
水蒸気吸着において、一点法と多点法を用いて比表面積の測定をするのですが、BETプロットのY軸にあたる1/Va(Po/P-1)のVaとは水蒸気吸着の場合、どのような値になるのでしょうか?また、このY軸の値は何を意味しているのでしょうか?
また、多点法の直線範囲として相対圧0.05~0.3の3ポイントの直線(曲線)を直線回帰して、そこからVmとCを求めるとありますが、Vmにより比表面積は求められるとして、Cは一点法との相対誤差をみるためのものという解釈でよろしいのでしょうか?
多点法についていろいろ調べているのですが、何分皆同様の文章が多く、できれば別の解釈をお聞きしたく投稿させて頂きました。
最後に自動式の機械ではなく、水蒸気吸着をいくつかの相対湿度環境において実施し、それぞれの平衡吸着量を測定する場合、一点法ならば単純化されたBET式により単分子吸着量から比表面積は求められるのですが、多点法の場合、X軸は相対湿度としてY軸の値をどう設定して、直線を得るかでひっかかっております。
よろしければご意見よろしくおねがいします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
BET法ではx軸にとるのはP/Po(Poは飽和蒸気圧、Pは測定平衡圧)で、y軸にとる値は吸着量をVと書いて(P/Po)/{V(1-P/Po)}です。
BET Plotのための式の形はP/Po=x(飽和蒸気圧に対する相対圧)としてx/{V(1-x)}={(C-1)/(VmC)}x+1/VmC...(1)
となっています。ここでVmは単分子層吸着量です。BETモデルでは、ある温度での、平衡圧Pに対する吸着量V(Adsorption Isotherm;吸着等温線)が
V=VmCP/[(Po-P){1+(C-1)P/Po]...(2)
になりますのでこれを書き直して(1)の形にします。実験で得られている値は平衡圧P1, P2, P3,...に対応する吸着量V1, V2, V3,...のデータですから、これを読み替えてP1/Po=x1, P2/Po=x2, P3/Po=x3,...をx軸の値にとり、それに対応するx1/{V1(1-x1)}=y1, x2/{V2(1-x2)}=y2, x3/{V3(1-x3)}=y3,...をy軸の値にとれば(1)から勾配が(C-1)/VmC、y切片が1/VmCの直線が得られるのです。y軸の値そのものに特別な意味はありません。Vmの求め方ですが、(1)式の勾配とy切片を足すと(C-1)/VmC+1/VmC=C/VmC=1/Vmですから、Vmは勾配とy切片の和の逆数とわかります。このやり方から判るようにy切片1/VmCも出しているのですからCはCで別途計算できます。Vmを出すのにはとりあえず要らない、ということです。
Cの中味はもともとのモデルで、第一層目の固体に吸着するときのエネルギーと第二層目以降のいわば期待の凝縮に近いエネルギーとの差をRTで割ってeの肩に乗せた形のものです。
一点法は通常はC>>1で、しかもy切片がしばしば無視できる程度に小さいので、(1)式は以下のように簡略化できることに基づいています。
x/{V(1-x)}=(C/VmC)x=x/Vm...(1)'
すなわち
Vm=V(1-x)...(3)
です。x=0.3のところの吸着量Vを測れば、それがほぼ単分子層吸着量になる、とするのです。
水蒸気の実験だろうが窒素の実験だろうが上記の説明どおりの計算をおこなえばVmはBET Plotの勾配とy切片から出せます。
とても分かりやすい御説明ありがとうございます。
ひとつ確認したのいのですが、多点法のy軸にあたる(P/Po)/{V(1-P/Po)}の式は、1/V(Po/P-1)と記載されているものもあるのですが、両者で計算結果が異なると思うのですが、これはどういうことなのでしょうか?また、ここから算定されるy軸の値は、どんな値(たとえば吸着量のような分かりやすい項目)と考えるべきなのでしょうか?
よろしければご教示ください。
No.4
- 回答日時:
No1&3です。
最初から質問者さんの式で思い違いしてました。質問者さんのy値は1/V(1/x-1)
でしたね。それならNo2さんの書かれたようにまったく分母子をxで割っただけの話です。慌て者で済みません。
No.3
- 回答日時:
> 多点法のy軸にあたる(P/Po)/{V(1-P/Po)}の式は、1/V(Po/P-1)と記載さ
> れているものもあるのですが、両者で計算結果が異なると思うのですが、
> これはどういうことなのでしょうか?
BETの式は(1)が標準ですが、質問者さんの式はその左辺の分母分子をx=P/Poで割っただけです。そうすると質問者さんの書き方ならプラスマイナスが逆になります。それを左辺にのこして
-1/V(1-1/x)={(C-1)/(VmC)}x+1/VmC...(1)
とでもしているのでしょうか?いずれにせよこれで普通の式と差はありません。
> また、ここから算定されるy軸の
> 値は、どんな値(たとえば吸着量のような分かりやすい項目)と考える
> べきなのでしょうか?
以上のように-1/V(1-1/x)と書いても事情は何も変化しません。前回に書きました吸着等温線の式を変形させて、直線の式に帰着させ、Vmを求めることができるようにした、といういわば技巧であってy軸の数値に物理的な意味はありません。
No.2
- 回答日時:
なんかやっぱり勉強が根本的に足りてないです.
> (P/Po)/{V(1-P/Po)}の式は、1/V(Po/P-1)
自分で数式の変形とかやってみてないですね.この二つは,「同じ」です.約分しただけです.
BETプロットの縦軸に,物理的な意味はありません.単にデータを理論式に当てはめるときに,適合性とかを判断しやすく,またその後の解析を楽にするために,一次関数の形に変形した結果,このような数値を相対圧に対してプロットするという形になっただけです.このような解析のしかたは,物理,化学を問わず,幅広く使われる,あまりにもふつうの考え方です.
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