No.1ベストアンサー
- 回答日時:
よく使われる哲学的表現に、自分と「自分」があります。
「」なしの自分は実際の自分で、カッコつきの「自分」はOOだと思われているレッテルを貼られた自分です。他人がレッテルを貼るときもあれば、自分でレッテルを貼るときもあります。同様に、ものと「もの」も使い分けられます。私たちが考える「もの」とは、常にそれ自身から遅れています。しかし、私たちは、「もの」はつねにひとつの同じ「もの」だと考えてしまいます。デリダはこのように「もの」が安定して目の前にあるように見なす態度を批判します。この偽〔いつわり〕の安定を取り除かなくてはならないと主張します。
偽りの安定を打ち破るためにデリダが持ち出したのが、脱構築〔だつこうちく〕と呼ばれる独特な方法概念でした。外側から壊すのではなく、内側から変化させるものです。男と女、人間と自然などのような二項対立に揺さぶりをかけ、意味の内側から、これまで受け入れられてきた意味を書き換えてしまうのです。
デリダの前から“差異”という言葉は使われていました。イヌとオオカミの違いは?。では、ヤマイヌとは?私たちがものを識別しているのは差異によってですが、その区切り方によってはちがう名前がついてしまいます。ところがそのイヌでさえ、さっきまでの「イヌ」は、いまの「イヌ」とは違っているという点を考慮していません。このことをデリダは、空間的な差異と時間的な遅延の2つの意味をあわせもった、差延〔さえん〕という造語で表現しました。
では、脱構築の例は、どう言えばいいのでしょう。OO主義を批判して、『OO主義はよくない!』と叫ぶのではなく、『OO主義はいいね!』と言いながら、OO主義の意味する中身を変えてしまう、といったことではないかと思います。・公共事業を批判するのではなく、公共事業の意味する中身を変えてしまうようなことです。
私たちは、すでに文化の仕組みの内側に入っています。だから外に出たと思っても、それは幻想かもしれません。この時代の、この世界の常識の枠からはみ出して考えることはできないのかも知れません。・脳のある部分の役割が何であるのか表現しようとしても、今流通している表現でしか考え付きません。右脳は空間認識と感覚をつかさどり、左脳は理論と言葉をつかさどる。そうでしょうか。右脳は新奇性をつかさどり、左脳は慣例をつかさどると表現し直されたりしています。
・『ねぇ、仕事が大事なの、私が大事なの?』という質問には、そのまま答えず、二項対立の構造自体を崩すように答えるのが賢い答え方ですネ。
・ジャック・デリダと言えば、“差延”と“脱構築”を押さえておけばいいでしょう。
・は僕の独自の理解・見解・例です。
No.2
- 回答日時:
デリダ(1930~2004・仏)は一般にポスト構造主義の代表的哲学者と位置づけられています。
ポストとはpost(~の後に)という意味で、「反」構造主義という意味ではありません。では構造主義とは何か?。それは、一見関係のない違う2つ以上の現象に共通して潜在する構造を見つけ出し、理解(時には制御)しようとする方法論を指します。言語学・精神分析学・文化人類学・社会学・文芸批評などで応用されています。たとえば、文化人類学者のレヴィ=ストロース(デリダの22歳年上・仏)は、“交換”という構造で未開人の行動を括〔くく〕ってみました。先祖にお供えをするのも交換だし、コミュニケーションも言葉の交換だし、結婚も女性の交換とみなして、考えたのです。すると、未開社会でのイトコ同士の禁止される男女パターンを説明できたりしたのです。また、“無意識”という構造を仮定して分析を試みるフロイト(74年上・墺)やユング(55年上・瑞)の手法も構造主義の一種と言えます。近代言語学の父と呼ばれるソシュール(73年上・瑞)は、言語の歴史を研究してみて、言語の本質が数学の構造に近いと感じました。“ラング”と呼ぶ規則体系(=見えない構造)があることを見抜き、時代によって変化しないこの構造こそが言語の本質だと考えました。イヌをイヌと呼ぶのに必然性はなく、恣意的に差異をとらまえて楔〔くさび〕を打ち込み、「イヌ」を「オオカミ」と区別しているだけだと考えたのです。伝統的な哲学では、「もの」はそれ自体で存在するという考え方が主流でしたが、現代では、「もの」とは何かとの関係で存在するという見方が強くなっています。
構造主義は「人間」中心の考えに対する批判として1960年代に登場しました。その「人間」中心主義が成立した背景には、産業革命(1760~1830頃)によって富が社会に広くいきわたるようになったこと、同時に資本主義が普及して、各人が何を売り、何を買うのか自分で決めるようになったことがあります。主体性とは、この経済システムによって成立したと言えます。そして、正しく教育さえすれば、誰でも自分自身の力で理性的に考えることができるはずだとする啓蒙主義が誕生しました。人間は精神的に神から独立し、人間を中心とする世界観ができあがっていったのです。代表がカントです。カント(1724~1804・独)は人間の理性的認識の正しさを検討するために理性批判しました。そして、人間を離れた世界については考えてもわからないと結論付け、一方で人間が経験できる範囲の世界のことを“現象”と名付けて、これこそが学問の対象だと考え、この範囲の世界でなら理性的な正しい認識が可能だと考えたのです。
構造主義が批判したサルトルにもふれなければならないのですが、今回はここまで。ふぅ~
構造主義について、大変よく分かりました!また、解説書などでは同列に並べられている哲学者たちがこんなに歳が離れているとは!なかなか普通に本を読んでいるだけでは気づかないところですね。なんか若手も先人を凌駕するような理論を打ち立てなくては!という気がしてきますね。
構造主義が人間中心への批判当店も大変興味深いと思いました。これはちょっと意外だったのですが、人間中心への批判、というのは第1、2次大戦の反省が一番大きかったんじゃないんですか?そこは触れられてなかったので…ズレてたらスミマセン。
とにかく勉強になりました、ありがとうございました!
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