電源ラインにパスコン(電源安定用)をつける際、
電源とICが近い場合や供給先の2つのICが近い場合などは
パスコンを取ってしまってよいのでは、と考えています。
このときのパスコン削除の目安について自分なりに考えてみたので
アドバイスをいただけないでしょうか。
まず、パスコンの役割として、
ICの消費電流が変化した時に配線のコイル成分が必要とするエネルギーを、
コンデンサ(パスコン)が持っているエネルギーで相殺していると考えました。
つまり、
消費電流の変化前/後でのコイル成分のエネルギーの差分
=安定時/変化時に許容できる電圧でのパスコンのエネルギーの差分
これを式にすると、(ICは1個、パスコンも1個)(C以外は既知)
1/2*L*(Ia^2-Ib^2)-1/2*C*(Va^2-Vb^2)=0
Ia:変化前の電流、Ib:変化後の電流
Va:安定時の電圧、Vb:電流変化時の電圧
L:配線のコイル成分、C:パスコンの容量
このときのCの値がパスコンの容量の目安になって、
十分に小さければ削除OK、と思っています。
この考え方で問題ないでしょうか。
よろしくお願いします。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
「電源供給ラインをインダクタンスと見立てて」という考え方の設計は危険で、発振を招いたり、ノイズ放射・吸収源という品質低下の原因になります。
電源ラインの理想はインピーダンス=ゼロです。
通常のIC近傍に付けるパスコンの期待動作は、ICが瞬間的に要求する過大電流をコンデンサから供給するものです。
パスコンが無いとそれが電源供給ラインを通じて電源から供給することになり、電源電圧低下(電源供給点での低下、電源供給ラインでの電圧降下)を招いて回路全体に影響を与えることになります。つまり、これが電源ノイズとなり、回路の誤動作やノイズ放射に繋がります。
パスコンの必要容量は次の要領で机上検証できます。
「ICが瞬間的に要求する過大電流」と「その瞬間的な時間」で所要電荷が求まります。
「パスコンがその時間にICのために放出した電荷」と「電源からその時間で供給できる電荷」の差分がパスコンの保持電圧変動分になります。この後者が前者より大きければ(つまり、電源ラインインピーダンス=ゼロならば)パスコンは不要ということができます。パスコンの容量が小さいと、保持電圧変動幅は大きくなります。
ICが二つ近接していたら、パスコンは一つでよいか…
先の検証により、一方のIC動作による電源電圧低下(つまりノイズ)が他方に影響を与える量ではないならば、共用できます。しかし、一般的には、一個あたりの容量の2倍の容量のパスコンとするのが安全です。
あなたの言う、「(配線の)コイル成分が(蓄えたエネルギーを)必要とするエネルギーとして供給する」方式は、積極的にコイルを挿入して実現されるDC-DCコンバータとしてによく使われる方式の一つです。
なので、「ICが一個だけの回路」(複数IC間や回路間の相互影響というものが存在しない状況)ではその考えが適用できます。
ありがとうございます。
コンデンサについて考えていたのに電荷のことを失念していました。
さっそく所要電荷から見積もってみたいと思います。
No.5
- 回答日時:
あなたの考え方では目安にならないということは他の方がご指摘の通りです。
では実際問題としてどうするかというと、
工場の設計部などでは、「こんな場合にはこの程度のパスコンをこう配置する」という設計マニュアルが整備されていて、それに則ってやります。いちいち設計計算をしていられないし、もともときれいな計算にのるようなものでは無いからです。
少量生産ならそれで済み。大量生産ならシミュレーションとかもやるかも。
商品ではなくて、自分の実験回路を手作りするというのならやまかんで入れるのみ。電解コンデンサ一個と、セラミックとか高速タンタルをIC10個あたりに一個とか。ほんとにやまかん。設計計算なんてしてる人はいないのでは??
万一誤動作をしても被害は無いのなら、5個や10個の論理ICなら、高速でないなら、パスコン無しでも概ね正常動作します。とりあえず学生実験用の回路をこれで作りましたが、1MHzくらいでも正常動作してます。でも、品質責任は負えません。悩むなら、世の中の例を調べて真似してパスコンを入れるのが一番手っ取り早いです。
ありがとうございます。
目的が電源回路を作るわけではないのであまり時間をかけるところではないかもしれませんが、
自分の中に根拠になるような材料があれば安心できるので考えてみました。
No.4
- 回答日時:
パスコンの働きの一つにデカップリングがあります。
もしパスコンがないと、高周波的にはあちらの回路とこちらの回路が電源線でつながって(カップリングして)しまいます。
ロジック回路が出したノイズをアナログ回路が拾ってしまったりします。
自分が出したノイズを自分が拾う、つまり発振するICもあります。
低速opampは少々省いても動きますが、ロジックICは立ち上がりが高速なため、パスコンが最短距離で付いていないと発振するものもあります。
ICによってノイズの出し方、耐性はさまざまですから、コイル成分だけで論じていると発振の憂き目にあいます。
自分は特定の温度になると発振するという憂き目にあいました。
電源とICが1mとか遠い場合、小さいパスコンしか付いていないと、高速に立ち上がる電源を使った場合は配線インダクタンスとパスコンがLC共振して、オーバーシュートがICの最大定格を超えて壊すことがあります。
基板に一個は電解コンデンサを付けておいた方が良いでしょう。
ありがとうございます。
全部外してしまうのはさすがに無理だろうとは思っています。
各々のICの設計マージンのようなものが積み重なっているとすれば
いくつかは外せるのではないか、と思って今回考えてみました。
No.2
- 回答日時:
パスコンは,IC電源端子の電圧を一定にするために入れます.
エネルギーは電力(電圧・電流)の時間積分ですから,電圧変動はわかりません.
従って,エネルギーからパスコンの容量はわかりません.
電圧変動を計算するには,過渡現象論で行う必要があります.
例えば,よく使われているマイコン=Xeonだと,電源に対する要求仕様は
電源電圧:0.8375V~1.6000V(6ビットで設定)
電源電流:105A,120Amax
最大電源電流ステップ:100A/μs
最大電源電流スルーレート:930A/μs
許容電源電圧変化:-140mV±20mV
この条件は,パスコンだけでは満足できず,電源電圧を作っているDC-DCコンバータと合わせて満足させているそうです.
DC-DCコンバータはこんな感じです.
http://www.intersil.com/cda/deviceinfo/0,1477,IS …
専門家に聞いたところでは,パラメータが多すぎて計算できないんで,シミュレーションでやってるそうです.その場合,従来の3素子モデルではシミュレーションできず,このような5素子モデル~ラダー・モデルでやる必要があるとか?
僕はシロートなんでよくわかりませんが.
http://industrial.panasonic.com/www-data/pdf/ABE …
ありがとうございます。
確かにパスコンが働く状況を考えると瞬時の電圧変動で考えないといけませんでした。
リンクのようなシミュレータが安く手に入れば、と思いますがさすがに無理ですね・・・。
それだけこの分野が難しいということでしょうか。
No.1
- 回答日時:
単に電流の出入りだけで決めるのはどうかと・・・
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4526046116.h …
ただ、とても遅い動作の回路で、パスコン無しあるいは、減らしても正常に動作することもしばし。
経験的には、数百Hz程度の動作ならかなり減らせるように思います。
また、回路上の早い部分と遅い部分で割付を決めたりなど・・・
多いに越したこと無いけど、減らすことは可能かと思います。
質問者さんが作った回路に最初は全部付けて、段々減らしながら動作確認していけば、ここは欲しい。ここはいらない。が見えてくるのでは?
ありがとうございます。
実際は徐々に外していって動作を見ることになるだろうと思っています。
私の性格的に理論武装の方が安心できるので、今回は勉強もかねて考えてみました。
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