変圧器を電源に接続すると突入電流が流れると思います。その時の最大波高値は、突入時の電源の位相によって決まり、タイミングによっては過渡現象を伴わない場合もあると思います。
で、質問です。
変圧器に負荷を接続して電源に接続する場合と、無負荷で接続する場合とでは、どちらが突入電流が大きいのでしょうか?(両方の時間的タイミングは同じとします。)
私は、突入電流の直流分は、磁気回路にエネルギーを蓄積するための現象であり、負荷へのエネルギー伝播とは分けて考えることが出来ると考え、負荷を接続して投入する場合の方が電流値は大きいと思いますがいかがでしょうか?
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
○の番号で答えます。
3.
とてつもない大電流で鉄芯が完全に飽和してしまった極限のことを書きました。通常使用の話ではありません。
通常の場合は、単純計算での突入電流は2√2≒2.8倍程度なので、使われてる鉄芯のBH特性を入手し、その図から透磁率(カーブの傾斜)を読み取り、H~μ図を作成し、現物の巻数と鉄芯断面積から動作点(Hがいくつか)を計算すれば、インダクタンスがどの程度低下してるのか推測できると思いますが。
一般に、非線形な物理現象には小綺麗な計算式は存在しません。
5.
そういうことです。
6.
「突入電流に直流分が含まれる場合の直流分」これが何のことなのかずいぶん考えたのですが、やっと分かりました。 電源スイッチをオンした瞬間をt=0、そのときの電源電圧の位相角をθ、1次側巻線のインダクタンスをL、同巻線抵抗をRとすると、
スイッチ
┌── S──┐
│ R
e○ │
│ L
└─────┘
e = Em sin(ωt +θ)
Im = Em/(RとLの直列インピの絶対値)
φ= arctan(ωL/R) 巻線自体の力率角
τ= L/R 巻線自体の時定数
を使って電流は、
I = Im{ sin(ωt+θ-φ) - exp(-t/τ)・sin(θ-φ) }
となります。第一項はいわゆる励磁電流で、第二項が突入電流です。
exp(-t/τ)は、(コンデンサに直流電圧を加えたときに流れる電流と同じ式です)、t=0で値は1で、時間と共に減衰します。
sin(θ-φ)の項は時間を含んでないことに注目を。これは投入瞬間の電圧の位相角θだけで定まる定数です。最大値はθ-φが±π/2のとき。θ-φが0とかπなら第二項はゼロです。
t=0の瞬間は、{ }内の第一項はsin(θ-φ)となり、第二項もsin (θ-φ)となるので、θ-φ=π/2になる場合が最大で、{ }内の値は2です。よく使われる実効値(sin(ωt)の場合は1/√2)と、この2との比は、2/(1/√2)=2√2≒2.83、すなわち突入電流は定常電流の3倍近い…。
となるのですが、
「突入電流に直流分が含まれる場合の直流分」とは上記のRを0にしてませんか?R=0ならτ=無限大でexp(-t/τ)は常に1となりsin(θ-φ)の電流がずっと流れ続け、つまり直流電流です。 しかし現実のトランスは(超電導でない限り)R≠0なので第二項はすぐ減衰して消え去ります。
これを己がものにするには直に微分方程式を解くことです。jω計算で解決できる守備範囲を超えてますから。微積分が苦手ならラプラス変換で解を求めてもよろしいと思います。 なおこの場合も、磁芯の飽和などの非線形を加味しようとすればとたんに解けなくなりますので。 実際の設計者はコンピュータのシミュレータで数値計算して非線形を扱います。電気の分野で広く使われてるスパイスなど回路シミュレータでもできます。
No.2
- 回答日時:
二次側の負荷が一次側にどう伝わるか?を考えてるのですね。
定常と過渡を分ける考えは止しましょう。定常と思ってるところも印加電圧はまったく同じに正弦波状に動いてるのです。磁気飽和した場合は;磁気飽和は透磁率が低下することなので、一次も二次も巻線の自己インダクタンスが落ちる。その結果一次と二次を結んでる相互インダクタンス(M=√L1L2)も落ちるが、どんなに飽和してもゼロになることは無く、いわゆる真空中の透磁率によるインダクタンス(早い話が空芯コイル同士のトランスの状態)は必ずあります。
一次側電源投入時の突入電流は、電圧波形の位相のどこでオンするかだけで決まる。
一次側と二次側は、電→磁→電の結合で、相手側の情報はいわゆる「その伝わる経路での光速」で相互に等しく伝わります。光速は 1/√(透磁率×誘電率) です。鉄芯は透磁率が大きいので真空中の光速とは桁違いに遅いが、それでも商用周波数の周期時間に比べれば「桁違いに瞬間的」です。
ゆえに、投入時の突入電流で相互インダクタンスが少々落ちるが、二次側につながってる負荷に応じた電流は、投入の瞬間から一次側にも流れます。
>>突入電流の直流分は、磁気回路にエネルギーを蓄積するための現象であり<<
このイメージは正確ではないので捨て去りましょう。鉄芯内の磁気エネルギは、励磁電流の正弦波電流がゼロの所で毎回ゼロに戻ります。いわゆる無効電力、正弦波の半周期ごとに波打ちギワのように寄せては返すことを繰り返してます。
この回答への補足
詳細なご指導ありがとうございます。
下記のような理解で宜しいのでしょうか?
○定常と思ってるところも印加電圧はまったく同じに正弦波状に動いてる
これは、無限大母線で、突入電流による電圧降下を無視した場合。
電源側には定常時も過渡時も同じであるという意味。
○一次も二次も巻線の自己インダクタンスが落ちる
これは、インダクタンスの定義が、起電力と磁束の時間的変化量の比例定数だから、磁気飽和により比例が成り立たなくなった結果、インダクタンスの値が減少する。
○空芯コイル同士のトランスの状態
これは、理解できますが、真空の透磁率と磁性体とでは、桁が3桁程度異なると思いますが、無負荷の突入電流は、定常状態の3程度と思いますが、何処まで影響があるのか、良くわかりません。
ご指導していただければ幸いです。
○鉄芯は透磁率が大きいので真空中の光速とは桁違いに遅い
これも、理解できます。
○ゆえに、投入時の突入電流で相互インダクタンスが少々落ちるが、二次側につながってる負荷に応じた電流は、投入の瞬間から一次側にも流れます。
これは、結論的に負荷を接続した状態で変圧器を投入した方が、電流値が大きくなるとご指導いただいたと理解して宜しいのでしょうか?
○正弦波の半周期ごとに波打ちギワのように寄せては返すことを繰り返してます
こらは、理解しています。逆に、突入電流に直流分が含まれる場合の直流分は、なぜ流れるのでしょうか?どのようなイメージで捉えれば宜しいのでしょうか?お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。
この問題は、磁気回路を含む過渡現象だと思いますが、何かわかりやすい参考書などがあれば教えてください。自己研鑽にはげみたいと思います。
No.1
- 回答日時:
変圧器一時側に電源を投入する直前は無励磁状態なので、投入直後は電圧/巻線抵抗に応じた電流が突入します。
よって、二次側に関係ありません(「・・)ン?。この回答への補足
早速のご指導ありがとうございます。
リアクトルの場合、angkor_hさんの仰るとおりの現象となると思いますが、磁気回路に磁場が生じて且つ、その磁場が変化している以上、二次側のコイルに起電力が生じると思います。その結果、二次側に負荷が接続されていると、二次側電流が流れるので、単純に一次側だけの現象として捉えるだけでは物足りないような気がしますが如何でしょうか?
定常状態では、巻き数比の2乗に反比例?比例?した等価回路が成り立つかと思いますが、過渡現象の場合、巻き数比に反比例?比例?した過渡現象となるのでしょうか?(過大な突入電流による磁気飽和が生じ二次側の誘導起電力が巻き数比に比例?反比例?しない問題が残ると思いますが?言い換えれば、一般的な磁性体で構成される磁気回路が途中に含まれると、磁気飽和の関係上、突入電流が生じている過渡現象における時間帯においては、二次側で生じる現象は無視できる範囲内であるとも考えることもできると思いますが。あてすっぽですみません。)
言い換えれば、電気回路の途中に磁気回路が含まれ且つ、磁気回路により電気回路が絶縁されている場合で、磁気回路に磁気飽和減少が伴った場合に一次側から見た等価回路が、巻き数に比例?反比例?する理論が成り立つのかどうかってことになると思います。
お手数をお掛けしますが、再度ご指導願います。
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