(設問)
敷地権となっていない建物の敷地たる共有持分及び区分建物に所有権移転請求権の仮登記がされた後に、その土地の共有持分につき敷地権たる旨の登記がされた場合において、所有権移転請求権仮登記の登記原因、その日付、登記の目的及び受付番号が同一であるときは、その土地についての所有権移転請求権の仮登記は、区分建物についてのその登記と同一の効力を有するものとして抹消する。(H4-17)
(解答)
誤り。本肢の所有権移転請求権の仮登記は、所有権の登記以外の所有権に関する登記であるので、原則通り、建物のみに関する旨の付記がされることになる。
質問なんですが、この場合、土地の共有持分にした仮登記はどうなったのでしょうか?土地と建物に仮登記したのにどうして「建物のみ」になってるの?と疑問です。
また、これが所有権移転請求権仮登記でなく、一般先取特権・質権・抵当権の場合だと、敷地権についてされた登記は抹消されるみたいですが、なぜこのように処理が異なってくるのでしょうか?
A 回答 (3件)
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No.2
- 回答日時:
この問題も、先の地上権と同じく実務ではあり得ないことです。
何故ならば、土地は持分権だと言っています。持分権を、後で、敷地権とすることはあり得ないです。
そして、建物は「区分建物」と言うことで、一棟の建物を指しています。(専有部分と共用部分が含まれた建物)
だから、土地も建物も、後で、区分所有権とすることを前提とした課題と思われます。
その土地建物に所有権移転請求権の仮登記があって、土地につき敷地権の登記をしたときのお話です。
その場合、一棟の建物を区分して複数の専有部分としますが、専有部分は建物のことです。
土地は、専有部分の表題部で敷地利用権として敷地権の登記をするので、土地に関する権利関係は専有部分には出てこないです。
そのようなわけで、一棟の建物を区分して複数の専有部分すれば、その各専有部分の権利に関する登記についてする付記登記で所有権移転請求権の仮登記すると言うことです。
だから、当該仮登記は、建物(専有部分)では付記登記で、土地については、そのままの仮登記となります。
なお、抹消については、土地に仮登記があって、後に、その土地を敷地権とした場合に、抹消すれば、本来、土地と建物は別個の登記関係なので触ることはできないが、敷地権としたことで建物(専有部分)の付記登記も抹消する必要に迫られます。
だから、登記官の職権で抹消するわけです。
要点は、土地と建物は個別に登記されますが、敷地権とすれば、建物だけになるので、従前の土地の所有権以外の権利も建物に反映する必要があります。それを、設定時と抹消時を混同したお話しです。
仮登記でなくても、特定担保権(一般先取特権・質権・抵当権)でも同じことです。
特定担保権決定後の敷地権は抹消しないです。
そのままです。抹消すれば抵当権者がかわいそうです。
しかし、実務では、土地を敷地権にする時に抹消します。
そうしないと、後で、その区分所有建物は収去の運命になります。
だから、敷地権とするときに抵当権等抹消します。
No.1
- 回答日時:
まず、この設問は条文知識を問われる問題なので、きちんと条文を読み込みましょう。
確かに条文を丸暗記するよりは、立法趣旨とか理解して覚えたほうが記憶として残りますし、長い目で見れば無駄にはなりません。しかし、資格試験である以上、合格しなければ意味がありません。年に一回しか受験のチャンスはありませんし、試験科目は不動産登記法以外にもたくさんありますから、余り深入りしないで下さい。合格したら、不動産登記法を深く勉強して下さい。なので、以下の回答はさらっと読んで、条文の読み込みに時間を割きましょう。
>質問なんですが、この場合、土地の共有持分にした仮登記はどうなったのでしょうか?
そのままの状態です。
>土地と建物に仮登記したのにどうして「建物のみ」になってるの?と疑問です。
専有部分に登記されている当該所有権移転請求権仮登記に「建物のみに関する旨」が付記されているということは、当該仮登記が公示しているのは、当該建物についてのみであるということであって、土地の共有持分に仮登記がないことを意味するわけでも、逆にあることを意味するわけでもありません。土地に仮登記がついているかどうかは、土地の登記記録を見れば良いだけの話です。(たまに誤解する人がいるのですが、土地に敷地権である旨の登記がなされたからといって、土地の登記簿が閉鎖登記簿になるわけではありません。)
>また、これが所有権移転請求権仮登記でなく、一般先取特権・質権・抵当権の場合だと、敷地権についてされた登記は抹消されるみたいですが、
担保権で、登記の目的及び受付番号が同一であるということは、それらの登記は共同担保という関連性があるわけです。この場合、専有部分の担保権の公示をもって、敷地権についている担保権の公示をさせても、公示上の混乱が生じる可能性は少ないという立法政策的な判断があったものと思われます。(例えば、建物とその敷地である土地を共同担保として抵当権の設定を受けた場合、抵当権者は、土地と建物を一緒に競売にかけるのが一般的です。)
したがって、専有部分の担保権の登記には、建物のみに関する旨の登記は付記されない一方、土地の担保権の登記は抹消しておかないと、公示上の混乱を招きますから、土地の担保権は抹消されます。ちなみに、受付番号が同一という要件がなぜあるかというと、単に共同担保という要件にしてしまうと、追加設定により後発的に共同担保関係が生じることがあり、にもかかわらず受付番号が違いますから、専有部分の担保権の登記の所に、土地の担保権の受付番号を新たに付記せざるを得なくなり、公示上の煩雑さが生じてしまうからです。
不動産登記規則
(建物の表題部の変更の登記等により敷地権の登記をする場合の登記)
第百二十三条 登記官は、建物の表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記により新たに敷地権の登記をした場合において、建物についての所有権又は特定担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記があるときは、所有権の登記を除き、当該権利に関する登記についてする付記登記によって建物のみに関する旨を記録しなければならない。ただし、特定担保権に係る権利に関する登記であって、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下この項において同じ。)が当該敷地権についてされた特定担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものは、この限りでない。
2 登記官は、前項ただし書の場合には、職権で、当該敷地権についてされた特定担保権に係る権利に関する登記の抹消をしなければならない。この場合には、敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に本項の規定により抹消をする旨及びその年月日を記録しなければならない。
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