最近の質問見ててよく解らなかったので質問します。
同一周期の原子の場合,原子番号が大きくなるに伴ってイオン化エネルギーが大きくなります(H→He, Na→Ar, K→Kr, Rb→Xe, Cs→Rn)。これは何故でしょうか?
細かく見ると,Be→B, N→O, Mg→Al, P→S, Zn→Ga, As→Se, Cd→In,・・・と原子番号が大きくなっているにも関わらずイオン化エネルギーが小さくなっている箇所があります。これは何故?
K→Zn, Rb→Cd, Cs→Hg の間はイオン化エネルギーの増加の仕方が緩やかになっています。この辺りの元素が遷移元素である事と関係ありそうですが,何故なんでしょうか?
以上3点,宜しくお願いします。m(._.)m
No.1
- 回答日時:
原子番号が大きくなるにつれて… 原子核の陽子数が増し、正電荷が高くなるので、電子は抜けづらそうですよね。
細かく見ると… s軌道2個のうちの1個より、p軌道電子1個引き抜く方がエネルギーが低い傾向にあるようで方位量子数に関連はありそう。(Be→B、Mg→Al、Zn→Ga、Cd→In)
また、孤立電子対1組のものと2組のもの(N→O他)引き抜いた後の安定性を考えると、孤立電子対2つの方が、安定しそうに感じたりも
遷移金属では、d軌道なんていうの出てきますが、d軌道よりも その上位のs軌道の方がエネルギーが低かったりすることもあり、イオン化エネルギーに逆転が起こることもあるのでしょう。
いずれにしろ、電気的性質や電子構造にかんれんがありそうです。
回答ありがとうございます。
> 原子核の陽子数が増し、正電荷が高くなるので、電子は抜けづらそう
ですよね。(^_-)ネッ だから質問したんです。
> s軌道2個のうちの1個より、p軌道電子1個引き抜く方がエネルギーが低い傾向にあるようで方位量子数に関連はありそう。(Be→B、Mg→Al、Zn→Ga、Cd→In)
なるほど! で,どう関連しそうなんでしょうか? そこを教えていただきたいんですが・・・。
> また、孤立電子対1組のものと2組のもの(N→O他)引き抜いた後の安定性を考えると、孤立電子対2つの方が、安定しそうに感じたりも
え? 孤立電子対2つの方がイオン化した後安定なんですか? それは何故?
> d軌道よりも その上位のs軌道の方がエネルギーが低かったりすることもあり、イオン化エネルギーに逆転が起こることもあるのでしょう。
いや,だから何故逆転するのかが知りたいのですが・・・。
> いずれにしろ、電気的性質や電子構造にかんれんがありそうです。
どう関連するかを教えて欲しいのですが・・・。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
概ね#1さんの考え方で間違いないと思われますが
とりあえず別のアプローチ(というか経験則による式)を
同一周期の原子は原子番号の増大にしたがって
イオン半径は小さくなる(大きくはならない)
ことはご存知でしょうか?
最外殻電子の実際に感じる正電荷は
原子番号の増加と共に増加しているためです
『有効殻電荷』概略
(1)電子は原子核からの電荷を他の原子により遮蔽される
実際に電子が受ける有効殻電荷は
Zeff=Z(原子番号)-S(遮蔽定数)
(2)遮蔽効果の計算方法(slaterの規則より)
|1s|2s 2p|3s 3p|3d|4s 4p|4d,4f|といったように軌道を分類し、それぞれの分類された組からの遮蔽の効果を次のように求めます
a)外側からの遮蔽は無い
b)同じ組に入る電子からの遮蔽は0.35/個
c)s,p軌道について考えるなら
主量子数が1少ない電子からは0.85/個
2以上少なければ1.00
d)d,f軌道では全て1.00/個
(3)例:第2周期元素の有効殻電荷
B:Zeff=5.0-(0.85*2+0.35*2)=2.60
C:Zeff=6.0-(0.85*2+0.35*3)=3.25
N:Zeff=7.0-(0.85*2+0.35*4)=3.90
O:Zeff=8.0-(0.85*2+0.35*5)=4.55
F=Zeff=9.0-(0.85*2+0.35*6)=5.20
となり同一周期では原子番号が大きいほど
それぞれの電子が受ける電荷が大きくなるとわかります
そのため、原子番号が大きいほど
電子を束縛するエネルギーが大きいために
原子半径が小さくなったり
イオン化エネルギーが大きくなると考えられます
さらに計算は省略しますが
遷移元素はd軌道が問題となるので同一組の電子からの遮蔽が大きく1.00/個となり、
原子番号の増加に対して有効殻電荷の増加が小さくなるのであのような平坦な変化になるのではないでしょうか
とりあえず1番目と3番目にに関してはこれで問題ないと思われます
回答ありがとうございます。
> 同一周期の原子は原子番号の増大にしたがってイオン半径は小さくなる(大きくはならない)ことはご存知でしょうか?
あ,そう言えばそうですね。忘れてた・・・ (^-^;)
> 最外殻電子の実際に感じる正電荷は原子番号の増加と共に増加しているためです
それは何故かを知りたいのですが・・・。
> a)外側からの遮蔽は無い
> b)同じ組に入る電子からの遮蔽は0.35/個
> c)s,p軌道について考えるなら
主量子数が1少ない電子からは0.85/個
2以上少なければ1.00
> d)d,f軌道では全て1.00/個
お書きいただいた『有効殻電荷』を考えれば1番目と3番目は納得できます。ありがとうございました。
で,同じ電子1個でも遮蔽効果に差があるのは何故ですか? 新たな疑問が・・・。
No.3
- 回答日時:
2番目の疑問に関してですが,
基底状態にある原子の電子配置を考えなければなりません。
Nは2p軌道が半充填状態になっているので安定しています。それに対しOは2p軌道が1つ電子が抜ければ半充填状態になり安定します。そのためNよりOのほうがイオン化エネルギーが低くなります。
Beは2S軌道まで電子が満たされています。それに対しBは2s軌道までは満たされていますが,2p軌道は1つしか電子が入っておらず簡単に抜けます。そのためBの方がイオン化エネルギーが低くなります。
他の原子でも同じように説明がつくと思います。
回答ありがとうございます。
後半の Be と B に関しては,Be はペアになっている 2s 軌道の電子を引き抜くのに対して,B は対になっていない 2p 軌道の電子を引き抜くのでイオン化エネルギーが小さくなるという事でしょうか。
であれば,これは納得できるのですが,N と O の場合と矛盾するような気が・・・。
同様に考えると,対になった 2p 軌道の電子を引き抜く O の場合の方が,対になっていない 2p 軌道の電子を引き抜く N の場合に比べてイオン化エネルギーは大きくなるように思うのですが・・・。
それとも,半充填状態は特別な状態なんでしょうか? そういった事は習った事も何かで読んだ事もないように思いますので,もう少し詳しく教えて貰えませんか?
宜しくお願い致します。m(._.)m
No.4
- 回答日時:
原子番号は、その元素の持つ陽子数および電子数と同じです。
電子殻はK、L、M…ごととなっています。電子殻LのグループLi~Neまでで、原子核の正電荷が一番強いのはNeですので、クーロン引力がもっとも強いと考えられます。
s軌道はxyzすべての方向に対して、まんべんなく分布しているのに対し、p軌道は1平面に対して分布がなく、d軌道においては2平面に対して分布がないという不自然な軌道を取り、その分エネルギー準位が高くなります。
このエネルギー差は、光で電子を励起させ、あるいは、励起した電子が元に戻るときに、特定の波長の光を発生させることにより測定可能だそうです。
s、p、d、f…とエネルギー準位が高くなるにつれて、殻の上位のs軌道より高くなってしまうのは、そうした計測の結果導き出された事柄と記憶していますので、なぜs軌道より高くなるのか、まで考えたことはありませんでした。
電子は、スピン量子数が逆のもの同士、対になって安定化して「孤立」電子対を作り、空位の場所には電子を引き込むか送り出すか、共有するかのいずれかの方法で安定化するものです。(パウリの排他原理)
『孤立電子対1組のものと2組のもの(N→O他)引き抜いた後の安定性を考えると、孤立電子対2つの方が、安定しそうに感じたりも』と書き込んだのは、「2つの安定化した」孤立電子対を持つ物の方が、「1つ」しか持たないものより、安定かなと
3つでは… ハロゲンは、電気陰性度が高い反面、電子供与性のR効果を持つことを勘案した次第です。
大昔に読んだ本の記憶を頼りに書き込んでいますので、相変わらず「自信なし」とさせて頂きますが
再度の回答ありがとうございました。
お書きいただいた事はある程度理解できてるつもりですが・・・。
それは原子ないしはイオンの安定性(エネルギー状態)の説明にはなると思いますが,イオン化エネルギーとどう関係するのでしょうか?
安定な原子(イオン)はイオン化エネルギーが大きい(小さい?)といった事は言えるのでしょうか? 2つの原子のイオン化エネルギーの大小関係まで言えるのでしょうか?
イオン化エネルギーの大小を比べるには,原子状態とイオンでのエネルギーの『差』を比べる必要があるかと思うのですが如何でしょうか。
また何かありましたら,宜しくお願い致します。
No.5
- 回答日時:
>それは原子ないしはイオンの安定性(エネルギー状態)の説明にはなると思いますが,イオン化エネルギーとどう関係するのでしょうか
もともと、電子構造で安定な状態になろうとすると、原子核の正電荷と電子の負電荷が釣り合いが取れず、電気的性質を帯びるので、イオンという状態になります。
イオンが安定…ということは、そのイオン状態になりやすい、イオン化エネルギーが低いということになろうかと思います
この質問の場合、イオン化エネルギーとは、電子を引き抜くときのエネルギーで イオンになって負になって容易に安定する原子はエネルギー値としては高くなっていますけど。
この回答への補足
皆様ありがとうございました。先程「アトキンス 物理化学」に説明を見付けました。質問する前にもう少し勉強しておくべきだったと反省しております。お許し下さい。
一応その説明を紹介しておきます(著作権の問題がありますので,私が読み取った内容で説明します)。
リチウムが低い第一イオン化エネルギーを持つのは,内殻の電子が最外殻電子をよく遮蔽している(Zeff=1.3)からである。ベリリウムではより高い核荷電を持つので,最外殻電子を取り除くのは困難になり,イオン化エネルギーは大きくなる(最初の疑問に対する回答で,#2 さんが回答して下さった事ですね)。
ベリリウムとホウ素の間でイオン化エネルギーが減少するのは,ホウ素の最外殻電子は 2p 軌道に入っていて,ベリリウムの 2s 軌道に比べて束縛が弱いからである。
ホウ素と炭素の間でイオン化エネルギーが増加するのは,最外殻電子はどちらも 2p 軌道に入っていて炭素の核荷電が増加するため。
窒素に比べて酸素のイオン化エネルギーが低いのは,酸素になると同じ 2p 軌道に2個の電子が入るようになるため,電子間の反発が大きくなり電子が抜け易い(イオン化し易い)状態になっているため。
3番目の疑問も同様に考えれば納得できそうです。という事で,有効荷電のことを教えていただいた #2 さんに 20P,何度もお付き合い頂いた #1,4,5 さんに 10P 送らせていただきます。
改めて,どうもありがとうございました。今後とも宜しくお願い致します。
度々の回答ありがとうございます。
> イオンが安定…ということは、そのイオン状態になりやすい、イオン化エネルギーが低いということになろうかと思います
そうなんでしょうか・・・。話が逆のようにも思えますが・・・。「イオンが安定⇒イオン状態になりやすい」ではなくて,「イオン状態になりやすい⇒イオンが安定と考える」と言う事ではないでしょうか。
私の疑問の元は「何故原子Aはイオン状態になりやすく,原子Bはなり難いとのか?」という事になろうかと思います。あるいは,お書きの形で言えば,「何故イオンAは安定で,イオンBは不安定なのか?」という事です。
残念ながら,この点に関しては納得出来ていませんが,先程ふと捲ってみた「アトキンス 物理化学」に説明がありました。も一つ理解しきれてはいないのですが,それで納得することにしました。
何度もお付き合い頂きありがとうございました。
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