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インバータ駆動の誘導機が発電機(回生)として作用する場合にどうしても理解に苦しむ点があります。

理解している点
回転している電動機に対して電源であるインバータ周波数を回転子周波数より若干低くすることにより滑りがマイナスとなる。これにより回転子に流れる誘導電流が逆向きになり回転方向と逆向きのトルクが発生。

不明な点
回転子の誘導電流により固定子に電源とは逆向きのまた若干電圧が高い誘導起電力が発生。これにより電源に逆らい電源側に電流が回生される。
ここで疑問なのは電源側と逆向きの起電力が発生したならば流れる電流も逆、固定子で作られる回転磁界も逆向きになってしまい発電機として継続的な動作ができなくなってしまうのではないでしょうか。よく誘導発電機は単独運転はできないと書かれておりますがこのあたりにヒントがかくれているような気もします。当メカニズムは文献や参考書含めどこにも解説されていないのでどなたか詳しい方おりましたら是非ご教示の程宜しくお願いします。

A 回答 (3件)

ご承知の通り誘導機には磁石が無いのですから、単独では発電機に成り得ません。

発電の為には外部電源による励磁が必要です。そして発電周波数は、回転とは無関係に励磁周波数で決まります。また、発電機でありながら有効電力と無効電力の関係は任意に取れず、供給可能なのは進み電流に限定され、自分自身の励磁電流さえ供給できない等、通常の発電機のイメージとは相容れない性質があります。これらの説明は、誘導発電機の中に電圧源が現れるようなモデルでは、困難かと思います。誘導発電機はブラックボックスとしては、あくまでもインピーダンス素子であり、内部に現れるのは「負性抵抗」と考える方が合理的でしょう。「外部から電圧を掛けるとき、どんな電流が流れるか」という視点で考察してみます。電力を生み出す為に外部から電圧を掛ける必然性や、産生電流位相が自由自在にならない現象にも合点がいくと思います。

誘導機の等価回路:
http://energychord.com/children/energy/motor/ind …
のsを負とする時、r2'/ s が負性抵抗となります。これにより電流は電動機運転と逆方向に生じます。模式的には、
内向きを正にとれば、I = V / ( -R + jX ) = -( V / (R - jX) )、
外向きを正にとるなら、I = V / (R - jX)
と言う形です。

物理的に見れば、負のスリップにより1次回転磁束を切る2次導体に生じる「小さな起電圧」が電動機運転時と逆になり、2次導体「線輪」が作り出す磁束も逆、それを打ち消すべく流れる1次電流も逆極性になるという具合です。このような1次2次間の磁束打ち消し電流は、励磁電流やその逆起電力とは別の独立した存在である点に注意してください。直流機や同期機に見られる「電源電圧に匹敵する大きな逆起電圧」の実体は在りません。あなたが感じられた不条理の起源は、ここら辺りにありそうです。

外部から電圧を加える事により負性抵抗(スリップ量依存)由来の電力を取り出せますが、前記式から解るように「外部方向に供給できるのは進み位相」に限定されます。自身の励磁電流に充てられるような遅れ90度電流は供給できません。発電機とは言え、同期発電機等に見られる、任意負荷位相を許す電圧源的挙動とは異なります。有効電力を得る為には同時に無効電力が生じてしまいますから、それを吸収させる為にも、電圧源的な装置との並列運転が不可欠と言えるのではありませんか。

ハイランド円線図も参考になると思います。発電機では、下半円を電流ベクトルが動きます。
http://ameblo.jp/sayama554/entry-11475905601.html
図「誘導発電機の特性」を参照

以上、机上の知識ですが参考まで。不可解な点ありましたらご指摘ください。
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この回答へのお礼

ありがとうございます!
誘導発電機がこのような理論で発電されているとは思っても見ませんでした。確かに等価回路ではすべりが負であるため困惑しましたがこのように繋がるわけですね。
まだ完全に理解できたとはいえませんが、このようにご丁寧に解説して頂いたことに感謝いたします。もう少し勉強して理解に努めたいと思います。

お礼日時:2014/02/04 18:14

No.2 ですが、物理的なイメージ、少し補足いたします。



スリップが零の時、2次導体は励磁回転磁界を横切る事なく、2次電圧は零ですが、この状態で仮に2次に直流電流を流したとしましょう。2次回転子による回転磁界は同期速度ですから、1次にはこれを打ち消すべく、相応の電流が誘導されます。これが、「電源電圧に匹敵する大きな逆起電力が不在」でも1次に回生電流が得られる理由です。またスリップ周波数の2次電流でも、励磁周波数の1次電流を誘導する事に留意ください。誘導2次電流が作る磁界「回転子磁界」の回転速度は、回転子速度/スリップによらず、励磁磁界「主磁界」の回転速度と常に等しいからです。

1次2次相互作用、トランスとの差異をもう一つ掲げるなら、変圧比と変流比が反比例関係に拘束されない事です。変圧比は符号を含め励磁回転磁界に対するスリップに比例しますが、変流比は巻き数比で決まるのみで、符号を含めスリップに対し不変です。これが負性抵抗が生じる理由になります。
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この回答へのお礼

不思議な世界ですね。どこでこのような理論を勉強されたのでしょうか。本当に頭が下がります。ありがとうございます。

お礼日時:2014/02/04 18:17

電動機は変圧器の等価回路として説明されます。

電動機の回転滑り角による二次側誘導電流の大きさが変圧器二次側電流に置き換えられます。
電動機の回生時とは、変圧器二次側に、本来発生する電圧(出力)を、逆に入力として加えた、と言う状況です。ここで、加える電圧極性は同一ですが電流の向きは逆です。つまり、発生する二次側電圧の「+」端子に、回生時には「+」電圧を与える(加える)と言うことです。

変圧器の図示では黒点で極性が表示されます。
一次側黒点は印加電圧「+」、二次側黒点は出力電圧「+」、
逆に二次側印加時は、二次側黒点に印加電圧「+」とすれば、一時側黒点は出力電圧「+」。
これを比べれば、同じ黒点「+」と言えども、電圧極性は同じですが電流方向は反転します。
つまり、黒点同士は同相です。

> 回転子の誘導電流により固定子に電源とは逆向きの
⇒同相の、と表現すべきです。電圧同相で電流を(電源側に)押し返す、と言う感じ。

> よく誘導発電機は単独運転はできないと書かれておりますが
⇒たぶん周波数精度だけの問題では無いでしょうか。動作原理ではなく実用上の問題でしょう。
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この回答へのお礼

大変判りやすいご回答ありがとうございました。確かに等価回路で一目瞭然というような説明はみかけたことはあるのですが、丁寧に説明して頂き、納得しました。誘導電動機の理論は本当に難しいですね。計算はできても現物での説明ができないと意味がないですから。最後の単独運転の件ですが、無効電力を電源から取得しなければとよく表現されていますが、お答えしていただいた周波数の同期の関係のこととリンクするのでしょうか?これだけ理解できればほぼ100%納得できるのですが・・・

お礼日時:2014/02/02 23:50

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