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今代理の勉強をしているのですが、次のケースが無権代理に当たるかどうか教えていただきたいのです。とてもややこしくて頭の中が整理できません。

・Yが乙土地をZに売却する代理権をXに与えている。
・Xは代金を自分の個人的な遊行費に充てる意図で、Yの代理人として乙土地をZに売却。
・このXの意図についてZは悪意である

このときXの代理行為は無権代理ですよね??もし万が一違うならなぜちがうのでしょうか。どなたか教えて下さい!

A 回答 (3件)

理論によるというのが正解である。



判例に従えば、無権代理とは要するに「代理権がない代理行為」のことである。であれば、代理権があれば無権代理にはならないということは解るであろう。この質問は、代理権を与えられた代理人Xがその代理権の範囲内で代理行為をしているのであり、ただ単に動機が不正なだけである。判例理論では有権代理と言うためには代理権がありさえすればよいので「完全に有権代理」である。単なる「代理権濫用」の事例に過ぎない。
だから表見代理が問題にならないのである。表見代理は無権代理が前提であり、本人Yの帰責性を理由に代理の効果を発生させる制度であるが、有権代理である代理権濫用事例においては例え本人Yに帰責性があっても検討する余地が全くないのである。
であるから、原則無効の無権代理を例外的に有効にする表見代理とは違い、原則有効の有権代理である代理権濫用を例外的に93条ただし書類推で無効とするのである。そして、この質問では代理行為の相手方Zが悪意であることから、93条ただし書を類推適用として無効とすることになる。

なお、代理権濫用に似たものとして代理権の範囲外の行為をする場合がある。これを代理権兪越と言うが、代理権の範囲外に代理権は存在しないので無権代理の一種である。
理論的には有権代理と考えることは不可能ではないだろうが、特に意味はないだろう。少なくとも表見代理の成否を考える上では、表見代理が成立する前提としての無権代理の3類型として理解するほうが解りやすい。

しかし、代理権濫用もまた無権代理の一種と構成する学説は存在する。つまり、代理権というのはその代理の趣旨に従って行使する限りにおいて存在するのであり、趣旨逸脱である代理権濫用は、無権代理と考えるべきであるという考え方である。この場合には、質問の例も無権代理として表見代理で処理することになる。つまり、この質問では、110条の問題として処理し、第三者Zが悪意である、つまり、「代理人の権限があると信」じていない以上は、109条本文を準用せず、原則どおり無効とすることになる。

というわけで、理論的にはどちらもあるが、判例は無権代理として93条ただし書類推によってZが悪意である以上は無効とする、である。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。すごく的確でとてもよくわかりました。

お礼日時:2011/06/14 20:02

YはXに土地売買の代理権を与えている以上、無権代理人ではありません。


しかも、乙土地をZに売却するという権限内の行為を行っているので、ますます無権代理ではありません。

それではどうやってYを保護するか。
判例は93条但書の類推適用により、売買が無効であると言って、Yを保護します。

判例を記載しておきます。
代理人が自己または第三者の利益のために権限内の行為ををなしたときは、相手方が代理人の意図を知り、または、知ることをうべかりし時は、93条但書の類推により、本人はその行為について責に任じない。(昭42・4・20)
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。無見代理ではなく代理権の濫用のケースなのですね。とてもよくわかりました。

お礼日時:2011/06/14 20:03

代理権限を与える行為内容は、


1 売買契約をし、それを書面で残すこと。
2 売買契約に基づく、代金を受領すること。
の二つです。
1については無権代理ではありません。
2については無権代理です。

ただし代金受領まで委任されてると思わせるだけの行為をXが乙にしてて、それを信じたことに乙に過失が無ければ代金をYに支払う債務は消滅してるでしょう。
つまり「土地売却代金債権の有無」が問題になります。
委任の問題、無権代理の問題とは別ですね。

ところで善意悪意は「良い人、悪い人」ではなく「その事実を知ってること(悪意)「その事実を知らないこと(善意)」という意味なのは当然ご存知ですよね。
だとすると「Xの意図」は具体的になんでしょうか。代理で受取ったお金を遊行費に使用してしまうことでしょうか。
自分が支払ったお金を、受取人がパチンコで使おうが旅行で使おうが、どぶに捨てようが知ったことではないです(善意)。
仮に「おまえがその金を何に使うつもりか、おれは知ってるぞ」というなら悪意なのですが、それが土地代金債権債務になんらかの影響を与えるものではないでしょう。

YはXに「この前、乙から受取った土地代金をはらってくれ」と請求するだけです。
仮に受領権限を与えてないというなら、
Yは乙に「この前Xに支払ったというが、それ無効ですよ。私は彼に代印受理権限を与えてませんから」といい、乙に代金全額を請求すればいいだけのことです。

乙が代金支払いをするさいに、Xに払っても自分の債務は消滅しないことを知ってるか知ってないかなど考えなくてよいのです。
「あのよ、俺に払う代金を、あいつに払っちゃだめじゃん。そんなのあんたの勝手だから、知らないから。とにかく、俺に代金全額はらうように」とYは乙に云うだけですよね。

その債権を請求するのに、無権代理だ、いや代理権限があったとかわいわい言っても、意味がありません。
なぜ乙はXに払ってしまったのかというだけだからです。
乙はXに「おまえに私が金さ、あれ帰せ」と云うだけです。
乙が悪意だったというのが、Xに支払っても無意味だと知ってたということなら、Xも「俺に払っても無意味って知ってたんだろう。じゃ、取り返すのはあきらめな。もう使ってしまって、残ってないよ」というだけです。
Yと乙の間の債権債務には影響をあたえませんね。

「Xの意図について乙は悪意」と「無権代理かどうか」は、直接つながらないと思いますよ。
数十年前の知識ですので、今は考え方が違ってるとお叱りをうけるかもしれませんが、私は上のように考えます。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。具体例を書いていただいたので、イメージし易かったです。

お礼日時:2011/06/14 20:04

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