民事裁判における「攻撃又は防御の方法」とは何かについて質問です
私は民事裁判の被告です。
裁判所が送付した進行予定表では、以下のようになっておりました。
(1) 裁判所が指定した期日までに原告準備書面提出
(2)約一ヵ月後 裁判所が指定した期日までに被告準備書面提出
(3)約一ヵ月後 裁判所が指定した期日に第一回口頭弁論期日
そしてこの裁判は原則として第一回口頭弁論期日で終わり、第二回口頭弁論期日は
設けられない予定のものでした。
(1)(2)までは原告被告とも期日を満たし、問題なく進行しました。
ところが第一回口頭弁論期日の1週間弱前に原告が原告第二準備書面を裁判所と当方に送ってきました。
これに対して質問です。
原告の第二準備書面の却下を求める申立は可能でしょうか?
条文を調べると
(審理の計画が定められている場合の攻撃防御方法の却下)
第157条の2 第147条の3第3項又は第156条の2(第170条第5項において準用する場合を含む。)の規定により特定の事項についての攻撃又は防御の方法を提出すべき期間が定められている場合において、当事者がその期間の経過後に提出した攻撃又は防御の方法については、これにより審理の計画に従った訴訟手続の進行に著しい支障を生ずるおそれがあると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。ただし、その当事者がその期間内に当該攻撃又は防御の方法を提出することができなかったことについて相当の理由があることを疎明したときは、この限りでない。
となっており、定められた期間の経過後に提出した「攻撃又は防御の方法」の却下を求めることが可能となっております。
「攻撃又は防御の方法」とは何かについて、条文を調べると
(準備書面)
第161条
口頭弁論は、書面で準備しなければならない。
2 準備書面には、次に掲げる事項を記載する。
1.攻撃又は防御の方法
2.相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述
となっております。
Q1.
原告第二準備書面に記載された内容が、被告第二準備書面に対する反論のみであると「相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述」となり、原告第二準備書面は「攻撃又は防御の方法」には当らないのでしょうか?
そうであれば、原告第二準備書面の却下を求めることは無理ということでしょうか?
Q.2
そもそも「攻撃又は防御の方法」とは何かについても教えてくれると嬉しいです。
かなり調べたのですが、分からないので教えてくれると嬉しいです。
よろしくお願いします。
No.4
- 回答日時:
>第157条の2「審理の計画が定められている場合の攻撃防御方法の却下」で「審理の計画」に準備書面は入らないのでしょうか?
民事訴訟法第147条の3第3項で「・・その他の訴訟手続の計画的な進行上必要な事項を定めることができる。」とされていますから、準備書面の提出についても審理の計画で定めることはできます。もともと、裁判長は準備書面の提出の時期について定めをすることができます。(第162条)
しかし、既に述べましたが、民事訴訟法は口頭主義を採用していますから、相手方が在廷しているかぎり、あらかじめ準備書面を提出しなくても口頭弁論において主張ができるのはもちろんのこと、あらかじめ準備書面を提出したとしても、それと矛盾する主張をすることもできます。(第161条第3項の反対解釈)ですから、準備書面の却下というのは無意味なのです。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
A1 まず、民事訴訟の基本原理である口頭主義を理解しないと準備書面の位置付けが分からないと思います。
口頭主義というのは、おおざっぱに言えば、弁論や証拠調べは口頭にて行うと言うことです。いくら準備書面に主張を記載したとしても、口頭弁論において、口頭で陳述しなければ、その主張は訴訟資料(判決の基礎とすることができる事実や証拠)になり得ません。(もっとも、いちいち準備書面の内容を読み上げると時間がかかりますので、例えば「答弁書記載通りに陳述します。」と言うのが通例です。)
逆に言えば、準備書面に記載されていない主張だとしても、相手方が在廷していれば、主張することができますから、準備書面を提出しないからと言って直ちに不利益を被るわけではありません。(準備書面を提出しないことにより、不必要に口頭弁論期日を重なることになった結果、勝訴したとしても、訴訟費用の負担を命じられる可能性はあります。)
ですから、準備書面の提出自体の時機ではなく、どの段階の口頭弁論で主張や証拠の申し出が行われたのかが重要です。本件では第一回口頭弁論がまだ開かれていませんので、時機に後れた攻撃防御方法の却下は問題になりません。
もし、ご相談者が認否等をするのに時間がかかるということでしたら、第一回口頭弁論において、第二準備書面に対する認否を留保して(認否は追って準備書面で明らかにする旨を主張する。)、次回の口頭弁論期日を指定するように裁判所に求めることになります。
A2 とりあえず、主張(相手方の主張に対する認否も含む)や証拠の申し出をすること(原告がするのが攻撃、被告がするのが防御)と理解すればよいでしょう。
この回答への補足
>本件では第一回口頭弁論がまだ開かれていませんので、時機に後れた攻撃防御方法の却下は問題になりません。
そうなんですが。
大変参考になります。
口頭主義はある程度理解していましたが、理解が不足していたのかもしれません。
なお、
第157条の2「審理の計画が定められている場合の攻撃防御方法の却下」で
「審理の計画」に準備書面は入らないのでしょうか?
(裁判所からは準備書面についての進行予定表が送られてきています)
口頭弁論のみが「審理の計画」ということなのでしょうか?
> もし、ご相談者が認否等をするのに時間がかかるということでしたら、第一回口頭弁論において、第二準備書面に対する認否を留保して(認否は追って準備書面で明らかにする旨を主張する。)、次回の口頭弁論期日を指定するように裁判所に求めることになります。
アドバイスありがとうございます。
そうさせて頂きます。
No.2
- 回答日時:
あまり詳しいほうではありませんが、民事訴訟の経験はあります。
Q1
「原告第二準備書面に記載された内容」に「被告第二準備書面に対する反論」が記されているならば、民事訴訟法(以下「法」)でいう防御の方法に対する陳述にあたり、法161条に違反するものではないと考えます。
←Q1前段への回答
そして、法157条の2の解釈としては、
(1)攻撃又は防御の方法を提出すべき期間が定められている場合において当事者がその期間の経過後に提出した攻撃又は防御の方法については、
(2)これにより審理の計画に従った訴訟手続の進行に著しい支障を生ずるおそれがあると認めたとき
つまり、(1)&(2)の場合に、申立てにより又は職権で却下できるのであって、却下するしないは裁判所の裁量ということになります。
ご質問の場合、原告として被告の主張事実に対して争うのは当然のことで、「被告第二準備書面に対する反論」が書かれているなら却下を求めるのは難しいと思います。
もっとも、被告第二準備書面が十分前に提出されていて、その後の機会で(つまり原告第一準備書面)で反論することが十分可能であった場合にそれをしなかった場合には、申し立てで却下される余地はありうるでしょう。
(なお法159条をご参照ください)
常識的に考えると、訴状→答弁書→原告第一準備書面→被告第一準備書面 と進むものと考えられ、ご質問の経過には違和感があります。
誤記があるのでしたら、直されたほうが、よりよい回答が得られると思います。
←Q1後段への回答
Q2
リンク先の
2.2.裁判所による指揮 →(5) 時機に後れた攻撃防御方法の却下(第157条)
をご参照ください。
『原告の申立てを基礎付ける一切の裁判資料を攻撃方法と呼び、逆に、被告の申立てを基礎付ける一切の裁判資料を防御方法と言う。』
とされています。
この説明で問題ないと思います。
参考URL:http://eu-info.jp/CPL/e2.html
この回答への補足
分かりにくくて失礼いたしました。
(原告)訴状→原告第一準備書面→(被告)答弁書→被告第一準備書面 と進みました。
>(なお法159条をご参照ください)
法159条「自白の擬制」で宜しいですね。
原告が争わなかった場合は(時機に遅れて反論しても)自白が擬制されるという意味のアドバイスで宜しいでしょうか?
「参考URL」読ませて頂きました。
とても参考になりました。
ありがとうございます。
No.1
- 回答日時:
Q2からお答えします。
「攻撃防御方法」とは、民事裁判における「主張」と「証拠」のことです。
民事裁判においては、いかなる攻撃防御方法でも提出できます。
(ちなみに、刑事裁判では、提出できる証拠にはいろいろと制限があります。)
Q1について
当事者には、時期に後れた攻撃防御方法の却下申立権(157条の2)があります。
すなわち、故意・重過失(=わざとor重大な不注意で)主張や証拠をより早く提出できたのに提出せず、そのため訴訟の完結が遅延する場合には、その主張や証拠は却下されます。
ですから、却下を申し立てることは可能だと思います。
すみませんが、私は未だ勉強中の身で、実務家ではないので、はっきりとは申し上げられません。あくまで、参考にしていただければ幸いです。
早速の回答ありがとうございます。
「故意・重過失」が必要なんですね。
相手方に故意・重過失が無いか検討してみます。
どうもありがとうございました。
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