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日々の放射線量の規制値報道を見ていてもさっぱりわからないのでお聞きします。
校庭の放射線量の基準値として発表されている3.8μSvという値は、
5%致死量線の約1千万分の2ということでしょうか。
その場合、屋外での活動を1時間に制限するとは、どのような計算を基に決められているのでしょうか。
また、自治体などでサンプリングした線量が新聞等で発表されていますが、自然被ばくの通常値を差し引いた後のものなのでしょうか。
放射能の危険について、さっぱり分かっていません。
よろしくお願いいたします。

A 回答 (1件)

放射線による健康への確定的影響(急性障害)には閾値があり、それ以下では症状は出ません。

したがって、何%致死量の何分の何というのはあまり意味がありません。一方、それ以下の低線量では将来的に癌になる確率が上昇するという「確率的影響」があります。これには閾値があるという説とないという説がありますが、放射線防護の考え方としては閾値はないものとして、被ばく量は合理的に達成しうる限りなるべく低く抑えることとしています。(ALARA: as low as reasonably achievable と言います)
なぜ具体的な数値でなくこのように持って回った言い回しを使うかというと、目指すべき値は他の事情に左右されるので一概には言えず、政府なり自治体なりがそれぞれの状況に応じて柔軟に値を決められるよう幅を持たせているのです。放射線を避けるために放射線によるリスク以上のリスクを増やしてしまっては意味がないので、そこは「合理的に」判断するということです。
被ばくを避けるための疎開、屋外活動の制限などに全くリスクがないのであれば、ほんの僅かでも被ばくのリスクがある限り疎開なり制限なりをするべきでしょう。ところが実際には、住み慣れた環境を離れての疎開生活には相応のリスクがありますし、屋外活動の制限による運動不足、ストレスなどもリスク要因です。被ばくのリスクが比較的定量化しやすい(数値で比較できる)のに対して生活上のリスクは個人によってもバラバラで定量評価が難しく、どこで線を引くかは悩ましい問題です。
一応の基準として、低線量をゆっくり浴びた場合、被ばく線量に応じて発癌の可能性が高まりますが、年間100mSv未満ではその上昇分(理論的には0.5%程度)は統計上見分けが付かない(誤差範囲に含まれる)ので、一つの目安となり得ます。子供の場合は放射線への感受性が大人より高く、さらに余生も長い(それだけ癌にかかりやすい)ことも考慮して5倍厳しくした20mSv/年を暫定的な目安としています。生活パターンは人それぞれなのですが大ざっぱにあるパターンを想定して、年間被ばく線量が20mSvになる屋外の空間線量率が3.8μSv/hということなのでしょう。
尚、現在は発電所構内やごく近辺を除いては空気中には放射性物質は浮遊しておらず(空気中のダストサンプリングの結果も公表されています)、放射線は主に地面や屋根、側溝などから放出されています。したがって、屋外にいる時間を短くすることは1日の被ばく線量を下げる意味では大きな効果が期待できます。さらに、校庭などでは子供が走り回れば土埃が舞い、一緒に舞い上がった放射性物質を呼吸器から吸収してしまうリスクも考えられます。ちなみに、現在の暫定基準は1年間に20mSvの被ばくを認めるという考え方ではなく、夏休み頃までの「暫定」的な基準であり、1年間の被曝量としては1mSv未満を目指すことになっています。
尚、これらの被ばく線量というのは自然由来の放射線による被ばくと医療行為(レントゲンなど)による被ばくは含まない値です。一方、自治体などが公表しているサンプリングの線量率は自然由来の放射線も含んだ値となっています。
低線量の放射線(自然由来も人工も)によるリスクは癌の増加です。現代の日本人は約半数が癌になり、約1/3が癌で亡くなっています。癌の直接的な原因はごく大まかに言うと1/3がタバコ、1/3が肥満などタバコ以外の生活習慣、残りの1/3が全くの運だそうです。どれだけ努力しても癌の確率をゼロにはできませんが、タバコを避けたり生活習慣を改善することで大きく下げることはできます。放射線の影響は敢えて分類すれば「運」でしょうが、1/100未満なので大まかな分類では無視されてしまうレベルです。
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この回答へのお礼

平易な文章で分かりやすくご回答をいただきありがとうございました。私を含め、福島や近県の子を持つ親の不安は、「暫定」の期間中に改善策が講じられない不満と、目見にえない放射能によるリスクを、たとえ高レベルではないにせよ確実に強いられていることによるものだと思います。土壌や水系、海洋汚染から食物摂取による内部被ばくの恐怖も払しょくされることはありません。何をどうすれば子供の将来を守れるのか、悩ましい日々が続きます。

お礼日時:2011/06/08 05:12

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