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なめらかな水平面上で、質量mの物体を
自然長l、ばね定数Kの二つのバネで2dだけ
離れた二点ABの中央に取り付けます。

この物体を図の方向(ABの中心から、線分ABと垂直な方向)に
xだけ変位させて、手を離したとき、この物体は単振動を
するのでしょうか?

単振動の条件というものを探してみたところ、
xに比例した、振動の中心向きの力がかかると単振動になると
あったのですが、この場合は計算してみると、2つのバネから
受ける振動の中心向きの力は
F=-2K((x^2+d^2)-l)*x/(x^2+d^2)^(1/2)
と、計算が間違えていなければなると思うのですが、
これは単振動しているといえるのでしょうか?

「二つのバネで引っ張られた物体は単振動する」の質問画像

A 回答 (1件)

答えは、|x/d|≪1であれば、とても良い近似で単振動するとして良いのです。



それを証明します。

いま、その質量に働く力が、以下にこれから説明するを満たす、無次元量の変位ξ≡x/d の任意の関数fを使って

(1)    F=f(ξ)

で表されているとします。その条件とは、

(2) f(ξ)はξ=0のところで正則である。

(3) f(0)=0

(4) f'(ξ) ≡ df(ξ)/dξ < 0

更に、

(5)|ξ| = |x/d| ≪1

の場合を考えることにします。

先ず、条件(2)により、f(ξ)はξ=0のまわりでテーラー展開可能であり、

(6) F = f(0) + ξf'(0) + (ξ^2/2)f"(0) + (ξ^3/3!)f'''(0) + ...

とξの級数で書けます。ただしここで f"(ξ)はξに関する2階微分、f'''(ξ)は3階微分、、、を表しています。さらに(3)により、

(7) F = ξf'(0) + (ξ^2/2)f"(0) + (ξ^3/3!)f'''(0) + ...

となります。したがって(5)の場合には、ξの高次の項が無視できて、大変良い近似で、

(8) F ≈ ξf'(0) = (x/d)f'(0)

が成り立ちます。また、条件(4)により、(8)式の x の係数は負ですから、その質量は大変良い近似で単振動を行います。

しかし、もし|x/d| が1のオーダーかそれより大きくなると、(7)を(8)で近似できなくなりますので、単振動をしなくなります。

どうですか、条件(2)~(5)を満たす力ならどんな力でも、変位 x が十分小さい限り単振動で近似できるんですよ。凄いでしょう。

逆に、その条件のどれか一つでも満たさない場合には、単振動では近似できません。

貴方の例はその条件を満たしている場合ですね。

さてこの事から大変重要なことが分かります。どんな複雑な力が働いていても、もしその力が条件(2)~(5)を満たす力ならどんな力でも、その質点は単振動を行います。だから、物理学では殆どの問題で単振動が現れて来ます。だから、物理学ではことさら単振動を勉強させられるのです。

また、条件(2)~(5)のどれかが満たされなくなると、単振動をしない全く違った振る舞いをするようになります。だから、物理学者はそのような場合にも大変興味を持っています。

以上のように、条件(2)~(5)を満たすと、力は変位の1次関数に比例します。1次関数は真っすぐですから、これを線形系と言います。そして(8)の近似の事を線形近似と言います。

ところが、条件(2)か(5)のどちらかを満たさなくなると、力を変位の一次の関数では近似できなくなってしまいます。その場合、力は必然的に変位に関して曲線になりますから、それを非線形系と言います。非線形系の典型な振る舞いで特に重要なのは、カオスとして知られている振る舞いであり、現在世界中の物理学者や数理科学者達が研究しています。

非線形系の物理学は現在でも解らない事だらけです。だから、これからの若い方達に頑張ってもらわなくてはならない物理学の分野です。
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この回答へのお礼

なるほど!凄い!
このようにして、単振動するということが分かるのですね。
単振動の重要性も分かりました。

丁寧な回答をしてくださり、本当にありがとうございました。

お礼日時:2010/12/09 09:09

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