はじめてご質問させて頂きます。
宜しくお願い申し上げます。
私の祖母が、地主から直接、土地を借り、その上に家を建てて住んでいました。
去年から体調を崩し、その家を出て、施設に入居して療養中です。
去年の12月に借地契約の更新があり、私の母が代理で契約更新を行ったのですが、その際、地主さんに以下の相談をしました。
「母が施設に入っている現状で土地代だけを支払い続けるのは厳しいので、建物を人に貸すことも考えたい」「家の維持費も土地代も自分(母)が支払っている状態なので、名義を自分(母)の名義にしたい」
すると「それならば、契約内容を変更する」と言われました。
具体的には人に貸すならば「土地代を値上げする」といった内容です。
今以上に値段を上げられてしまっては負担が減るどころか、大きくなってしまうので、「まだ人に貸すと決めたことわけではないので」と伝え、契約内容は変更せず、名義変更(祖母→母へ)のみを行う形になりました。
先日、施設内の雑談の場で「療養中で祖母が不在とはいえ、毎月土地代はかかっているので生活がいっそう厳しくなった」といった話をもらしたところ、施設に入居されている方のお孫さんが「それならば自分たちが借りて住まわせてもらいます」と声をかけてくださいました。
大変ありがたい話なのですが、以前地主さんに言われた「土地を人に貸すならば契約を変更する、値上げする」と言った内容のことが気になってしまい、地主さんが許可しないと家を人に貸してはいけないものかと悩んでいます。
自分なりに少し調べたところホームページで以下のような事例を見つけました。
http://www.asahi-net.or.jp/~zi3h-kwrz/totimudan. …
「借地上の建物賃貸借は、土地の転貸となるか」といった内容のページなのですが、ここでは「借地上にある建物を、他に貸した場合、建物の借主は、事実上、土地も使用することとなります。 しかし、法律上、その土地を使用しているのは、依然として、建物の所有者です。建物所有者は、借地上に建物を所有することにより土地を使用しています。従って、土地の無断転貸になりません。地主は土地の賃貸借契約を解除できません。 」とかかれていました。
地主さんとの契約書には「土地賃貸借権を第三者に譲渡または転貸してはならない」となっているので、上記のページの内容と照合すると、祖母が建てた「家」を他の方に貸した場合には「土地の無断転貸にならない」と解釈できるようにも思えました。
そこで皆さんに相談なのですが「母が借地上に建てた祖母の家を他の方に貸して家賃をもらう」ためには、地主さんの承諾得て賃上げを受け入れないといけないものなのでしょうか?
借りているのは「土地」だけと考え、その上に建てた家を自分たちの意思だけで人に貸すことはできないのでしょうか?
ご教示頂けましたら幸いです。
何卒、宜しくお願い申し上げます。
念のため、具体的には地主さんと以下のような、簡単な契約書を交わしています。
【契約書より関連があると思われる箇所を抜粋】
■使用目的
本件土地を建物所有の目的をもって使用するものとし、他の目的には使用しない。
■建物を改築又は増築する時は事前に書面による承諾を受けなければならない。
■事前に書面による承諾を受けることなく本件土地賃貸借権を第三者に譲渡または転貸してはならない。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
大学等でビジネス法務や不動産取引の講師をしております。
結論から言いますと、まったく違法ではありません。
また、地主の意思表示だけで地代を上げることもできません。
地主さんが本気で地代を上げる場合は、先ず調停を申立ててきます。
ただ、調停には強制力がありませんので、貴方が調停案に賛成しなければ不調(調停不成立)になります。
次に、地主さんは借地借家法に基づいて賃料増額の訴えを地方裁判所に訴えます。
相場や地主側の維持費負担増などの正当な理由があり、それが裁判所に認めてもらえれば、賃料増額の判決が出ます。
また、上記の事情があったからといって、次の契約更新に影響しません。
わが国の法律も裁判所も、不動産の賃貸借について賃借人(借りている側)に有利に作られており、判断を下しております。
ただ、地主さんから内容証明郵便が送られてきた段階で、自分で判断せずに弁護士に相談しながら慎重に行動しましょう。
もちろん、そうなる前に、酒を飲みながら地主さんと腹を割って話し合い、お互いが納得できる落としどころを見出だすのが一番ですが。
この度は大変貴重なご回答を頂き、ありがとうございました!
大家様とも話すことができ、良い結果になりそうです。
本当に感謝いたします!
今後とも、何卒、宜しくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
No.2です。
ちょっと補足します。
●訂正
7行目「契約書の3つ目も同じこと」
→ 「契約書の3つ目も民法612条と同じこと」
●契約書の1つ目の建物所有の目的ですが、
立てた建物を賃貸して収益を得ることも
この目的に反するわけではないです。
●回答を書きはじめたときは、
未回答の状態でして、No.1さんに異論があるわけではないです。
というか、No.1さんのほうがナイスな回答です。
No.2
- 回答日時:
民法612条により、賃借権は賃貸人に無断で譲渡や転貸することを
禁止されていますが(ただし、判例でこの規定は限定的に適用されています)、
理論上、借地上の「建物」の賃貸をすることは、
「土地」の賃借権の譲渡や転貸にあたらず、
民法612条と無関係であることが、大審院(最高裁の前身)からの
判例法理であり、現在でも踏襲されています。
なお、契約書の3つ目の条項も同じことです。
つまり、地主からすれば、建物所有者が高齢で、
建物を使う人間がいなくなれば土地が返ってきてシメシメ・・・
と思っていたかもしれませんが、
それは法律的には理由がなく、
借地権というのは建物が自然に滅失する(朽廃)時期に至るまで
(余談ですが、だから契約書2つ目の条項があるのです)、
借地借家法5条によって、
同法6条の正当事由(≒立退料支払)がない限り、
相続人が使うことも、建物賃借人が使うことも可能な
強い利用権限が法的に保障されているのです。
ここまでは、あなたに有利な話です。
ここからは、不利な話。
長期化した借地権、とくに高齢の居住者が住む物件については、
「気の毒だから」という理由で、地代が相場よりも
相当に抑えられていることが、ままあります。
借地借家法11条は、地代が近傍類似地の基準よりも低い場合は、
地代の増額請求権を認めていますので、
このような場合は、地代増額を覚悟しなければなりません。
ただ、これはあくまで相場が基準ということであって、
地主の言うがままということではありませんし、
遡って相場が基準ということでもありません。
とは言え、こういう場合は実際の地主との交渉に当たっては、
地主に対して今まで低い地代であったことについての
感謝の気持ちで接することが円満解決へのポイントかと思います。
借地借家法の5条、6条、11条については、
できれば法令データ提供システム(下記URL)で
一読されることをお勧めします。
参考URL:http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi
kumahigecoffee様の意見、とても参考になりました。
仰る通り、家賃も相場より安く押さえて頂いていたようで、その点に関しても理解することができました。本当に感謝いたします!
今後とも、何卒、宜しくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
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