殺す目的でなくても、
「もしかしたら死ぬかも知れない」と認識して、
店員が泥棒や強盗を取り押さえ、
実際に死亡に至った場合、
殺人罪になるんですか?
泥棒や強盗を取り押さえて死なせた場合で、
現行犯逮捕として相当な限度を
超えた有形力行使があった場合は、
傷害致死罪に問われる可能性があるとされ、
同容疑で実際に店員が逮捕された事例もあります。
日本国では「未必の故意」は、
刑事上「故意」という扱いとなり、
店員が望まずとも犯人死亡の可能性を
少しでも予知していたと万一判明した場合、
上記のような事例では傷害致死罪ではなく
殺人罪に切り替えられるいうのは本当でしょうか?
単なる傷害致死罪とどのくらい量刑が違うのでしょうか?
これでは恐ろしくて私人逮捕(常人現逮)なんか出来ません。
「しおかぜ事件」の判例(昭50.4.3)が、
「未必の故意」を刑事上「故意」と扱う規定と
矛盾しないのはなぜでしょうか?
判例は、現行犯人を取り押さえるためには、
警察官と私人の別を問わず、
社会通念上必要かつ相当な実力行使を認めています。
法律屋は、
「社会通念上」警察官と私人とでは、
逮捕のために必要かつ相当と
評価される基準がそもそも違うと言い、
「素人に法律は分かりやしない」と
フン反り返って威張っています。
一体どうなっているのでしょうか?
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
なんか質問を読みとるのに苦労したんですが、
混乱している原因はここにある気がしたので、こっちの回答を最初に。
>「しおかぜ事件」の判例(昭50.4.3)が、
>「未必の故意」を刑事上「故意」と扱う規定と
>矛盾しないのはなぜでしょうか?
矛盾のしようがないというか…
被告人がやったことに傷害の(確定的、未必的関係なく)故意があったことについて、判決は何ら否定していません(というか言及していない。故意があったのは当たり前だから)。
あくまで、被告人がやったのは、この状況=相手が3回も船ごと体当たりしてくるわ、ロープをスクリューにからませるわの抵抗をしたうえで逃走しようとした=における現行犯逮捕のための行動として必要限度範囲内と認められるから、刑法35条正当行為(違法性が阻却される)として無罪としたわけです。
刑法35条に該当するもので行為について故意のないケースってちょっと思い浮かばないです。普通は故意はあるでしょう。
>法律屋は、
(中略)
>一体どうなっているのでしょうか?
その「法律屋」がどこのだれで、どういう状況で何について語ったのかわかりませんので、コメントは控えます。
逮捕のために必要かつ相当と評価される基準は、私人か警察官かというよりも、置かれた状況で決まるでしょう。
相手がただ逃げているか、
抵抗しているか、
抵抗する力はどうか、
武器とか持っているか、
それを押さえる自分側の力のバランス(ここで私人と警察官の差はあるかもしれない)
etc、etc...
んで、最初に戻ると、
>殺す目的でなくても、「もしかしたら死ぬかも知れない」と認識して、
これだけだと、未必の故意になりませんよね。
未必の故意は可能性の認識だけじゃなくて認容「死んだってかまわないや」も必要ですから。
>殺人罪になるんですか?
相手の死の可能性の認識だけでなく、死という結果を認識していたかどうかで決まります。
で、相手の死という結果を認容していた、つまり「死んでもいいや」まで考えて行動している場合、
まぁたいていは必要最小限度を越えた有形力を使っているでしょう(そうでないケースがリアルに想像できないです)。
相手に殺されそうになるほどの抵抗を受けたのであれば話は別ですが、これはむしろ36条正当防衛の問題かと。
これまた故意の有無の問題ではありません。
No.2
- 回答日時:
「もしかしたら死ぬかも知れない」と認識して、店員が泥棒や強盗を取り押さえ、
実際に死亡に至った場合、殺人罪になるんですか?
↑
死ぬかもしれない、という認識だけでは殺人の故意が
あるとはいえません。
死ぬかもしれないが、それでもかまわない、という認識まで
必要です。
ここまでいって、初めて未必の故意があった、ということが
できます。
”日本国では「未必の故意」は、刑事上「故意」という扱いとなり、
店員が望まずとも犯人死亡の可能性を少しでも予知していたと万一判明した場合、
上記のような事例では傷害致死罪ではなく
殺人罪に切り替えられるいうのは本当でしょうか?”
↑
ウソです。そういう学説もありますが、判例通説は前述したように
死ぬかもしれないがそれでもかまわない、という認識まで要求しています。
死の可能性だけを認識していても故意にはなりません。
”単なる傷害致死罪とどのくらい量刑が違うのでしょうか?”
↑
それはケースバイケースです。何ともいえません。
殺人の方が量刑が少ない場合だってあります。
ただ、傷害致死では死刑になる可能性はありませんが
殺人ならあります。
”「しおかぜ事件」の判例(昭50.4.3)が、
「未必の故意」を刑事上「故意」と扱う規定と
矛盾しないのはなぜでしょうか?”
↑
ここらあたりの意味がよくわかりません。
刑法にいう正当行為も、正当防衛も、みな
故意犯を前提にしています。
とくに、正当防衛などは過失犯にも適用があるかが
争われているほどです。
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