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債権譲渡の対抗要件として、債務者の「承諾」がありますよね(467条)。
「異議をとどめない承諾」とは、債務者がその承諾をする際に、自分が譲渡人(もと債権者)に対して有する抗弁の存在を特に主張せずに承諾することです。
わざわざ「当該債権譲渡に対して異議をとどめない」といわなければならないのではなく、単に「承諾する」といってしまえば、異議をとどめない承諾となってしまいます。
逆に、債務者が譲受人(新債権者)に対して抗弁を主張しようと思った場合、債務者としては「私は譲渡人に対して○○という抗弁を有しています」という主張をする必要があります。
たとえば・・・AがBに100万円を貸したとします。そしてAがCにこの100万円の債権を譲渡しました。この債権譲渡の際、Bは単に「当該債権譲渡を承諾する」と述べました。
ところが、Bは譲渡以前にAに対して50万円を既に弁済していたのです。
後日、CがBに対して100万円の支払を請求した際、Bは「すでにAに対して50万円を弁済しているから、私には残りの50万円の支払義務しかないはずだ」という主張(弁済の抗弁の主張)をしました。
しかし、Bは債権譲渡の際に異議をとどめない承諾をした(債権譲渡の承諾の際に50万円を既に弁済したことを告げなかった)ものですから、民法468条の規定により上記「弁済の抗弁」をCに対して主張することができないのです。
そうすると、結局BはCに対して100万円の支払をしなければなりません。
(ただし、Bは「A」に対して、自分が既に支払ってしまった50万円を返せ、と請求することができます。要するに、いずれにしろBは100万円しか負担しないこととなります。)
なぜこのような面倒な制度があるかというと、それは「取引の安全のため」です。
債権譲渡というのは通常は担保的な意味合いでなされます。
たとえば、上記の例では、実はCはAに対して90万円を貸していたが、Aに返済資金がないため、AがBに対して有する100万円の債権を代物弁済させた、という前提があったとするとわかりやすいでしょう。
その際、Cとしては、Bが既にAに弁済していたのではないか、Bが反対債権を有しており相殺される危険がないか・・・などなど、Bから主張されることが予想される抗弁についていちいち調査することは大変面倒なことになります。
そこで、債権譲渡の承諾の際、債務者Bから特段の主張がない場合には、債務者Bは譲受人Cに対して、もはや何らの抗弁も主張できないことにしよう、ということにしたのです。
そうすることで、Cは安心して債権を譲り受けることができるのです。
長文失礼致しました。
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