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賃貸借契約について、承諾転貸があった場合について、以下のような法律関係をもとに質問させて下さい。
A---------->B---------->C
(1)賃貸借 (2)承諾転貸
(3)解除
この点について、判例は、Bに債務不履行があった場合は、Aは、Cに催告をせずに、履行遅滞解除をすることが可能で、さらに、BC間の転貸借契約は、Aの明渡請求時点で、Bの履行不能により終了するとしています。
ここで、何点か質問させて下さい。
(1)解除の第三者について
そもそも、賃貸人AがAB間の賃貸借契約を解除する場合は、Cは、545条1項但書の『第三者』として保護されないのでしょうか?
Cは、解除前に、新たな、独立の、法律上の利害関係に入っているように思うのですが・・。
(2)解除後のBCの転貸借契約について
解除後のBC間の転貸借契約は、他人物転貸借として、債権的には有効に成立していると考えてよいでしょうか?
(3)賃料相当分の請求について
解除後、明渡請求前の法律関係については、転貸人Bは、転借人Cに対して、(他人物賃貸借)の転貸借契約に基づいて、有効に賃料を請求できるということでしょうか?
この場合、解除後の賃貸人Aは、間接的に転貸人Bに対して、賃料相当分の不当利得返還を請求できるにとどまり、賃借人Cに対して、賃料相当分の不当利得返還を請求できないのでしょうか?
また、明渡請求後の法律関係については、転貸人Bは、もはやその地位を失い、転借人Cに対して、賃料を請求することはできず、賃貸人Aが転借人Cに対して、直接に賃料相当分の不当利得返還を請求できると考えてよいでしょうか?
以上、お手数ですが、ご回答よろしくお願い致します。
A 回答 (1件)
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No.1
- 回答日時:
簡単なところからね。
(2)間違い。って言うか本質的に理解不足だね。
転貸の目的物は必ず「他人物」に決まってるよ。だから「転貸借」に「他人物」を付ける意味がないね。よって「他人物転貸借」なんて表現は無意味。ただの転貸借だよ。そして、転貸借契約は最初の承諾転貸の時点で成立しているのであって、その後の賃貸借契約の解除によって新たに成立などしない。判例理論あるいは一般的学説の見解では、賃貸借契約と転貸借契約は別個独立の契約であるから賃貸借契約が解除になってもそれだけでは転貸借契約は直ちに終了しない。よって、賃貸借契約を解除したというだけではまだ転貸借契約は存続しているし、当然有効。判例では原則的には目的物の返還請求の時点で履行不能となって転貸借契約は終了するね。
更に「債権的に有効」って表現の意味が解ってないね。あれはね、物権変動を伴う契約において目的物に対する処分権がないから物権変動は生じないが債権契約としては効力があるって意味なの。典型は他人物売買。他人物売買は「所有権移転という物権変動を目的とする契約」だけど、他人物に処分権がないから実際には物権変動を生じない。だけど債権契約としては有効だとこういうわけ。解る?ところが賃貸借契約は元々物権変動を生じない(なお、占有権は事実上の占有それ自体から認められる権利で、占有が先にある。占有権の有無は占有を正当化する権限の有無とは無関係なので、賃貸借契約の目的を占有権の移転ないし設定と捉えることはできない。不法占有にだって占有権があるのだから、賃貸借契約があろうがなかろうが現に占有すれば占有権はあるということ)ので初めから終いまで「債権的に」しか有効でないに決まってるの。だから他人物賃貸借は有効か?って議論はあるけど「債権的に」なんて付けない。他人物であろうとなかろうと賃貸借契約の有効性は「債権的に」に決まってるから。当たり前のことは言わないのだ。
ここから下は時間もないし確認を一切取ってない。なので間違ってるかもしれないことを最初に言っておくね。
(1)それは理論的におかしいね。そもそも545条1項ただし書は、解除の法的性質について判例通説の直接効果説に立った場合には、解除の遡及効を制限する規定でしょ?ところが賃貸借契約のような継続的契約においてはそもそも解除に遡及効がない。だったら545条1項ただし書を適用する前提を欠いてるじゃない。545条1項ただし書を適用しなくても、解除までの転貸借契約の基づく占有は違法にならない。仮に第三者に当たるとして545条1項ただし書を適用したところで、解除までの転貸借が違法でないとなるだけで、理論的には解除後の転貸借までも保護することにはならないよ。もちろん、保護すべきかどうかという法政策の問題として考えることはできるけど、判例は原則的には保護すべきだと考えてはいないからこそ、明渡請求を認めているわけでしょ。
ただし、事例によっては信義則による制限を認める可能性はあるけどね。
(3)まず明渡請求により転貸債務が履行不能となった場合の話をしよう。明渡請求後は、契約関係が一切存在しないから不当利得ないし不法行為で賃貸人が転借人に直接に賃料相当額の金銭を請求できるというのはおそらく判例が前提としているところだと思うよ。確認してないけど。
じゃあ、明渡請求前はどうだって言えば、転貸借契約はまだ終了していない。だったら、転貸人(賃借人)は転借人に賃料請求できるとするのが理論的に正しい。ただ、転貸人は転貸をする正当な権限を有していないから、そこで得た賃料は不当利得となるけどね。だから最終的には賃貸人の懐に入るべきものになる。ただこれだと法律関係が複雑になるから何らかの構成を考えてもいいとは思うけど……、例えば613条1項前段を類推(賃貸借契約が解除になっているから類推)適用して賃貸人に転借人に対する直接の賃料請求を認めるとか。ただ、そういう話は聞いたことがないからひとまずは原則どおりでいいんじゃないかと思うよ。
大きなお世話かもしれないけど、何を目的とした勉強か知らないけど、あまり瑣末なところに拘ると大局を見失うから数冊本を調べて判らないことは保留にして先に進むべきだと思うけどな。
ご回答ありがとうございました。
法科大学院の入試試験に出題された問題でして、模範解答も公開されていないため、質問させて頂きました。
細かい点の質問で大変恐縮ですが、ご回答よろしくお願い致します。
>(2)間違い。って言うか本質的に理解不足だね。
『他人物転貸借』は、『他人物賃貸借』の間違いです。失礼しました。
『債権的に有効』というのがそんなに奥深い表現だと思っておらず、契約上は、履行不能とならず、有効に存続するという意味で表現を使用させて頂きました。
細部はあるようですが、転貸借契約は、他人物賃貸借として、有効に存続し、引渡請求時に履行不能により消滅するという理解で良いのでしょうか?
>(1)
>だったら545条1項ただし書を適用する前提を欠いてるじゃない。
なるほど、そうなると、解除の効力が将来効である場合は、第三者が仮に解除前に関係に入っていたとしても、解除後は保護されなくなってしまいますが、どうなんでしょうね。
適用されないと考えた方が複雑にならなくて済みますが・・。
>仮に第三者に当たるとして545条1項ただし書を適用したところで、解除までの転貸借が違法でないとなるだけで、理論的には解除後の転貸借までも保護することにはならないよ。
第三者として保護される場合は、賃貸人の地位の移転が起こってしまい、解除後の転貸借(賃貸借)まで有効になりませんか?
それで悩んでいたのですが・・。
>(3)
理論的に考えると、複雑な法律関係になるということですね。
ありがとうございました。
ちょっと、いやらしい問題ですし、模範解答も出回っていないことですし、この問題は捨てることにします。
実は、問題上は、AがCに明渡請求する前に、BがCの賃料未払いで更に賃貸借契約(転貸借)を解除していて、更に面倒なことになっています。
ご回答ありがとうございました。
また、よろしくお願い致します。
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