
大学での有機化学のかなり初歩的な質問です。
共鳴構造を考える時はいくつかの規則に従いますが、「一つの共鳴形と別の共鳴形とでは原子の混成は変化しない」という規則があります。
しかし、
CH2=CH-C---N ←→ CH2=CH-C=N
では(---は三重結合と見なして下さい)、炭素の混成は左からsp2、sp2、spだったのがsp2、sp2、sp2に変化し、窒素の混成はspからsp2に変化しているように見えます。これはどういうことなのでしょうか?混成の考え方が間違っているのでしょうか?それとも共鳴形が誤ったものになっているでしょうか?どなたかアドバイスをお願いします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
CH2=CH-C≡N ←→ CH2^+-CH=C=N^- ←→ CH2^--CH=C=N^+
アクリロニトリルの共鳴限界構造式を書くと上記のようにかけます。しかし、規則の一つにこうも書いてあります「共鳴式は、紙面上の問題で有り実際とは異なる。ただ、寄与度は大きく関与している」。
そこで、考えてみますと、分子のπ電子(非共有電子対を含めて)は非局在化している必要があります。
2番目の限界構造式のNがsp2混成になると非共有電子対はその軌道に入りますのでπ結合の軌道と重なりができなくなります。そのために、sp混成をとります。
また、3番目の限界構造式では、末端の炭素はsp3混成のように考えますが、これもそれになるとπ結合の軌道と重なりができません。そこで、sp2のままでp軌道に電子を入れることにより共鳴ができるようになります。Nについてもsp混成のままで、空軌道のp軌道がπ結合の軌道と重なることができます。
以上の説明でいかがでしょうか。
No.5
- 回答日時:
イヤー、この暑さで頭が惚けてしまいました(現在、室温36度)。
図の間違いを指摘していただきNo5さんに感謝いたします。
sp混成ですので直線状にしてください。
No.4
- 回答日時:
No.2さんの考え方に同意します。
どの限界構造でも、炭素の混成は左からsp2、sp2、spのままで、変化しません。窒素もsp混成のままで変化しません。「限界構造で混成状態を変える」という考え方もないわけではないのですけど、今の場合は、いたずらに問題を複雑にするだけなので、考えないほうがいいです。
ただ、No.4の図では、CCNが直線上に描かれていないために、二トリル炭素がsp2混成であるようにも見えますから、誤解しないように注意してください。二トリル炭素はsp混成です。図の緑色の軌道は、分子平面内にあるπ結合を表しています。
お礼が大変遅れ、申し訳ありません。
回答ありがとうございます。
限界構造という考え方自体実はまだ学んでないので、今は頭の隅に
置いておきます。
No.3
- 回答日時:
私も大学で化学を学んでいます。
[ CH2=CH-C≡N ←→ CH2=CH-C=N ←→ CH2-CH=C=N ]
(a) ←→ (b) ←→ (c)
混成軌道の見つけ方はあっています。
「一つの共鳴形と別の共鳴形とでは原子の混成は変化しない」という規則は見たことがありません。私はボルハルトショアー現代有機化学を使っているのですが。おそらく「原子の混成軌道」ではなく「原子の数と配置」は変わらないということではないでしょうか。
共鳴構造式ではC-C結合がC=C結合となるような構造も書くので、ある原子の混成軌道が構造式ごとに変わることは当然あります。原子の混成軌道ではなく原子の構成が変わらないということであると思います。
共鳴構造式はどの構造式が正しいということはなく、実際の分子はその全部の共鳴構造式全部を足して平均した構造をとります。ご存知と思いますが。例えば、この場合それぞれの分子について一番左の炭素の混成軌道を見てみると、それぞれsp2,sp2,sp3の混成軌道をとっています。そのため実際の軌道はsp2,sp2,sp3を1:1:1で足して平均した状態をとっていると考えられます。
実際の混成軌道はsp3,sp2,spのどれともいえません。しかし個別に(a),(b),(c)のどれかの構造を取り上げてそれぞれの炭素の混成軌道を答えるように問われた場合は、質問文にあるように混成軌道を答えればいいと思います。
お礼が大変遅れてしまい、すみません。
詳しい解説ありがとうございます。
No.1の方のお礼にも書きましたが、「一つの共鳴形と…は変化しない」
という規則はマクマリーに載っていたものです。
やはり共鳴形を一個ずつ見るのではなく、全体で考えたほうが良いのですね!

No.1
- 回答日時:
>「一つの共鳴形と別の共鳴形とでは原子の混成は変化しない」という規則…
聞いた事ありませんが、ベンゼンなんかは二つの「限界構造」間で混成は変化していませんね。
今回の
CH2=CH-C≡CN ←→CH2=CH-CH=CN
(ちなみに3重結合は「合同」の≡が使えます)
右側は限界構造ではないですね、ビラジカルか電荷の分離が起きているはずです。
つまり、
CH2=CH-CH^+=CN^- ←→CH2=CH-CH^-=CN^+←→CH2=CH-CH^.=CN^・
これなら混成の変更は起きません。
でもビラジカルは三重項になっていないと変かも、でもその遷移は「禁制」だしなー。
いずれにせよ共鳴構造はベンゼンにおけるデュワーベンゼン構造のように「エネルギー差の大きい限界構造の寄与は小さいと見なす」ので、電荷の分離が起きていたりビラジカルになっている構造の寄与は小さいでしょう。
但し今回は
CH2=CH-C≡N ←→CH2^+=CH=C=N^-
の寄与は有りですね。反応性にも表れますし。
お礼が大変遅くなりすみません。
詳細な解説ありがとうございます。とても参考になりました。
「一つの共鳴形と…は変化しない」という規則はマクマリーに
載っていたものです。
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