準・究極の選択

「共振」(あるいは「共鳴」)について、物理的に、しかし領域特異的でないという意味で包括的に、論じてほしい、です.

目的は、電磁波工学における電気的共振を、納得して理解をしたいところにあります.いわゆる教科書の説明では、LCR回路とか細かい話へいく傾向があり、腑に落ちない.腑に落ちる理解のため、いったん、この領域(電磁波工学)を越えて、核磁気共鳴(NMR)とか、電波天文学とか、分光学(分子振動)とか、音響学とかまで範囲拡大し「共振」の最大公約数としての、記述枠組みを得たい.

背景:
例えば、電磁波の吸収にともなう電子の励起も「共振」とか「共鳴」とかの概念に合致すると思います.
一方、FMとかTVの電磁波と空中線・受信機の相互作用「共振」と、当然言うと思います.
他には、電子レンジの中で、マイクロ波を受けて水分子が分子振動するのも、「共振」とか「共鳴」とか言うと思います.
さらに、音叉が音を介在させて、他の音叉を振動させるのも、「共振」とか「共鳴」とか言うと思います.
また、そんなによく知らないのですが、核磁気共鳴(NMR)では、周期変動する磁場変化を受けて原子の中の電子?のスピンが反転、反転を繰り返す、つまり、「共鳴」するようだったと思います.
さらに、天文のジャンルでも、巨大なレベルで「共鳴」とか、「共振」とかの具体例と研究があるのではないかと推定しています.(よく知らない).

予想:
私見では、「離散的なエネルギー準位」「波によるエネルギー伝達」「振動子が、あるエネルギー準位から、別のエネルギー準位へ、ジャンプ」などの用語が骨格となるか…と考えています.しかし、それにとらわれず、別の枠組みもあるのでは?と思います.

A 回答 (1件)

振動系には通常固有振動数ω0があります.


この振動系に外部から周期的な力を加えるとき,
外部力の振動数ωがω0に近づくと振動系の振幅が急激に増加します.
これを共振と呼んでいます.

振動系は何でもいいわけで,ばねや振り子のような力学的なものから,
音,電気回路,光の吸収,などいろいろな局面で見られます.
ブランコを押して揺らすのが一番目に見えてわかりやすいでしょうか.
あ,でも,具体例は余りお気に召さないのかな?

共鳴ということもあるのは,2つの音叉や,音叉と共鳴箱の場合に,
この現象が最初に顕著に認められたからなのでしょう.
ブランコ(というか,振り子)の方が音叉の共鳴より先だと思いますが
(蔓にぶら下がって遊ぶなどは,人間がサルに近い頃からあった?),
両者が本質的に同じ現象であることが認識されるのは,はるか後でしょう.
英語では,共鳴も共振も resonance で,区別はないようです.

もともとの共鳴は上のようなものでしたが,だんだん拡張されて,
特定の振動数に強く反応するような現象を共鳴というようなりました.
glair さんのキーワード
(1) 「離散的なエネルギー準位」
(2) 「波によるエネルギー伝達」
(3) 「あるエネルギー準位から、別のエネルギー準位へ、ジャンプ」
はむしろ,拡張された,量子力学的色彩の強い共鳴に適合します.
なお,(3)は必ずしも「振動子が」でなくてOKです.

例えば,核磁気共鳴では,磁気モーメントを持つ原子核に静磁場をかけます.
そうすると,磁場方向の磁気モーメントの成分に応じて,
原子核のエネルギー準位が離散的に分裂します(キーワード(1)).
細かいことを言わなければ,分裂後の隣り合ったエネルギー準位間の
間隔は一定です.
で,そこにさらに角振動数ωの電磁波を当てる(キーワード(2)).
これは,エネルギー hω/2π の光子がたくさんあると見なせますから
エネルギー準位差が hω/2π に等しければ,光子が1個吸収されて
1個の原子核のエネルギーが1準位分あがります(キーワード(3)).
このとき,電磁波が強く吸収されるわけです.

核磁気共鳴は原子核の磁気モーメントが関係して起こります.
電子ではありません.
電子も磁気モーメントを持っていますから,同様なことが起こりますが,
そちらは「電子スピン共鳴」(ESR = electron magnetic resonance)と呼んでいます.

静磁場中の磁気モーメントの運動を半古典的に扱うと
調和振動子の微分方程式が得られて,
その固有角振動数がちょうど吸収電磁波の角振動数に当たっています.

量子力学的な共鳴は glair さんのキーワードで整理できそうですが,
古典的な方はうまく行きませんね.
(2)は場合によりけりですが,
古典的には(1)(3)はエネルギー準位が離散的になっていたり,
それらの間をジャンプしたりするわけではないですから.

結局,はじめの方に書いた「特定の振動数に強く反応するような現象」
ということでしょうか.

なお,原子核の状態や化学結合などで,共鳴という言葉が用いられますが,
上で述べたような共鳴とは多少違う話です.
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました.当初の質問が相当限定的だったので、どなたも回答してくれないことをおそれていたのですが、こんなに平易に回答してくださって嬉しいです.私の質問は今になって振り返ると、(1)量子力学的な観点での「共鳴」の枠組みを持って、それ以外の「共鳴」の各事例も、記述できないか、あるいは、(2)ある新規な観点の「共鳴」の枠組みを持って、多様な分野の「共鳴」事例を、記述できないか、という風にいえます.sigmund様は、回答として、(1)「うまく行」かない.(2)「 振動系には通常固有振動数ω0があります. この振動系に外部から周期的な力を加えるとき, 外部力の振動数ωがω0に近づくと振動系の振幅が急激に増加します.」このように「特定の振動数に強く反応するような現象」を共鳴「ということでしょうか」という回答と認識します.大変ありがたいです.また、「論じて、ほしい」と書いた私の意図に答えてくださって、各種の分野での事例を挙げたり、英語表現を挙げたりして、最後に、まとめとしてご意見をいただけるという形で、論じてくださり、感激しました.さらさらっとかかれている感じを受けました.論じる、ということの私にとってのお手本とさせていただきたく思います.

お礼日時:2001/03/22 10:05

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