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マッハの力学を拾い読みしたのですが、慣性系の定義はなんだといっているのでしょうか?

私とって非常に読みづらくわかりにくい本です。根気が続きません。
力と質量の定義は何といっているかわかったような気がしますが、慣性系はわかりません。

教えてください。よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

 自分の持っているのは、「マッハ力学,エルンスト・マッハ,昭和56年,第10刷,講談社」です。

つまり初版です。版変えはないはずです。

 マッハは近代的実証主義の開祖で、絶対運動は無意味であると言いきっていますので、慣性系の存在は経験事実だと言っています。

 まずわかりにくいのは、そういう事情からマッハは慣性系を厳密に定義する事なく(経験事実なので、定義する価値はないと思っていたと思う)、近似的な慣性系の観測方法や観測結果を、当時のありとあらゆる文献や論文,意見からかき集め、詳細に述べている事です。その結果は、観測できる十分遠方の星々全ての平均運動に対して、十分ゆっくり動いているか近似的に等速直線運動している系が、慣性系だという事になります。これは現在でも変わらないでしょう。その第一候補は、地球という天体です。

 慣性系は経験事実だと認めろ!という事から、それは運動方程式の帰結となり、慣性系と慣性法則も不要だ!という話になります。運動方程式も経験事実ですからね。

 現在の立場としては、マッハの立論は疑いもなく正しいのだが少々行き過ぎだ、となります。というのは現在では、物理法則の不変性という事が、非常に重視されているからです。物理法則の不変性というガイドラインが、物理法則を発見するための「発見的価値」を持つ事が、明らかになったからです。

 なので、運動方程式が正しく成り立ち、運動方程式の不変性も保たれる慣性系は、現在では(あえて)きちんと定義されます。

  (1)粒子が自由であるとは、それが慣性系において慣性法則を満たす事である.

  (2)慣性系とは、自由な粒子が慣性法則を満たす観測系である.

 (1)と(2)は、明らかに論理が循環してます。従って(1)と(2)で、慣性系をきちんと定義したからといって、慣性系の存在が保証された訳ではありません。慣性系の存在が経験事実である事は、昔も今も同じなんです。今だって、「力の有る無しは経験的に判定できるはずだ!」という思いがなければ、(1)と(2)なんか無意味です。これが「あえて」の意味です。


 一方、絶対空間を提唱したニュートンはどうだったのか?。彼は彼の力学によって万物理論(完璧な宇宙論)を造ろうとしていました。そしてニュートンは時代に先駆けて、絶対運動が観測不可能である事も知っていました。

 そうするとニュートンの運動方程式は、常に成り立つものではなくなる・・・。なので彼は、常に成り立つ足場として絶対空間を持ち出した。・・・という意見もあります(「重力と力学的世界,山本義隆」)。それはマッハが、「観測できる十分遠方の星々全ての平均運動に対して、十分ゆっくり動いているか近似的に等速直線運動している系」として、いわゆる慣性系として(ニュートンも恐らく、慣性系は定義していない)、実証的・経験的に認めたものでもあります。
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この回答へのお礼

さっそくありがとうございます。

やはり、はっきりとは定義されていないのですね。
連休なので、ご教示いただいたことを念頭に今一度、

読み返したいと思います。

お礼日時:2014/05/03 10:07

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