消訴訟によって、Bへの債権者はくまなくピックアップされて、「詐害行為取消されましたよ」と知らせが来るのでしょうか?
答 そのようなお知らせは来ません。AにもBにも,また裁判所にも,そのような通知を出す義務はないからです。各債権者は自ら,債務者の動向に目を光らせておかなければなりません。
問3 詐害行為にも気づかなかったD・Eは、詐害行為取消にも気づかず、ほとんどの場合、Aだけが(相殺するまでもなく)Bから弁済を受けられてしまうのではないでしょうか?
答 はい。その可能性はあります。
そもそも,一部の債権者への弁済がなされたとしても,債務者が特にある債務者と通謀して,その債権者だけに優先的に債権の弁済を得させる意図の下に弁済する等,民法424条の要件を満たさなければ,詐害行為に当たりません(最高裁昭和39年11月17日判決)。仮にAのみへの弁済が詐害行為になるとしても,DやEが,詐害行為取消権を行使しなければ,Aへの弁済は有効なままです(なお,民法426条参照)。
なお,債務者Bの財産に対してAが強制執行(民法414条,民事執行法43条以下)をかけた場合,DやEが債務名義(民事執行法22条)を有していれば,配当要求をすることができます(民事執行法51条)。
たいへん丁寧にご解説いただきまして本当にありがとうございました。債権者は債務者の動向に常に気を配る必要があるという視点がイメージが初めて湧きました。理解することができ、心よりお礼申し上げます。
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