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設定者の元本確定請求
→根抵当権設定時より3年経過後請求、請求時より2週間経過後に確定

根抵当権者の元本確定請求
→いつでも請求でき、請求時に確定


請求者で上記のような違いがあるのはどのような趣旨からですか?

また、設定者からの確定請求の場合に請求時から2週間経過後に確定としているのは、「根抵当権者にとって不意打ちとなる」かららしいですが、これがどのような不利益のことを言ってるかわかりません。2週間の期間に請求された根抵当権者は何かすることがあるのでしょうか?具体的な例で教えてください。

回答よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

この理由について、それほど理論的な説明を目にしたことはありませんが、一応の趣旨を書いておきます。

なお、なぜ2年でも4年でもなく、3年なのか?1週間でも1ヶ月でもなく2週間なのか?については、私も含め疑問視する向きもあります。

まず基本的には、元本が確定すると根抵当権設定者にとって得であり、根抵当権者にとって損であると考えられています。

すでにある程度ご存知だとは思いますが、具体例を挙げて考えて見ます。

A社はB社に対し、電気製品を継続的に供給しており、代金は毎月一定の日に支払うものとします。1ヶ月あたりに10回程度の取引があり、売掛金が1千万円程度になる。そこでA社は売掛金債権を担保するために、B社が所有する甲土地に極度額1千万円の根抵当権の設定を受けたとします。

元本が確定する前であれば、極度額1千万円の枠内で当該取引の全債権が担保されるわけですが、元本が確定すればその時点において存在する取引の債権のみが担保されることになり、その後発生する取引については担保されなくなるわけです。

つまり、元本が確定するということは、確定後に生じた債権を、根抵当権で担保される債権の枠からはじき出すということを意味するので、根抵当権者にとっては損。根抵当権設定者にとっては得ということになります。

根抵当権設定者について考えれば、一度根抵当権を設定した以上は、ある程度根抵当権の負担を甘受しなければならないものの、(元本確定期日の定めがなければ)半永久的にその負担を強いられることになり、それはあまりにも不当な拘束であるとされ、一定期間(3年間)を経過すれば、請求できることが認められました。

根抵当権者にすれば、自らの利益をを放棄するだけで、相手方である根抵当権設定者になんら不利益を被らせることがないために、いつでも一方的に請求できると説明されます。

そして、不利益を被る側の根抵当権者が請求をした場合には、相手方に不利益がないことから、請求時に元本は確定しますが、相手側に不利益を被らせる根抵当権設定者による請求の場合には、「根抵当権者にとって不意打ちとなる」ことから2週間経過後に確定することになると定められました。

もしこの2週間の猶予期間がなかった場合を、前掲の例で考えてみます。

A社は「今月既に5回取引があって、500万円売り掛けがある。今月中にあと5回位取引があって、500万円程度の売り掛け立つ見込みだけど、根抵当権で担保されているから、安心である」等と考えていたところ、B社から元本確定請求をされてしまうと、すでに取引のあった5回分についてだけ、根抵当権で担保されることになり、今後の予定である5回分については無担保債券になるわけです。相手の懐具合を勘案すれば、取引を中止しなければならないこともありえますが、急に中止にせざるを得ないというのは、その後の資金繰りなどに多大な影響を及ぼす恐れがあります。

ですから、ある一定期間の猶予期間が与えられています。多くの商慣習上、1ヵ月毎の支払を根抵当権で担保されていることを鑑み、個人的には猶予期間は1ヶ月でも良かったのではないかと思いますが、現行法上は2週間とされています。
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> 請求者で上記のような違いがあるのはどのような趣旨からですか



 お書きのように、設定者側からいつでも自由に確定請求することを認めると「根抵当権者にとって不意打ちとなる」が、根抵当権者が確定請求することを認めても、設定者には不意打ちにならない(不意打ちは不意打ちでしょうが、実害がない)からですね。

 私個人としては、それぞれ4週間、2週間程度の猶予期間を置くべきだと思うのですが、まあそれは一学徒の立法論で、一般的には「設定者に実害はない」と言われていますね。

 それと、実社会で根抵当権者(長期間の反復取引により利益を得る側)が「確定したい」と思うのは、よほどの場合です。

 ざっくり言えば、債務者の経営状態がもうどうにもならないので反復取引自体を止めたい場合とか、地価が急激に下がっていて早晩担保割れしそうな場合とか。

 根抵当権者が確定したいという場合は、急いで確定する必要があるだろう、という配慮もあるんじゃないでしょうか。

 根抵当制度は元来、民法にはない制度だったのに、民間が勝手にそういう制度を作って運用してしまったので、しかたなく国が後追いで法律を追加したという珍しい制度ですので、実社会の要請を無視できなかったものと思われます。


> 2週間の期間に請求された根抵当権者は何かすることがあるの

 ありますね。

 単純ですが、被担保債権がどれで、いくらなのか計算しなければなりませんから。

 そんなの簡単じゃないかと思われるかもしれませんが、そうとも言えないのです。

 例えば、被担保債権の中に手形・小切手取引が含まれていたりすると、振り出した額を調べたり(一々銀行に通告などしないで振り出す)、手形がどこにある(誰がもっている)のかなど調査が大変です。債務者から手形用紙の残りを回収したりね。

 そのほかにも、(根抵当権は継続的な取引を前提としますので)根抵当権を確定するなら、その前提となる反復取引自体も終了しなければならないのがふつうです。

 となると、設定者との間の問題だけではなくて、債務者との折衝も必要になりますよね。必ずしも、設定者=債務者ではありませんので。

 2週間くらいでなんとかなるんだろうか、4週間くらい猶予しろよというのが私の実感です。
 
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