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行政事件訴訟法の義務付け訴訟の「かつ」と、差止め訴訟の「ただし」について

行政事件訴訟法37条の2の義務付け訴訟の要件に、

...重大な損害を生ずるおそれがあり、"かつ"、その損害を避けるために他に適当な方法がない...

とあります。これは
「重大な損害」and「損害を避けるために他に適当な方法がない」
ということだと思います。


ところで、
行政事件訴訟法37条の4の差止め訴訟の要件に、

...重大な損害を生ずるおそれ、"ただし"、その損害を避けるために他の適当な方法があるときはこの限りでない。

とあります。

表面的に読むと、この差止め訴訟の要件も上記の義務付け訴訟の要件と同じになってしまいますが、わざわざ書き方を変えているのは何か意図があるのではないかと思います。

ご教示願えないでしょうか。

A 回答 (3件)

端的にいえば、義務付け訴訟では、両要件が揃わなければ、


救済の必要性が認められないと考えられているのに対し、
差止訴訟では、重大な損害を生じるおそれがあるのであれば、
原則として救済の必要性があると考えられているので、
この違いが規定の違いに表れていることになります。

すなわち、非申請型義務付け訴訟は、
申請権を有しない者が行政処分をするよう求めるものであり、
差止訴訟は、なされてもいない行政処分の差止を求めるものなので、
そのようなイレギュラーな解決が特に必要な場合に限定すべく、
重大な損害発生のおそれが要件として要求されています。

加えて、非申請型義務付け訴訟では、義務付け訴訟に代替する
他の救済手続が特に法定されているような場合には、
あえて非申請型義務付け訴訟によるイレギュラーな解決を認める
必要性がないので、補充性も積極要件とされています。

これに対し、差止訴訟では、差止の対象となる行政処分により
重大な損害を生じるおそれがあるということさえ判明すれば、
当該行政処分が行われるのを待って取消訴訟等をするという
他のルートでの救済では足りないことが明らかになるので、
例外的に補充性要件を満たす場合には、差止ができないという、
消極要件として、ただし書に規定されているのです。

行政法の基本書にも書いてあることだと思うので、
必要に応じて基本書を参照しつつ、考えてみて下さい。

この回答への補足

ありがとうございます。

二つの条項の制定の精神の違い、というようなものは良く分かりました。


しかし、実質は両者の要件は全く同じような気がします。


重大な損害を生ずるおそれ
and
その損害を避けるために他に適当な方法が"ない"

であれば、義務付けも差止めも要件を満たしており、

重大な損害を生ずるおそれ
and
その損害を避けるために他に適当な方法が"ある"

であれば、義務付けも差止めも要件を満たしていない、と考えても良いのでしょうか。

補足日時:2010/10/17 14:21
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書かれた内容だけで言えば



37条の4は、
(重大な損害を生ずるおそれ)ー (その損害を避けるために他の適当な方法があるときはこの限りでない。)

37条の4から37条の2を引いた残り
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 主張・立証責任の問題のような気がしますが。


 原告被告のどちらが「その損害を避けるために他の適当な方法」の存否について、立証責任を負うか、ということだと思います。
 つまり、義務付けでは、「その損害を避けるために他の適当な方法」がないことを原告が立証してはじめて訴訟要件ありとなり、「その損害を避けるために他の適当な方法」が存否不明のときは訴訟要件なしとなります。他方、差止めでは、「その損害を避けるために他の適当な方法」があることを被告が立証しなければならず、「その損害を避けるために他の適当な方法」が存否不明のときは訴訟要件ありとなります。

 訴訟要件を欠く場合には「訴え却下」として門前払いになります。
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