
ペアノの公理に出てくる後者写像「suc(n)」或は「n+」と、1の加算「n+1」は、同じ結果になると思いますが、哲学的には別のものとして定義できるでしょうか?またそれができるとすれば、計算結果が同じになることを証明できるでしょうか?
例えば学校の自分のクラスに3人が登校していたとして、追加でもう一人登校して来た場合のクラスの人数を考えるなら後者写像のsuc(3)、このとき隣のクラスに1人居たとして、隣のクラスと合流するのであれば加算の3+1、というイメージを持っています。加算には、加算する前に区別があったものの区別が失われる、という意味があるような気がするのですが。
数学ボードで同じ内容の質問をしたところ、数学的には区別が無く、この疑問は哲学的な疑問というべきではないか、というアドバイスを頂いた為、ここで質問させて頂きました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ペアノの公理
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
>ペアノの公理に出てくる後者写像「suc(n)」或は「n+」と、1の加算「n+1」は、同じ結果になると思いますが、哲学的には別のものとして定義できるでしょうか?
基本概念と派生概念の違いですね。
この公理論では「suc(n)」は基本概念(つまり定義なしに使われる言葉)ですけれども、加算は基本概念によって定義される派生概念です。基本概念は、集合に関するものと、論理的なもの、つまり「すべての」とか、「で」、「ではない」といったもの、また、個体変項、を除けば、「自然数である」「零」「次の数である」の三つだけです。ちなみに「1」や「2」もこの公理論では派生概念です。
有難うございます。無定義に導入される場合と、定義される場合とがあって、ペアノの公理系であればsuc(n)は無定義に導入され、n+1はそれを使って定義されるからその関係は証明できないことになる訳ですね。良くわかりました。定義できない場合があるというのは、言われてみれば当然だと思います。今までそれを知らなかったために、定義すべきものなのか、それとも証明すべきものなのか、という2者択一で考えてしまっておりました。
No.5
- 回答日時:
哲学かどうかわかりませんが・・・。
また私見であり、状況報告のようなものですが・・・。後者写像の主たる動機は、自然数の順序(大小関係という順序)にあり、ペアノの公理系は、順序生成という目的に貫かれている気がします。
一方演算「+」は、2項演算子と言われるもので、nとmを自然数としたら、関数f(n,m)=n+mと定義されるものです。こちらでは「+」の作用が主題です。
ペアノの公理系を採用すれば、「固定した」n∈Z(Z:整数の集合)に対して、帰納法により、
n+1+1+・・・+1=n+m
が導けます。mは、1+1+・・・+1 の省略記法とみなす訳です。さらにn∈Zは任意に指定できるので結局、関数f(n,m)=n+mを定義できる事になりますが、ここで根拠となる原理は、整数の順序構造です。
一方、いわゆる代数と言われる分野では、関数f(n,m)=n+m が事の最初に定義され、nやmの集合には、順序構造は必要でありません。順序構造がなくても加法「+」には、いったいどれだけの事が言えるのか?、とやるわけです。
「後者写像⇔順序構造」とイメージすれば(←ホントか?)、ペアノ公理系と同等なものが、集合の一般論の中で、具体的な整数や自然数の集合ZやNを導きます。
一方、代数に現れるnやmの集合に、順序構造を与えて、m=1に制限すれば、それは後者写像になりますが、代数の一般的結果から、nやmの集合には零元や逆元がなかればならない事も導かれ、結局それは、ペアノ公理系による整数や自然数の集合に一致する事がわかります。
後者写像としての「+1」と、2項演算としての「n+m」の出自は、明らかに普通に考えた整数や自然数という同一対象にありますが、数学はこの二つの概念を、別物のように激しく分化させました。この辺りが、数理哲学の題材になるかも知れないとは思いますが、自分には無理です。
数理哲学のうまい例を思いつけませんが、自分の面白かった例は、方程式f(x)=0の解として、x=xは許されるのか?という話でした。この話は、等号は記号の間に成り立つのか?、それとも記号で表される実対象の間に成り立つのか?、という認識論的話につながります。
数理哲学の本はほとんどないし(少なくとも日本人の書いた和書では)、あったとしても多くは絶版ですが(誰も読まないから)、本気で読んでみると、面白いと思います。
ありがとうございました。順序構造の方が基礎で加算はそれから派生してくるのかと思っていましたが、そうとは限らない訳ですね。「関数f(n,m)=n+m が最初に定義され、nやmの集合には、順序構造は必要ない」というのは新鮮でした。
No.3
- 回答日時:
>例えば学校の自分のクラスに3人が登校していたとして、追加でもう一人登校して来た場合のクラスの人数を考えるなら後者写像のsuc(3)、このとき隣のクラスに1人居たとして、隣のクラスと合流するのであれば加算の3+1、というイメージを持っています。
このイメージは一般的ではないと思います。
ペアノの公理の厳密な議論ではありませんが、単純な等差数列の指標(Index)としてSuccessorを使うか、+1を使うかの違いだけと考えるのが一般的なイメージだと思います。
等差数列では、ひとつ飛ばして二つ目を指標する方法がありますが、これは+2と表記できます。
それ以外にも、+3とか、+354とか色々な指標(Index)の方法がある中での、特別なケースが+1であるわけです。
Successorを使う場合、+3とか+354などの指標能力を失うのですから、「汎用性を失った」表記法であるという相違点はありますが、これは哲学的な相違ではないと考えるのが一般的ではないでしょうか。
有難うございます。ひとつ飛ばして二つ目を指標する方法についての説明は、たいへん参考になりました。良くわかりました。私の例で言えば、自分のクラスのお友達が2人手をつないで同時に入ってくる場合に当たると思います。これは確かにsuc()では表現できないことになりますが、例えば仮にご回答頂いたように(+2)とか(+354)とか表記したとして、この処理は3という数値オブジェクトに(+2)というメッセージを与えるという意味にはなりませんでしょうか? これと比べると加算の 3 + 2 の場合は3と2が少なくとも加算前に対等に存在していて、加算演算はこの2つのグループをごちゃまぜにする、というように思ってしまうのですが、これはやっぱり同じことで表現方法の違いだと考えるべきでしょうか?
No.2
- 回答日時:
#1の者です。
>哲学的には
論理学も数学も、広義の哲学です。
特定の公理系を「現実」との対照において評価しようという試みは、不完全性定理において否定されています。
(無矛盾(有限な実体を持つ)であるには公理系は不完全(ドグマティックな任意要因の導入)であらねばならない)
有難うございます。公理系と現実を対比させることはできない、ということでしょうか?
元の質問では後者写像を説明するためにペアノの公理系を引用してしまいましたが、ペアノの公理系とは離れて、後者写像suc(n)を数え上げるようなイメージで、n+1を加算のイメージで捉えてこれらを夫々別々の意味だとして出発できるのか、それともこれらは表現が違うだけで本来区別する意味は無いものなのか、という質問だとしたらどうでしょうか?
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