タイムマシーンがあったら、過去と未来どちらに行く?

はじめまして。

数年前だったと思うのですが、雲仙普賢岳の噴火が収まった頃、昔の「眉山」の山体崩壊に関連して、火山の「山体崩壊」に関する番組がNHKでありました。

その時、ハワイ・オアフ島東北部も過去に大規模な崩壊を起こし、島の1/3程を失い、100メートルの大津波を引き起こしたことがある、と番組で言われていたのをかすかに記憶しているのですが、その「崩壊」はいつ頃のことだったのでしょうか。

ご存じの方がおられましたら、教えていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

A 回答 (1件)

ハワイの大津波というと,おそらく「ラナイ島の大津波説」ではないでしょうか。



ラナイ島は,ハワイ島の西にあるやや小さめの島です。ここの南斜面の標高約1000フィート(300m強)のところにサンゴの破片が分布している,と1937年にハワイの地質学者スターンズが指摘しました。
ただし,その後の調査ではそこまで高い高さからはサンゴの破片は見つかっておらず,せいぜい370フィート(120m)だそうです。スターンズが発見したという場所は今日でもはっきりとは分かっていませんので,彼の発見だったのか見間違いだったのかも不明です。
ともあれ,ここの南斜面のそこそこの高さにまでサンゴの破片があるのは事実です。

この事実について,従来は島自体が沈んでいたり海面が高かったりした時期に,波で砕かれたサンゴが当時の浜辺に打ち上げられて,その後の地殻・海面変動によって現在は標高120mのところに来ている,と解釈されていました。
しかし,1984年・88年にカリフォルニアの地質学者兄弟,ジョージ・ムーアとジェームズ・ムーアが,このサンゴは10.5万年前に起こった大津波によって打ち上げられたものである,という論文を発表し,大論争となりました。
この論争は今日でも決着がついておらず,最近でも雑誌「ネイチャー」の昨年12月に出た号に,サンゴは一発の巨大津波で来たものではなく,気候が温暖で海面が高かった時期に何度も大波などによって打ち寄せられたものであろう,津波もあったかもしれないが,あったとしても100mなどというものではなく通常の規模だろう,という論文が載っています。

参考URLはこの論争について伝える地元紙の記事(もちろん英文)です。また,
http://the.honoluluadvertiser.com/2000/Dec/08/12 …
にも同じ科学部記者による関連記事があります。
他にも,英文の検索ページでLanai tsunamiと入れて探すと,いろいろ見つかると思います。

なお,「ハワイ・オアフ島東北部も過去に大規模な崩壊を起こし、島の1/3程を失い」という話は疑問が残ります。
かりに大津波説が本当であっても,オアフ島東北部が震源ならラナイ島の南斜面は島影になりますので,津波の高さは低くなるはずです。
もちろん島の反対側にも津波は回り込みますが,島の北側にはもっと大々的に痕跡が残っていないとおかしいです。
大津波説では,原因はハワイ島の西沖合の海底斜面で発生した大規模な地滑りであろうとする説が有力です。

ちなみにオアフ島は過去200万年以上噴火していません。70万年前から現在まで,ハワイ諸島の噴火活動はハワイ島で起こっています。
10万年前に地滑りが起こったとすると,ハワイ島の噴火に伴う地震という可能性も考えられますが,ちょっとわかりません。少なくともオアフ島は関係ないと思います。
また,オアフ島にせよハワイ島にせよ,非常に粘性の低いマグマを噴出します。
通常,火山の山体崩壊はある程度粘り気のあるマグマの火山でないと起こりにくいのですが,ハワイ諸島は世界でも有数の低粘性の火山で,火口から流れ出た溶岩はまるで川の流れのように海に向かってかなりの速度で流れていき,たいへん平べったい火山体を作りますので,崩壊の可能性はほとんどないと思います。
いずれにせよ,(仮に大津波が本当でも)オアフ島の崩壊説は大いに疑問の残るところです。

質問文を読んでもう一つ連想したのが,インドネシアのクラカタウ火山です。
1883年に大噴火し,島の北部3分の2が海中に没しました。(正確には,島全体が沈み,その後の噴火で新たに現在の島ができましたが,面積は元の3分の1程度です。)このとき,津波によって約36,000人が亡くなったといわれています。

参考URL:http://the.honoluluadvertiser.com/2000/Dec/17/12 …

この回答への補足

詳しい解説、本当にありがとうございます。

その「番組」では、『現在のオアフ島「コオラウ山脈」に平行して、過去には東にもう一本同じような山脈が存在していた。それが大規模に崩壊し、その時発生した津波の高さは、推定100メートル以上に及ぶ。』というものでした。(おそらく何十万年前とかそういう単位での出来事だったような記憶があります。)

実は、以前にオアフ観光で、「ヌアウ・パリ」という観光スポットを訪れたとき、「コオラウ山脈」を境として東側にはえぐられたような断崖が延々と続いている光景を目にしました。
一体、貿易風と雨風だけでこのような地形が出来るのだろうか、とずっと考えておりましたところ、先の「番組」を見て、そう言うわけだったのかと納得したわけです。

大変興味深い地形でしたので、近々また訪問したとき、デジカメで撮影し、「ヌアウ・パリからの光景」を、合成パノラマ写真で公開しようと思っています。

補足日時:2001/05/16 10:55
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