
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
私は、自称「歴史作家」です。
>>当時は布がへにょへにょしないようにどんな加工をしていたのでしょうか。糊を付けると言うのにも限度がありそうで、あんなにピシッとしないように思えるのですが。
そうですね。糊付けだけでは「限界」がありましたので、「鯨の髭(ひげ)」を芯に通して縫い上げていました。
元禄年間(1688~)頃からは、片側の張り出しが1尺(約30cm)が「通例」となりました。これを「一文字型」と言いますが、江戸時代後期には逆に肩の線を丸くすることがはやったといわれ、現在でも「一文字」と「蛤型、または、鴎(かもめ)型」として両方の仕立てかたが残っています。
>>辞書には裃姿の袴は普通丈バージョンと引きずるバージョンが載っています。これらの着分けの基準はあったのでしょうか。
引きずるバージョンを「長袴(ながばかま)」と呼びました。
当時の武士の正装(礼装)の一種。殿中では走ってはならず、刀を抜くことは切腹にあたる重罪、謀反・刃傷沙汰を防ぐために、「殿中差し」と呼ばれる短い刀を差し、長袴をはいて歩きにくくしていました。それと同時に長袴は戦意のないことを表すものでもあった。
この長袴のために殿中では自分の袴でつまづいたり、他人の袴を踏んでしまったりという苦労は絶えなかったという。
ちなみに忠臣蔵において浅野内匠頭が吉良上野介を討ち損じたのは、殿中差しと長袴のためと考えられている。長袴の浅野に対して、吉良は「狩衣(かりぎぬ)」という衣装で逃げやすかったのです。
長袴について:
http://www.iz2.or.jp/fukushoku/f_disp.php?page_n …
狩衣について:
http://www.kariginu.jp/kikata/1-5.htm
(よもやま話)
(1)生地は本来「麻」であったが、『結城法度』に肩衣は麻を用いよとする規定が見られるところを見ると、戦国時代にはすでに「木綿」による贅沢な仕立てのものもあったらしい。江戸時代に入ると、素材の高級化はさらに進み、上士は「龍紋(りゅうもん=絹織物の一種)」を用いることが一般的になった。また宝暦年間には小紋の裃が流行し、江戸城内で登城した大名たちが自国の小紋の精巧さを競う風潮も生まれた。
(2)紋の位置は、直垂(ひたたれ)と同じく「背中」「両乳」「腰板(腰の部分)」「合引(あいびき=袖そでの部分)」の五箇所が本来であった。(長袴のサイトを参照)。しかし、江戸時代になると「合引」は略されるようになってゆく。また袴も、江戸期には礼服として長袴を用いる習慣が生まれた。下に着る小袖は、江戸期には正式には「熨斗目(のしめ)」もしくは「帷子(かたびら=夏季)」と定められ、色目にも身分差が設けられた。
(3)熨斗目とは、江戸時代に流行した着物の模様です。腰のあたりに太い横のラインを配置した大胆なデザインで、袖の先にも模様がかかっているのがノシメトンボの翅の先と似ています。
熨斗目模様:
http://www.viva-edo.com/komon/komon_sima1.html
(4)帷子(かたびら)とは、「単(ひとえ)」の衣(裏地なし)のことで、「袷(あわせ)」に対して、その「片(ひら)」の意味でつけられた呼び名ですが、時代とともにその意味合いも変わりました。
平安時代には、「単」のものをすべて「帷子」と呼び、主に肌に直接つける下着を指していました。
湯に入るときもこれを着ることもあったことから、これを「湯帷子」と呼び、これから「浴衣」の名が生まれました。
江戸中期には、夏用の衣料として着るようになり表着となりました。
江戸末期には、裏なしの絹や木綿の衣を「単」と呼び、「帷子」は、麻や生絹の「単」ものを指すようになりました。
そして男性用には白地に経縞や絣、女性用には友禅染めや小紋染めのものが用いられました。
とても詳しい説明ありがとうございます。
鯨のひげですか。実物を見たこと触ったことはないですが、納得です。
長袴ですが、正装の一種と言うことはTPOに応じて履いていたと言うことですよね。見ていた時代劇では将軍様謁見の時、長袴を履いている大名と普通の袴の大名が混じってました。これっておかしくないですか。それとも同じ行事に参加するのでも、地位とか役職によって着るものも代わったものなのでしょうか。
狩衣も興味深い衣装です。何処をどう縫い合わせてあるのか不思議です。(洋裁、和裁とも少々するのでちょっと変わったデザインの服があるとついつい縫い方とか縫い目を解いてみたくなってしまいます。)
No.2
- 回答日時:
こんにちは。
>>長袴ですが、正装の一種と言うことはTPOに応じて履いていたと言うことですよね。見ていた時代劇では将軍様謁見の時、長袴を履いている大名と普通の袴の大名が混じってました。これっておかしくないですか。それとも同じ行事に参加するのでも、地位とか役職によって着るものも代わったものなのでしょうか。
基本的には、「礼服(=正装)」でしたので、普段は短い袴でもOKでした。
また、着用できるのも「国持大名で1万石以上」などに限られていました。
そして、「礼式日」などの日や「勅旨(ちょくし=朝廷からの使い)」などをお迎えした「特別な日」だけ着用しました。
礼式日とは、
「元旦」
元旦・・・これは、もちろん正月1日。
「五節句」
人日(じんじつ)・・・正月7日。(七草粥の日)。
上巳(じょうし)・・・3月3日。(ひな祭り)。
端午(たんご)・・・・5月5日。(端午の節句)。
七夕(たなばた)・・・7月7日。
重陽(ちょうよう)・・9月9日。
「八朔」
八朔(はっさく)・・・8月1日。(この日は、家康が初めて江戸へ入府した日で、元旦に並ぶ重要に日)。
これらの「礼式日」には、江戸在中の大名などが全て登城しました。
しかし、長袴を許されるのは、先にも書いた通り、一万石以上の国持大名、御三家、などに限定されていました。つまりは、「権威の象徴」だったのです。
さらに、老中や側用人、若年寄などの御用繁多の人たちは、長袴で「ゆったりと」歩いていては仕事になりませんので、特に、普通の袴での登城、公方さまとの面会などが許されました。
(なお、将軍のことを江戸時代は「将軍さま」とは呼ばず、「公方(くぼう)さま」または「大樹(たいじゅ)さま」、「御公儀(ごこうぎ)さま」と呼んでいました。良くTVなどで「将軍さまのお成り~」などと叫びますが、単なる「視聴率」を上げるてめの所業)。
また、赤穂浪士で有名な「松の廊下事件」では、
浅野内匠頭長矩(あさのたくみのかみながのり)は、「勅旨饗応役」という役目を仰せつかっており、長裃の正装でした。
吉良上野介義央(きらこうずけのすけよしひさ)は、高家筆頭(こうけひっとう)という家柄で、公家と武士を兼ね備えたような立場で、朝廷の儀式の作法を指導する立場でした。
そして、浅野は国持大名で5万石。
吉良は、「領主」とよばれ、三河国幡豆や上野国緑野郡、碓氷郡等を領地としていましたが、四千五百石でした。と、なると、普通の「袴」・・・と、なるのですが、高家ということから、朝廷風(公家風)を真似て「狩衣」での登城が許されていました。
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