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尖閣有事での自衛隊の出動要件について質問があります。


中国軍艦に対して自衛隊が出動するのは当然としても、
(1)軍艦ではない武装した中国船が尖閣諸島周辺で領海侵犯した
(2)軍人ではない(ことを装った)武装した中国漁民が尖閣諸島に上陸した
これらのケースで日本政府が海上・陸上自衛隊を派遣した場合、
少なくとも形式上は日本が先に軍隊(自衛隊)を派遣しているので
中国人民解放軍の介入に正当性を持たせるリスクもあると思います。
そのリスクを考慮した上でも、日本政府は海上保安庁や警察ではなく
自衛隊に対応を命じるでしょうか?

また、
(3)領海侵犯した中国不審船が武装しているか否か不明
(4)武装していない中国漁民が尖閣諸島に上陸した
通常ならば(3)については海上保安庁、(4)については警察が
警告・追跡・拘束等の対応を行うと思われますが、
これらのケースに自衛隊が対応することは有り得るのでしょうか?
そもそも海上保安庁と海上自衛隊、警察と陸上自衛隊の
職務の境界はどこにあるのでしょうか?


安全保障分野について正確な知識のある方の
現実的な回答をお願い致します。

A 回答 (2件)

お礼ありがとうございます。


不審船について、補足します。

これについては、自衛隊の海上警備行動で問題ありません。なぜなら、不審船は明確な領海侵犯を侵しており、また国籍不明だったからです。

この様な場合は、国家主権を脅かす敵性侵犯者として扱うことが国際法上も認められています。

他の例を挙げれば、領空侵犯の可能性がある国籍不明機に対するスクランブルと警告行動です。

ある国の領海や領空に入ったときは、速やかに所属国や進入した目的や目的地などを、その国に通告する必要があります。
また海上保安庁などが臨検する際には協力する義務もあります。
これらの行為をすることで「貴国の法に従います」意思表示になり、ゲストとして認めてもらえることになるのです。

しかし、これを怠ったり拒否したりすれば「軍事的な意図を持って侵入した可能性」を疑われますし、国際慣例として敵性対象として扱って良いことなっています。
つまり、国籍不明機や国籍不明艦船が協力を拒んだり、逃げたりすれば砲撃しても良いということです。

例に出ている国籍不明艦船は、確か海上保安庁の臨検を振り切り、国旗も掲げていなかったことから、自衛隊に警備の命令が下されたものです。
もし国籍不明艦船が砲撃してくるとか、日本領土に向かうなどの行為があれば、国家保安の観点から撃沈も辞さない、ということだったのです。
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この回答へのお礼

またも丁寧なご回答ありがとうございました。

なるほど。領海侵犯した船舶の国籍が判明しているか否かということも
日本政府の対応を左右する重大な要素だったのですね。
これでようやく疑問が氷解しました。

二度もご回答ありがとうございました。

お礼日時:2014/11/17 12:28

(1)軍艦ではない武装した中国船が尖閣諸島周辺で領海侵犯した


(2)軍人ではない(ことを装った)武装した中国漁民が尖閣諸島に上陸した

>そのリスクを考慮した上でも、日本政府は海上保安庁や警察ではなく
自衛隊に対応を命じるでしょうか?

命じません。不測の事態が起こる可能性があれば、自衛隊がバックアップをすることはありえるでしょうが、本質的には海上保安庁や警察の仕事(国内法違反)です。

ちなみに、警察・海上保安庁・自衛隊の中でもっとも実戦経験が豊富なのは、実は海上保安庁です。ここ最近だけでも、不審船からの銃撃・中国船からの体当たり・臨検時の実力による公務執行妨害(ようするに武器をもって抵抗すること)などの経験はほぼ海上保安庁しか有していないといえます。後は、サマワで砲撃をうけた陸自とソマリア沖で何度が武力抵抗に遭ったらしい海自がそれにつづきます。


また、
(3)領海侵犯した中国不審船が武装しているか否か不明
(4)武装していない中国漁民が尖閣諸島に上陸した

これらのケースに自衛隊が対応することは有り得るのでしょうか?
ありえません。

>そもそも海上保安庁と海上自衛隊、警察と陸上自衛隊の
職務の境界はどこにあるのでしょうか?

そもそも、海上保安庁や警察というのは「国内の法秩序を守るため」の組織です。国内の法秩序を守れる、ということは「その国の法律が十全に機能している状態」を言います。最近でいえば、ISISに選挙されたシリアなどはシリア政府の法治が機能せず、シリア警察が手を出せない状態ですから、軍がISISを追い出すしかありません。

自衛隊が活動を許可されるということは、すでに「領土が侵略され、日本の主権が侵されている」ということを認めることでもあるのです。これが日本本土であれば、侵略戦争ですが、尖閣諸島のように紛争地域であれば、どちらの主権をそもそも認めるのか?、という問題から議論する必要があるわけです。

また自衛隊は国内法に則った、警察権(逮捕や捜査権など)を持っていません。これをもっているのは、警察・海保・入国管理局(他にも警察権をもった組織はありますが、自衛隊にはありませんし、軍隊に持たせることは国際常識としてありえません)です。

日本は現在のところ、尖閣諸島に関して完全に主権を有している、といえます。なぜなら、尖閣周辺を自衛隊艦船や自衛隊機が遊弋しても、批難のコメントはでても排除する国はありませんし、尖閣付近の領海や尖閣上陸などがあった場合は、海上保安庁や警察、そして入国管理局が逮捕・連行できるからです。

もし軍隊か、民兵かはたまた本当の漁民か分からない連中が尖閣に大挙して上陸できたとすれば、それはそもそも日本の統治能力の失敗であり、自衛隊が動くということは、それも認めたうえで、実力排除に乗り出す、ということにほかなりません。

もし、自衛隊が排除に成功しても、今度は「国内法ではなく、対外機関である自衛隊が動いたからには領土主権が成り立っているとは言いがたい」という事実が生まれてしまいます。これを解消するには、それらの行為を行った国と条約を締結して、主権の帰属を確定することになってしまうのです。

これらのことは国際法で定められた条件です。日本や敵国だけの問題ではなく、そのような事態(自衛隊が動く)ということがあれば、他の国もそのように認識を改める、ということです。

もちろん、本当にそういう事態が起これば自衛隊が動くかもしれませんが、第一段階としては、海上保安庁の巡視船が主体となって、領海に立ち入らないようにすること、警察と入国管理局が先に尖閣に到着して、上陸しようとする連中を片っ端から逮捕すること、などが先になるでしょう。
そのために海自が輸送艦船を出したり、航空機で輸送したりすることは、災害派遣同様国内法の協力範囲とされるでしょう。

もし自衛隊が排除命令を受けると言うことは「国防」ということですから、これはある意味戦争であるといえます。逆をいえばそのような事態にならないように、海保も地道に尖閣近辺を守っていますし、自衛隊も米軍などと共に島嶼奪還訓練などを行って「有事になった際には、敵国よりも確実に有利である(簡単に言えば、お前ら絶対に尖閣に入れないよ。損害ばっかり大きくなるよ。という脅し)というメッセージを送り、常に牽制しているといえます。

ご存知のとおり、仮想敵国の中には国内紛争を抱えている国があります。かの国が日本に負けるようなことがあれば、国内世論は激しく政府を攻撃するでしょう。これらの権力問題があるので、勝算が相当高くなければ彼の国は攻めてこないでしょう。

いずれにしても「海上保安庁と警察で十分。国内法の執行で十分」と思わせておくことがなによりの抑止になります。いたずらに「自衛隊を出せ」と日本国内で叫ぶのはむしろ、相手に付け入らせる隙を与えることにもなりかねないといえます。
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この回答へのお礼

返信が遅れて申し訳ありません。
丁寧でわかりやすいご回答有難うございました。
ただし回答については腑に落ちない点があります。

(1)、(2)について自衛隊が対応することはないと仰っていますが、
1999年能登半島沖に不審船が現れた事件では不審船が軍艦ではなく
攻撃してきたわけでもないのに関わらず海上警備行動が発令され
海上自衛隊が追跡や警告爆撃等の対応を行いました。
このケースは尖閣諸島沖ではないとはいえ、海上保安庁の対応能力を
超えていると判断されたために自衛隊が対応している事案が実際にあるのです。
尖閣沖についても相手の武装能力が警察や海上保安庁の能力を超えていると
判断された場合には自衛隊が対応するのでは?

なお、(3)と(4)について自衛隊が出動することはないというのは同意します。

いずれにせよご回答有難うございました。

お礼日時:2014/11/17 08:40

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