
以下、僕の理解を示すため、あと、質問に入るため、すこし長文を書きます。
以下が大体の僕の理解だと思ってください。一応、量子力学、統計力学は理解しているつもりです。
結晶中では原子や分子の単位構造が規則的に並んでおり、電気伝導においてはその規則的な構造の中を電子が動き回る。ここでは簡単のため、長さがLの1次元の結晶を考える。量子力学から、閉じ込められた自由電子の波数kとエネルギーEには
E = (h_bar*k)^2/(2*m) ; k = ±2πn/L
という関係にある。このため、通常であれば自由電子のエネルギーはこの式によって連続的であるはず。
結晶が単位構造が1原子からなり原子間隔がaであるとする。次の式が満たされるとき、波数kの電子の波動関数はブラッグ反射を起こして、その存在密度は散乱される。
k = ±π/a
このため、結晶内で式を満たす波数k付近の波数を持つ電子は自由電子のようにはふるまえない。進行波は散乱され、電子の波動関数は定在波でしか許されない。1つの自由電子の波動関数ψの定常波はシュレーディンガー方程式から
ψ(x) = Aexp(ik*x)+Bexp(-ikx)
で与えられる。A,Bは任意の定数である。これよりこのモデル結晶での自由電子の波動関数の定在波は、
ψ(+) = exp(ik*x)+exp(-ikx) = 2cos(kx)
ψ(-) = exp(ik*x) - exp(-ikx) = 2isin(kx)
のどちらかの形をとると考えられる(☆)。
これにより2つのことなるエネルギーを取りうる。この差をバンドギャップという。この差によってエネルギーは連続性を失う。
ひっかかっているのは☆の部分です。
・・・なんでこの2つの形が許されるのですか?
個人的には差をとっているψ(-)が大変気に食わないのですが・・・。波の重ね合わせの議論ならば、和のψ(+)で十分では?
かなり考えたのですがもう泥沼です。助けてください。
A 回答 (5件)
- 最新から表示
- 回答順に表示
No.5
- 回答日時:
井戸型ポテンシャルでもいいですし、水素原子の場合でもいいです。
シュレディンガー方程式を使って問題を解くと
多くの場合、いくつも異なる波動関数がでてくるでしょう。
水素原子の問題ならば、1S状態、2S状態、2P状態とか。
どれがエネルギー的に一番低いとか違いますが。
数学的に言うと、シュレ方程式という微分方程式を
問題の境界条件で解いたことになります。
この問題の2つの波動方程式をこの問題のシュレ方程式と
境界条件に代入するとちゃんと満たしているはずです。
そもそもエネルギーの異なる2つの波動関数が出てこないと
バンドギャップが現れません。
Cosだけ採用すると、あるエネルギーまでは状態が存在するが、
それ以上では状態が存在しないことになります。
注意して下さい、自由電子ならばどんな大きなエネルギーも
可能ですが、このCosの解はあるエネルギーより上は
存在しないというものです。
No.4
- 回答日時:
当たり前ですが、系の原点をどこにとっているか確認してください。
原点に対して反転対称性のある位置にありませんか?
(※もし、そうでない場合は、固有状態はsinとcosの混ざった状態になりますよね。)
反転というオペレータとハミルトニアンは交換するので、同時固有状態が実現されますよね。
なので、反転に対する固有状態を考えれば良い分けです。
ブロッホの定理でも系の(並進)対称性(=同時固有状態を考えること)が重要になります。
がんばってください。
No.3
- 回答日時:
間違ってたらごめんなさいですが、反射のときに位相の反転を伴う解と伴わない解の両方があるということでは?
この回答への補足
レスポンスありがとうございます!
その可能性も考えたのですが、一つの特定の結晶の中で異なる2つの種類の反射が存在するのでしょうか・・・?
電子の波動関数は、固定端的は反射と自由端的な反射の2つの反射の可能性を持ち、その結果、存在が許されるψ(+)とψ(-)が選択的に実現される、という理解でよいんでしょうか?
ちょっとまだ不安です。
どなたか意見をください!
No.2
- 回答日時:
#1です。
すみませんなんか勘違いしてたので訂正します。ψ(x) = Aexp(ik*x)+Bexp(-ikx)
= Acos(kx)+iAsin(kx)+Bcos(kx)-iBsin(kx)
= (A+B)cos(kx)+i(A-B)sin(kx)
なので、正弦波と余弦波の重ね合わせで表せるということです。
それを、正弦波と余弦波の部分に分けて書くと、
ψ(+) = exp(ik*x)+exp(-ikx) = 2cos(kx)
ψ(-) = exp(ik*x) - exp(-ikx) = 2isin(kx)
になるという事が言いたいんだと思います。
(前の係数は規格化)
同じ周期の定常波( ψ(+)とψ(-) )でも、
ψ(+)とψ(-) とでは、腹の位置はa/2ずれてます。
正イオンの配置とポテンシャルを考える(正イオンの近くでポテンシャルが深い)と、
ψ(+)とψ(-)では、
定常波の腹の位置がポテンシャルの深い位置に重なっていないものと、
重なっているものに分かれます。
ポテンシャルの深い所に電子の存在確率が高ければ、
それだけエネルギーが得になります。
それにより、
ψ(+)とψ(-)では正イオンのポテンシャルに応じたエネルギー差が生じる事になります。
それがエネルギーギャップです。
さっそくの回答、ありがとうございます。
回答の中の議論は理解できました。
しかし、議論の中に「反射」の減少が登場しないのがいささか気になります。
僕は今、キッテルと向かい合っているのですが、彼の議論では、反射によって定在波ができる、といっています。
これだと、ψ(x) = Aexp(ikx)+Bexp(-ikx)が反射して、
反射波φ(x) = Aexp(ik*x)+Bexp(-ikx) + Aexp(-ik*x)+Bexp(ikx)
= (A+B)2cos(kx)
というふうにψ(+)しかできないと思うのですが・・・。
ψ(-)ができる理由がAとBの任意性だけではでてこないので混乱しています。
もうすこし、考えてみます。
しかし、なにより、お早い回答に感激しました。ありがとうございます。
No.1
- 回答日時:
ψ(x) = Aexp(ik*x)+Bexp(-ikx)
(k=±2πn/a、nは整数)
において、
k>0の場合
ψ(x) = Aexp(ik*x)+Bexp(-ikx)
= Acos(kx)+iAsin(kx)+Bcos(kx)-iBsin(kx)
= (A+B)cos(kx)+i(A-B)sin(kx)
(ここではk>0)
k<0の場合
ψ(x) = Aexp(ik*x)+Bexp(-ikx)
= Acos(kx)-iAsin(kx)+Bcos(kx)+iBsin(kx)
= (A+B)cos(kx)-i(A-B)sin(kx)
(ここではk>0:マイナスを外に出した)
∴ ψ(x) = 2(A+B)cos(kx)-2i(A-B)sin(kx)
(ここではk>0)
よって、
ψ(+) = exp(ik*x)+exp(-ikx) = 2cos(kx)
ψ(-) = exp(ik*x) - exp(-ikx) = 2isin(kx)
(ここではk>0)
と書いてあるんでしょう。
正弦波、余弦波、どうしで重ね合わせ、
前の係数は規格化してあるんでしょう。
こんな感じだと思います。
長岡洋介の
「遍歴する電子」(産業図書)
に詳しく載っています。
たぶん図書館にあると思うので探してみてください。
キッテル著「キッテル固体物理学入門」(丸善)や
アシュクロフト・マーミン著「固体物理の基礎」(吉岡書店)
にもバンド理論について載っていますので参考にしてみてください。
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
似たような質問が見つかりました
- 物理学 参考書にこのようなことが書いてありました。 粒子のエネルギーをE、確率波の振動数をv、波長をλ、運動 2 2023/03/05 19:45
- 物理学 「次式で与えられる1次元の波動関数ψ(x,t)が自由電子のシュレディンガー方程式を満たすことを確かめ 2 2023/03/08 12:33
- その他(自然科学) 電磁波の周波数と熱について教えて下さい。 電磁波の波長とエネルギーについて、雑学として興味があります 6 2022/04/18 20:00
- 物理学 電子レンジが物を加熱する仕組みについて 吸収できるエネルギーに限界値はあるのか知りたい。 表題の通り 4 2022/05/06 20:10
- 物理学 量子力学 球面調和関数 導出 方位角成分 微分方程式の解 2 2022/07/02 13:40
- 物理学 電磁波と磁界、電界の優位性について 6 2023/02/19 05:20
- 物理学 Wikipediaの「波動関数の収縮」のページには 《量子力学における波動関数の収縮または波動関数の 0 2023/04/08 19:19
- 物理学 物理の問題 3 2022/12/21 22:56
- 物理学 有限の大きさの物質では、周期的境界条件を満たすように格子振動が発生する。もし、満たさない場合、物質の 1 2022/07/05 18:37
- 物理学 水素原子のエネルギーは En≅-2.16 (aJ)/n2 とあらわすことができる。 aJ=10-18 1 2022/12/19 07:32
おすすめ情報
デイリーランキングこのカテゴリの人気デイリーQ&Aランキング
-
のエネルギー貯蔵バッテリーメ...
-
エクセルギーの問題
-
「U = mgh」の「U」は何の略な...
-
位置エネルギー U
-
何で暇だとエロいことを考えて...
-
一分子の基底状態と励起状態の...
-
電気双極子共鳴というのはなぜ...
-
人間のジャンプ時の衝撃値は?
-
放射線β線はなぜ連続スペクトル...
-
井戸型ポテンシャルのアナロジ...
-
活力パワーエネルギーを貰える...
-
ポテンシャル
-
平衡核間距離Re、結合エネルギ...
-
回路のエネルギー収支について ...
-
高校物理の力学の質問
-
もう、何も頑張りたくないです...
-
泡が壁面にくっつくのは…
-
運動エネルギーと速度
-
ストーンヘンジの謎って解決さ...
-
水エンジンは存在しますか? フ...
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
-
のエネルギー貯蔵バッテリーメ...
-
位置エネルギー U
-
何で暇だとエロいことを考えて...
-
活力パワーエネルギーを貰える...
-
長さLのパイプの端に穴を開け固...
-
干渉して打ち消しあった光の波...
-
「U = mgh」の「U」は何の略な...
-
人間のジャンプ時の衝撃値は?
-
泡が壁面にくっつくのは…
-
一分子の基底状態と励起状態の...
-
熱力学について
-
フェルミエネルギーについて
-
ベルヌーイの定理について
-
放射線β線はなぜ連続スペクトル...
-
水路が分岐た場合の水圧について
-
波数(k)を用いた空間座標表示を...
-
力学的エネルギーの保存でレー...
-
運動エネルギーと速度
-
人体からの発熱量の計算方法
-
オルゴールのエネルギー変換に...
おすすめ情報