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教えて!goo を使うのがこれが初めてだったので、ベストアンサーにすると締め切られることを知りませんでした(汗)Phj さん、お礼で聞きましたが、欧米で凝ったデザインの文房具がない理由、教えていただけますか?

A 回答 (1件)

phjです。

良かった見つけました(笑)

さて、さっそく本題です。「欧米で凝ったデザインの文房具がない理由」ですが、それは欧米が貧しい国だからです。

こういう風に書くとなんで先進国(OECD諸国)である欧米が「貧しいのか?」ということになるのですが、理由は二つ「文化的・歴史的な理由」と「貧しい(豊かさ)の基準の違い」があるのです。

豊かさの基準

そもそもヨーロッパの文化が豊かなのか、なにをもって豊かなのか、これは難しい問題があります。

それでも産業革命以降、大量生産で物を沢山作り、ほとんどの人がちゃんとご飯を食べられるようにし、電気や水道が使えて学校に通える、というのは多くの人が望むことです。
 これを最初に実現したのは、間違いなく欧米であり、近代的な豊かさ、と言う点では十分に発達し、日本を含めたそれ以外の国は早くて20世紀初頭(日本の明治維新など)、遅いと戦後とか21世紀に入ってやっと豊かになってきた、という地域もあるわけで、欧米人はオーストラリアやニュージーランド人などを含めて「欧米は豊かである」と思っているし、日本人なども「欧米は豊かな国」と思っているわけです。

しかし、私はアメリカに住んでいたこともあり、諸外国に旅行に行った経験も含めて(オーストラリアも数度あります)どうも欧米の基準は「おおざっぱ」であるように感じていました。

たとえば、アメリカでの食事の豊かさは主に「量が多いこと」と「料理の種類が多く並ぶこと」で計られます。ヨーロッパも(国によってちがいますが)似たような部分があります。
 ところが日本で「豊かな食事」といえば、たとえば精進料理のように量も少なく種類も多くはないが、最高に洗練された素材と調理方法、と言うものも存在するわけです。

フランス料理やロシア料理など一部の文化は、これに近い追及をしているところもありますが、それが国民に一般的に伝わっているか、というとそうでもない、上級の階級なら追求できるが、庶民大衆は供給されれば満足、というレベルからあまり進んでいないように感じます。

また、最近ではたとえばUSBケーブルなんていうのも、欧米はおおざっぱです。日本だと0.5mから5mぐらいまで、1m刻みでたくさん種類があるのに対して(アジアでも結構細かく置いていますね)、アメリカの店では5mのみとか3mと5mの2種類しかない、というようなところがたくさんあります。
オーストラリアでも、よほど大きくて専門的な店に行かないと、同じような具合ではないかと思います。

とにかく「ちょっとした小物」という概念がない、という感じがするのです。こういう「かゆいところに手が届く」という部分を豊かさの指標に取り入れるなら、日本は間違いなく1番でアジアも相当に上位になってくるだろう、と思っています。

では、つぎに「なぜ日本はかゆいところに手が届くのか」という文化的・宗教的な理由です。

まず原則として欧米はキリスト教文化です。キリスト教というのは禁欲を美徳する文化であり、大航海時代が始まる直前の中世期までは、かなり禁欲を強く意識したものであったと言われています。魔女狩りも禁欲に耐えられない人々のガス抜き、であったとも言われています。

もうひとつ、欧米というかヨーロッパの文化で重要なのは「男性優先」の文化であったことです。男性が楽しむための文化は育ちましたが、女性と子供が楽しむ文化はほとんど育ってこなかった、という特徴があります。欧米文化では唯一アメリカだけがディズニーを作り、女性と子供に目を向けましたが、日本人から見れば、まだ十分ではありません。

それに対して、日本には、びっくりするぐらいの小物があります。女性が好むというより女性は消費のメインターゲットであり、そのためにものすごい量の製品が作られています。ここに「ファンシー文具」も入るわけです。
 この傾向は、実は江戸時代(多分もっと以前)からあり、町娘が自分の給金で髪飾りや櫛を買ったり、油取り紙を買ったり、役者のブロマイド(浮世絵)を買ったりした、という文献が残っていたり、男性向けでも「根付」という今でいう携帯ストラップのような小物がたくさん売っていました。
 つまり、江戸時代の日本は「個人の好みに合わせて、自分の好きな、他人とちょっと違うものが買える」社会であった、といえます。
 実はこの傾向はアジアでは当たり前で、それはヨーロッパに比べて「豊か」であったからです。何が豊かだったかと言うと、単純に食料の供給のことで、アジアの主食である米は小麦に比べて同じ労力で3倍の人口を養えるからです。
 つまり、産業革命以前の世界では、同じ農民の労力で米を作ると、小麦などに比べて3倍の人口が生まれ、余った人口は戦争に行く人もいますが、料理人とか職人などの生産を向上させる方向に向かったのです。
 
 よくよく考えてみると、ヨーロッパには「小物」がほとんどありません。
フライングタイガーとダイソーを比べてみてください。フライングタイガーは、必要な小物(食器や調理器具)などをかわいくデザインしただけなのに対して、ダイソーはこれでもか、というぐらいアイディア商品にあふれているでしょう。
同じ面積の店舗なら、明らかにダイソーのほうが種類もカテゴリーも多いのです。このような「豊かさ」はアジア、特に日本では昔から普通の消費体形であり、ヨーロッパはその点において「貧しかった」のです。

もうひとつ、大切な点があります。それは「女性が自分で消費の主体であったか」と言う点です。女性が自分たちのお金で「これが欲しい」と自由に買えるようになれば、当然それに対する供給が生まれます。 
日本は江戸時代以前から女性自身が自分のお金で消費をすることができた国です。ヨーロッパはアメリカを除いてほとんどそれは不可能でした。なぜなら、女性には財産権がなく夫または父の扶養者であったからです。子供がお小遣いを自由にできないのと同様に、産業革命以前の女性には自由に消費をする機会は男性に比べればかなり少なかったのです。
 あ、これは大衆レベルの話で、もちろん貴族は違いましたが、日本ではそもそも貴族階級はほとんどおらず、人口の9割が農民と町民でしたから、日本での文化は大衆文化でもあったわけです。

これらの違いから、日本では「ちょっとしたかわいいもの」「ちょっとした工夫」を安く大量につくる文化が生まれます。これは産業革命以前の話です。ヨーロッパにはそれが生まれないまま、大量生産の産業革命を迎えたのです。

この違いが、文房具という実用品に「どれだけのデザイン性、どれだけの使いやすさを入れ込むか」という文化の違いにつながっていったのです。もちろん欧米にも優れたデザインのものはたくさんあります。でもそれは高価であるのが普通です。日本のように100円で購入して1か月ぐらいで使いきるような文房具や小物に対して、デザインや工夫をする意識・価値観は育たなかったのです。

こういう違いがあって、日本では小さな細かい工夫がいっぱいある文具とかカワイイ文具を買ってくれる(評価してくれる)下地があるから、そういうものが作られ売られていくわけです。
 
蛇足
最近、世界的に日本の「カワイイ」が流行しているようです。なぜ「カワイイ」が流行しているか、いうとこれも理由は上記と同じで、それは「女の子が夢中になれる文化が欧米には存在しなかったから」です。アジアには旧来は「カワイイ」に近い文化もありましたが、ヨーロッパによる植民地化とヨーロッパ文化の浸透(ついでにキリスト教も浸透)から、廃れて行った部分もあります。

日本はキリスト教的な文化や価値観をほとんど受け入れず、それでいて高度に発達した社会を江戸時代までに築いていて、それがインターネットの普及と共に、海外に紹介され、海外の少女・女子に影響を与えた、わけです。
 コスプレやアニメも同じ流れで、マッチョイムズに乗り切れないギーク:Geekな男子に受けたから、広がったと言えます。最近では日本カブレ:Weeabooというちょっと極端な人たちもいるようですが、それぐらい日本は欧米の文化の基本と異なっている、ということでしょう。

私は男ですから、実はファンシー文具というものが理解できません。しかし女性に言わせると「ちょっと人と違う、お気に入りの文房具や小物があるだけで仕事や勉強のやる気が違ってくる」そうです。

こういう「お気に入りの○○があると、ヤル気が違う」というのはある意味、女性特有の気持ちの持ち方のような気がしますが、それを理解して商品開発しているのが日本、そんな「気持ち」は機能に関係ないから要らない、と考えるのが欧米のモノづくりであると私は理解しています。

だから、欧米の商品には「質のいい有名な色鉛筆」のような素晴らしい機能をもったものはたくさんあるのですが、機能の本質とは関係ない「遊び」を追求した商品は皆無だし、100%使える機能をさらに120%にするような工夫もあまりない、「かゆいところに手が届かないから無視する」文化であり、これをいい意味に変えれば「禁欲的である」ということなのだと思います。

とにかくやたらに便利、なのは日本の特徴です。自販機などがやたらに街路にあるのも実は同じ理由からです。そういう文化が日本にはあり、欧米にはない、だから欧米には「ちょっといい感じのファンシー文具」のようなものはないのです。
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この回答へのお礼

丁寧にご回答いただきありがとうございました!
歴史や文化的概念なども原因の一つなのですね、すごい理解できました!

お礼日時:2016/11/16 12:01

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